僕は今までに、ヨーロッパの国20ヶ国を訪れました。
スペインやフランスなどのポピュラーな西ヨーロッパではなく、北欧や東欧を中心に行きました。小さい国が多かったですね。
目的地は世界遺産だったり、世界遺産じゃなかったり。世界遺産だからといってその場所が優れているわけでもありませんが、やはり世界遺産と聞くとなんだか特別な印象を抱きます。
この記事では、僕が今までに訪れた20ヶ国のヨーロッパ諸国で、圧倒的な印象を焼き付けた6ヶ所の世界遺産を紹介したいと思います!
自然遺産も文化遺産も、また複合遺産もありますよ。
※ただ、僕は自然も好きですがどちらかというと人が造ったものの方が好きなので、町とか建造物系が多くなってます。
ちなみに僕が訪れたヨーロッパの国は↑の地図でハイライトされた国なので、ここで紹介する世界遺産はこのエリアにあるもの限定になります(フランスとスペインはやく行ってみたい)。
こうしてみると、ヨーロッパの中央を見事に縦断してますなあ。
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1.メテオラ(ギリシャ)
最初は南欧の国・ギリシャから。ギリシャの中央部に位置するメテオラ(Μετέωρα)。切り立った巨岩の上に建てられた修道院群です。
メテオラは、文化遺産と自然遺産の両方を含んだ「複合遺産」として登録されています。
世界遺産登録件数が多いギリシャ国内でも、複合遺産はギリシャ東部のアトス山とこのメテオラの2件しかありません。
また複合遺産は世界中でも30件しかないので、そのうちの1つということ。
メテオラがあるのはカランバカ(Καλαμπάκα)という小さな町。町からメテオラに近づくと、まず目に入ってくるのがこの巨岩群(もちろん町中からも見れますが)。
こんなドデカい岩々を間近で見たときの感動がもの凄くて、まだ修道院すら見ていないのにしばらく車窓から目が離せなくなりました。
こんな巨大な岩々の上に修道院が建てられ、そこで修道士たちが生活しているのですから驚きと言わざるを得ません。
修道士は俗世界から離れて生活するものなので、こうした環境は確かにもってこいだったでしょう。
メテオラで健在活動中の修道院は6つだとか。となると、活動していないものを含めてらもっとあったわけですよね。
しかしいくら俗世界から離れられるからといって、下手すれば何百メートルもの巨岩の天辺に修道院を築き上げるとは、もの凄い根気強さです。きっと建設には何世代もかかったことでしょう。
まあ標高があるだけ天に近いんだから、それだけに根気強く建設を行えたのかも知れません。
メテオラは、アクセスに関しては超ハードコアな場所にありますが、各修道院の内部は一転して美しく静かな雰囲気につつまれています。
それこそ、僕のような単純な人間は「楽園」を想起してしまうような。
メテオラある6つの修道院のうち僕が訪れたのは、
- 大メテオロン修道院
- ヴァルラアム修道院
- 聖ステファノス修道院
の3つ。おそらく最も人気が高い3つの修道院になると思います。
それに僕がメテオラに行ったときは、アテネからバスで日帰りをするという馬鹿さ半端ない超ギリギリスケジュール。
でも言ってしまえば、時間がない方でも上で挙げた3つの修道院には行けるということ。
ただアテネからのバス日帰りはめちゃくちゃに疲れるので、余程時間がないという以外は絶対おすすめしません。
最悪の場合でも電車で日帰りするか、カランバカで1~2泊してゆっくり楽しんでくださいね。
2.ケルン大聖堂(ドイツ)
お次はドイツから。西ドイツにある都市・ケルンのケルン大聖堂(Kölner Dom)。おそらく、ドイツにある教会の中でも最も有名なものです。
世界史を学んだ方は必ず見たことがあるかと思います。
「世界最大のゴシック様式の教会」で、教会の建築様式を習ったときにゴシック様式の代表として学んだことでしょう(たしかフランスのシャルトル大聖堂なんかとのペアで)。
ライン川を横切るホーエンツォレルン橋とカップリングした光景は、あまりに有名。僕のは完全に逆光になっちゃってるけど。
ケルン大聖堂は「世界最大」の枕詞がつくだけあって、近づいてみるととんでもないスケールで、本当に圧倒されます。
それなのに、一つ一つの装飾がものすごく精緻なんですよ。こんなのどうやって作ったんですか。
ケルン大聖堂の建設が始まったのは、なんと13世紀だそうです。ほぼ800年前。そこからなんと600年もの歳月かけて、完成したのは19世紀。
前の項目のメテオラに続いて、とんでもない根気強さです。その間火災にも遭っているというのですからなおさらです。
その後もケルン市が爆撃でほとんど破壊された中、大聖堂も被害は受けたものの、全壊は免れたようです。
ちなみにケルン大聖堂がすごいのは、何も外観だけではありません。
そう、内部も。
