ヨーロッパの最北部、北欧。スカンディナヴィア十字の国旗が特徴的な、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、アイスランドの5ヶ国を指します。
この北欧5ヶ国は、近年は福祉国家として注目を集め、政治の透明性や国民の幸福度、また他にも国民の英語力の高さでも世界トップクラスに位置しています。
さて、この北欧で話されている言語とは、いったいどういった言語なのでしょうか?
ここでは、北欧の8つの言語(スウェーデン語、デンマーク語、ノルウェー語、フィンランド語、アイスランド語、フェロー語、サーミ語、グリーンランド語)をさらっと紹介していきます。言語サンプルとして、世界人権宣言の第1条の翻訳も載せています。
この中で僕が実際に学んだことがあるフィンランド語とスウェーデン語(なおスウェーデン語は挫折)については個人的な経験もお話しします。
※ちなみに今回はバルト三国の言語(エストニア語、ラトビア語、リトアニア語等)は取り扱っていません。
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北欧の言語はどれくらい似ている?
「北欧語はお互いによく似ている」と言われますが、少し待ってください。話はそう簡単ではありません。
北欧語は、 大きく 「ノルド(北ゲルマン)語系」と「ウラル語系」そして「エスキモー・アレウト語系」の3つに分けられます。
ノルド(北ゲルマン)語系は、英語やフランス語と同じインド・ヨーロッパ語族の下位グループ。ウラル語族はインド・ヨーロッパ語族とは違った祖先をもつ、北東欧からシベリアにまたがる別の大言語グループです。
エスキモー・アレウト語系は、カナダ北部とアラスカ北部で話されるのネイティヴ・アメリカン(イヌイット)の言語をまとめたもの。
言語の系統 | 言語 |
---|---|
ノルド(北ゲルマン)語系 | スウェーデン語 デンマーク語 ノルウェー語 アイスランド語 フェロー語 |
ウラル語系 | フィンランド語 サーミ語 |
エスキモー・アレウト語 | グリーンランド語 |
そして、このなかで似通っているのは「ノルド(北ゲルマン)語系」の北欧語たちです。とくにスウェーデン語とデンマーク語、ノルウェー語。
これらの3つの言語は、発音や文法ともにかなり似通っています。もはや1つの言語の方言とさえいえるレベルです(デンマーク語は発音にややクセがありますが)。
ノルド語系の言語は英語やドイツ語と同じゲルマン語というグループに入るので、ノルド語系の北欧語はこの2つの言語ともかなり共通点があります。
アイスランド語とフェロー語は古い文法を残していて語形変化が複雑なため、上の3つとは少し遠ざかりますが、系統は同じです。
一方ウラル語系であるフィンランド語とサーミ語はノルド語系はおろか全インド・ヨーロッパ語とも祖先が違うため、ノルド語系の北欧語とは全く似ていません。
さらにエスキモー・アレウト語系であるグリーンランド語は、ノルド語ともウラル語とも一切関係がありません。
この記事では言語のサンプルテキストとして『世界人権宣言』の第1条の文をつけていますので、ノルド語系の北欧語動詞の共通点や、ウラル語系との違いを見てみたい方は是非ご活用ください。
ちなみに各北欧語が公用語になっている地域は、以下のようになります。
- スウェーデン語……スウェーデン、フィンランド
- デンマーク語……デンマーク(フェロー諸島、グリーンランド含む)
- ノルウェー語……ノルウェー
- フィンランド語……フィンランド
- アイスランド語……アイスランド
- フェロー語……フェロー諸島(デンマーク)
- サーミ語……ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの一部の自治体
- グリーンランド語……グリーンランド(デンマーク)
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スウェーデン語
- 人口:約1000万人
- 公用語の国:スウェーデン、フィンランド
- 系統:インド・ヨーロッパ語族ゲルマン語派北ゲルマン語群東スカンジナビア語
スウェーデン語(Svenska/Swedish language)は北欧最大の言語。
北欧の国と聞いてみなさんが真っ先に思いつくのがスウェーデンかと思いますが、その公用語スウェーデンは最大勢力。話者人口もほかの北欧語の倍ほどもあります。
公用語にしているのはスウェーデンとフィンランド。
フィンランドは19世紀までスウェーデンの一部だったためにスウェーデン語も公用語になっていて、おもにバルト海沿岸とオーランド諸島に集中しています。
アルファベットはA, B, C, D, E, F, G, H, I, J, K, L, M, N, O, P, Q, R, S, T, U, V, W, X, Y, Z, Å, Ä, Öの29文字。
互いに似通ったノルド系北欧語の中で唯一「Ä」と「Ö」を使っているので(デンマーク語とノルウェー語の「Æ」と「Ø」に対応)、表記を見ればすぐにスウェーデン語だと判別できます。
アクセントに非常に特徴があり、かなりリズミカルに聞こえます。ゲルマン語共通の特徴として、なので子音の塊が度々現れます。
スカンジナビアの北欧語は単語の変化がかなり無くなっていますが、スウェーデン語も例外ではありません。
動詞は人称変化せず、時制による変化がメイン。名詞の性は共性(ett名詞)と中性(en名詞)の2つで、格変化は主格と属格があるのみ。そこに単数形と複数形、定と不定があります。
<スウェーデン語サンプルテキスト>
Alla människor är födda fria och lika i värde och rättigheter. De har utrustats med förnuft och samvete och bör handla gentemot varandra i en anda av gemenskap.