写真だといまいち伝わりにくいんだけれど、天井が高くて、重厚な石柱がそれに向かって真っすぐにそびえ立っている姿はなんとも神々しいんです。
「息を呑む」とはいささか手垢のついた表現ですが、このスケールを眼前にすれば、その威容に思わず呼吸が止まります。
ケルン大聖堂はゴシック様式だけあって、ステンドグラスも素敵です。
そういえばこのケルン大聖堂、カトリックの教会だそうですね! てっきりプロテスタント教会だと思ってた。
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3.クラクフ歴史地区(ポーランド)
続いてポーランドから。南ポーランドの美しき古都・クラクフ(Kraków)です。
中世からの長い歴史をもつクラクフは、17世紀に首都がワルシャワに遷る前まで首都が置かれた町でした。
とくにポーランドとリトアニアが同君連合になったポーランド・リトアニア共和国は、中世ヨーロッパでは屈指の強国でした。これ、あまり知られてないですよね。
城壁で囲われたクラクフの旧市街は、中世の街には珍しい、碁盤の目のように道が交差する町です。まっすぐな道が多いのでとても歩きやすい。
旧市街の中心にある広場はとても賑やかで、綺麗な建物に囲まれた美しい場所でした。
中央にある織物会館も、お土産屋さんなどで賑わっています。
クラクフ観光のハイライトはおそらく聖マリア教会でしょう。織物会館に向かう合うようにして立っている教会です(最初の写真の右側)。
内部の装飾がまるで満天の星空を思わせるような豪華なもので、入った瞬間に心を奪われました。
もう一つの目玉観光地はヴァヴェル城。クラクフ旧市街の南側にあるお城です。
1000年の歴史がある由緒正しきお城で、中世の長きにわたって政府機能が置かれたお城。
お城の庭(?)はとても開放感があって気持ちが良い場所です。
さて、ポーランドといえばワルシャワとクラクフが二大観光地ですが、僕はどちらが好きかと聞かれても「どちらも好き」としか言えません。
中世から残るクラクフと、大戦で破壊しつくされた後復興したワルシャワでは、どちらも性格が異なるから。
ただ圧倒的な印象を焼き付けられたという意味では、僕はクラクフの方を推しますね。でもどうせなら両方訪れてみて欲しいです。
4.バチカン市国(バチカン)
続いては世界最小の国から。ローマ市内に収まっているバチカン市国は、国全体が「バチカン市国」として世界遺産になっています。
バチカン市国を訪れたら絶対にはずせないのが、
- サン・ピエトロ大聖堂
- バチカン美術館
- システィーナ礼拝堂
の3ヶ所でしょう。1つでも逃したらやり直しといっていいくらい。この3つは世界史でも登場しますね。
サン・ピエトロ大聖堂はカトリック教会の総本山。使徒聖ペテロのお墓があった場所に建てられたと言われています。
大聖堂が両腕を伸ばして抱え込むような姿をしたサン・ピエトロ広場はイタリアと接していて、イタリア側と自由に行き来ができます。
イタリアとバチカンは別の国ですが、柵がある程度設けられている以外に国境らしきものはありません。見かけは完全にローマ市内にある教会です。
このイタリア・バチカン国境は、僕が歩いて渡った唯一の国境です。
サン・ピエトロ大聖堂の内部は荘厳そのもの。世界中にある教会のどれよりも豪華だと言ってもいいかも知れませんね。世界全ての教会を訪れたわけではないけど。
サン・ピエトロ大聖堂といえば、世界史選択者なら心に浮かぶのが「贖宥状」、あるいは「免罪符」。
ざっくり言えば、「これを買えばありとあらゆる罪が赦される」というふうなもので、サンピエトロ大聖堂建設費をまかなうためにも発行されました。これがルターの宗教改革の発端にもなりました。
まるで中世版クラウドファンディングですね。クラウドファンディングよりよっぽどタチが悪いけど。
2つ目はバチカン美術館。豪華、そして超有名な絵画・彫刻作品が集められたもの凄い美術館です。写真は「地図の間」と呼ばれる場所。
アウグストゥスやトラヤヌスの石像に『ラオコーン』、ラファエロやダヴィンチの作品などなど。
あの『アテネの学堂』だってありますよ。世界史を学んだ方なら、最初から最後まで大興奮間違いなし。ちなみに展示コースは全長7kmあるそうです。
そしてシスティーナ礼拝堂は、あのミケランジェロの『最後の審判』が見られます。写真撮影は禁止だったので、撮っておりませんが。
バチカン市国は、カトリックの総本山だけあってそのスケールが尋常ではありません。
僕は日程の都合から仕方なく一日でこの3ヶ所を回ったけれど、本当は3日くらいかけてじっくり回りたいですね。
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5.プラハ歴史地区(チェコ)
中欧の国チェコ。ヨーロッパのほぼ中心にあって、「ヨーロッパの心臓」とも呼ばれます。
チェコの首都プラハ(Praha)の中心部は、「プラハ歴史地区」として世界遺産に登録されています。
個人的な話になりますが、僕が初めてプラハを訪れたのは、ヨーロッパ旅行にあまり慣れていなかったころ。チェコはヨーロッパでも僕が最初のほうに訪れた国です。
それ以前に訪れていたフィンランドのヘルシンキとエストニアのタリンはいずれも小規模な町で、ここプラハ旧市街に着いたときにはその規模の大きさに度肝を抜かれました。
観光地として世界的に有名なプラハは、正直どの時期に行っても人でごった返しています。それも含めて、ものすごい印象を植え付けられました。
プラハ旧市街は、数え尽くせないほど見どころだらけ。その中でも人気なのがこのカレル橋。「世界一美しい橋」とも言われる、プラハ歴史地区のランドマークです。
旧市街広場周辺もいいんですが、僕が特に感動したのがカレル橋の東側にあるマラー・ストラナ地区とフラッチャニ地区。プラハ城があるサイドです。
このトンネルを抜けるとそこは……のような感じ。
下から見ても、上から見ても絵になる美しさ。
プラハ歴史地区の凄いところはその規模。下の写真はプラハ城内にある聖ヴィート大聖堂の尖塔から撮ったものですが、もう地平線届くまでオレンジ屋根の風景が広がっています。
そのうちのどこまでが世界遺産になっているかは分かりませんが。
実は僕、プラハには3回ほど訪れております。それでもまだまだ冒険しつくせないのがすごいところ。旅行記には3度目に日帰りで訪れた様子を書いています↓
6.プリトヴィツェ湖群国立公園(クロアチア)
最後に、南欧のクロアチアから自然遺産を紹介します。それが、プリトヴィツェ湖群国立公園(Nacionalni Park Plitvička Jezera)。
「く」の字型をしたクロアチアの国土の中央、ちょうと「く」の折れ曲がるくらいの場所にある国立公園です。
プリトヴィツェ湖群国立公園には、読んで字の如く、湖がたくさん集まっています。
その魅力は、なんといってもその水の色の美しさ。エメラルドブルーとかターコイズブルーとかその色を讃える言葉はいくつかありますが、この透き通った碧色が美しい。
湖底に沈んだ木々もはっきり見えます。
向こう側の木々が映っている部分は、まるで翡翠を溶かしたような色ですね(かなり希釈して)。
プリトヴィツェ湖群国立公園内はかなり高低差があり、その全体にわたって湖が点在しています。
高いところにある湖から低いところへと水が落ち、それが園内にある無数の滝をなしています。
僕がプリトヴィツェ湖群国立公園を訪れたのは5月中旬。つまり初夏の時期です。その時は水の色が美しいだけでなく、
そう、新緑が若々しい鮮やかな緑色を放っていました。夏も始まるっていう頃ですからね。
木々の葉の色がとてもみずみずしく輝いていて、それがただでさえ美しい湖の景色にひと華、いや100華くらい添えてくれました。
観光客の人数は多かったけれど、ハイシーズンが始まるギリギリ前ということで激混みといった風でもありませんでした。
事実、場所によっては人が一人もいない場所もありました。特に高地のところ。標高が低くなればなるほど、人が多くなっていきました。
夢のまた夢でしょうが、人がいない状態でこの景色を独り占めできたら最高ですね。
ちなみにクロアチアは、東北地方よりも小さい国土に、世界遺産が7ヶ所もあります。
古代ローマのディオクレティアヌス帝の宮殿があるスプリットや、中世の海洋都市国家ドゥブロヴニクなど、美しい場所がほかにもありますよ。
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まとめ
以上、僕が実際に訪れたヨーロッパの世界遺産の中で、「圧倒的印象を受けた」ものを6ヶ所紹介しました。いかがでしたでしょうか?
もちろん、僕が行った世界遺産はこれだけではありません。ヨーロッパに存在する世界遺産がこれだけではないのは言わずもがな。
ここで紹介した世界遺産のほかにも、
- 中世から続くフランドルの運河都市ブルッヘ(ブリュージュ)
- バルト三国最大の都市リガの歴史地区
- 戦火を免れたドイツのバンベルク(燻製モルトのビールが有名)
- 北欧最大の木造建築の町ラウマ
などなど、面白い世界遺産はヨーロッパじゅうにあります。
僕が個人的に「行ってよかった!」世界遺産はまだまだあるし、それ自体魅力的な世界遺産でも、色々な理由でフルで楽しめなかった場所もあり。
世界遺産登録件数の多い国でも未到達のところもまだまだあり。ヨーロッパは世界でも世界遺産の数が多い地域(Unescoが若干ヨーロッパ中心主義的に見えるのは否めませんが)なので、冒険し尽くせませんね。
それでは、いつかまた旅に出られる日まで。
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