僕はフィンランド留学中にスウェーデン語をかじりましたが、語形変化が複雑なフィンランド語に比べてスウェーデン語はシンプルなので、慣れるのに逆に時間がかかるという始末でした。
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デンマーク語
- 人口:約550万人
- 公用語の国:デンマーク
- 系統:インド・ヨーロッパ語族ゲルマン語派北ゲルマン語群東スカンジナビア語
倍近く差が開いていますが、スウェーデン語に次いで話者人口の大きいのがデンマーク語(Dansk/Danish language)。デンマーク王国の公用語です。
アルファベットはノルウェー語と共通でA, B, C, D, E, F, G, H, I, J, K, L, M, N, O, P, Q, R, S, T, U, V, W, X, Y, Z, Æ, Ø, Åの29文字。デンマーク語とノルウェー語は表記が似ていると言われるゆえんですね。
デンマーク語は母音が多い言語。大阪大学外国語学部の「デンマーク語独習コンテンツ」というサイトによれば、デンマーク語には17種類もの母音があるのだとか。まあ諸説あるのでしょうが、日本語の3倍以上とは驚異的です。
ほかの北欧語にない音声上の特徴として、stødとよばれる声門閉鎖音があげられます。声門閉鎖音とは「あっ!」のと言う時のようなのどを閉じる時の音。
こうしたstødなどの特徴もあり、非常にメロディアスなリズムをもつスウェーデン語やノルウェー語に対して、デンマーク語の響きはよく「ジャガイモをほおばったような」という表現が用いられます。
あとは表記と発音にかなりの齟齬がみられ、ぱっと見、あるいはぱっと聞いただけでは正直単語を認識できません。
文法については、スウェーデン語と同様シンプルな語形変化が挙げられます。格変化もスウェーデン語と同じく2つで、主語の人称による動詞の変化もないのだとか。名詞の性も中性と通性の2つのようです。
<デンマーク語サンプルテキスト>
Alle mennesker er født frie og lige i værdighed og rettigheder. De er udstyret med fornuft og samvittighed, og de bør handle mod hverandre i en broderskabets ånd.
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ノルウェー語
- 人口:約520万人
- 公用語の国:ノルウェー
- 系統:インド・ヨーロッパ語族ゲルマン語派北ゲルマン語群東スカンジナビア語(ブークモール)西スカンジナビア語(ニーノシュク)
スカンジナビア半島東端の国ノルウェーの公用語、ノルウェー語(Norsk/Norwegian language)。話者人口はデンマーク語よりも少し少ないくらい。
アルファベットはA, B, C, D, E, F, G, H, I, J, K, L, M, N, O, P, Q, R, S, T, U, V, W, X, Y, Z, Æ, Ø, Åの29文字。使っているアルファベットはデンマーク語と一緒です。
ノルウェー語では社会言語学的に不思議な現象がおきており、ブークモールとニーノシュクという2つの標準語が存在します。ノルウェー語は2つに分裂した北欧語なのです。
ブークモールはデンマーク語により近くて、ニーノシュクはもとのノルウェー語への原点回帰したような保守的なバリエーション。
この2つは言語系統も若干異なるようで、ブークモールが東スカンジナビア語(デンマーク語と一緒)なのに対しニーノシュクは西スカンジナビア語(アイスランド語、フェロー語と一緒)に分類されています。
ノルウェーではブークモールとニーノシュクに同等の地位があるとされていますが、ただ広く使われているのは圧倒的にブークモールのようですね。
文法の特徴はデンマーク語やスウェーデン語と似ており、名詞の格変化もいくぶん簡略化されていて、単複の区別と主格と属格が残るばかり。
ただし名詞の性は方言などによって異なり、ブークモールでは2性、ニーノシュクなどでは3性を保持しています。動詞の変化もシンプルで時制や受動態による変化のみのようです。
<ノルウェー語サンプルテキスト>
Alle mennesker er født frie og med samme menneskeverd og menneskerettigheter. De er utstyrt med fornuft og samvittighet og bør handle mot hverandre i brorskapets ånd.
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フィンランド語
- 人口:約540万人
- 公用語の国:フィンランド
- 系統:ウラル語族フィン・ウゴル語派バルト・フィン諸語
フィンランド共和国の公用語であるフィンランド語(Suomen kieli/Finnish language)は、北欧の公用語で唯一、そしてヨーロッパの中でも異質な(=少数派の)ウラル語族の言語。
ヨーロッパではエストニア語、ハンガリー語、そして後で紹介するサーミ語が親戚です。
なので他の北欧語とフィンランド語とを並べると、フィンランド語だけがまったく違うのが分かります。
非常に母音が多く感じられる言語で、日本人には発音はやさしいです。susiとかsikaのように日本語のように聞こえる単語もあったり。日本語で言う「促音」のような発音があったりと、何かと日本語っぽい。
フィンランド語のアルファベットはスウェーデン語と同じで29文字ですが、F, Q, X, W, Z, Åは固有名詞以外で使われないので、これらの文字を除けば25文字といったところ。
文法の特徴としては、とにかく語形変化が多いこと。スカンジナビアの言語の語形変化がいくぶんシンプルなのに対し、フィンランド語の単語は鬼のように変化します。名詞は単複合わせて26以上、動詞も何十もの形に変化するのです。
それも日本語やトルコ語のような「膠着語」で、どんどん後ろに接尾辞をくっつけていくような形。他の北欧の公用語が英語に近い言語なので、よりフィンランド語の異質さが強調されますね。
<フィンランド語サンプルテキスト>
Kaikki ihmiset syntyvät vapaina ja tasavertaisina arvoltaan ja oikeuksiltaan. Heille on annettu järki ja omatunto, ja heidän on toimittava toisiaan kohtaan veljeyden hengessä.
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アイスランド語
- 人口:約30万人
- 公用語の国
- 系統:インド・ヨーロッパ語族ゲルマン語派ゲルマン語派北ゲルマン語群西スカンジナビア語
アイスランド語(Íslenska/Icelandic language)は、ヨーロッパ本土とグリーンランドの間に浮かぶ島国アイスランドの公用語。
北欧の国家語としては断トツで話者人口が少なく30万人程度。その大部分がアイスランドに住んでいます。
アルファベットはA, Á, B, C, D, Ð, E, É, F, G, H, I, Í, J, K, L, M, N, O, Ó, P, Q, R, S, T, U, Ú, V, W, X, Y, Ý, Z, Þ, Æ, Öの36文字。
母音字すべてにアキュート・アクセント付きバージョンがあるので、文字数の多さは北欧語で一番です。
Pに似たÞ、Dに棒が突き刺さったようなÐ(どちらも英語のthの音でそれぞれ無声と有声)やÆは、どちらも古英語でも見られる文字ですね。さすが中世の文法を保持しているだけあります。
アイスランド語は長らく大陸から隔絶されていたため、中世の時代から文法がほとんど変化していないという世界的にも稀有な言語。
そのためアイスランド人は、エッダやサガなど中世の文学を「現代語に翻訳」することなく読めるのだとか。
中世から文法構造が変化しまくって簡略化されたスカンジナビアの3大ノルド語と異なり、複雑な語形変化を保持しています(ヨーロッパの言語は一般的に古い方が文法が複雑なので)。
名詞の性別は3種あり、格変化は4種(+単複と性別、定不定性が加わります)。動詞の主語の人称にあわせて変化するので、大陸のノルド系北欧語よりもいっそう複雑なのですね。
それに外来語を極力排してアイスランド語に訳そうとしているので、私たちにとってポピュラーな英単語でも、アイスランド語だと一筋縄ではいきません。
たとえばテレビやコンピュータといった世界中で浸透してそうな単語ですら、それぞれsjónvarp、tölvaと見る影もありません。
フィンランド語も外来語を訳すよう努めていますが、アイスランド語についてはそれがよりラディカルに行われている印象があります。
<アイスランド語サンプルテキスト>
Allir eru bornir frjálsir og jafnir öðrum að virðingu og réttindum. Allir eru gæddir skynsemi og samvisku, og ber að breyta bróðurlega hverjum við annan.
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フェロー語
- 人口:約6万6,000人
- 公用語の国:フェロー諸島
- 系統:インド・ヨーロッパ語族ゲルマン語派北ゲルマン語群西スカンジナビア語
アイスランド語の兄弟言語のようなフェロー語(Føroyskt mál/Faroese language)。
アイスランドとイギリスの間に浮かぶフェロー諸島の公用語です。自治政府や議会があるものの、フェロー諸島自体はデンマーク領です。
使用するアルファベットはA, Á, B, D, Ð, E, F, G, H, I, Í, J, K, L, M, N, O, Ó, P, R, S, T, U, Ú, V, Y, Ý, Æ, Øの29文字。デンマーク語とアイスランド語の中間ちょっとアイスランド語寄りって感じですね。
母音の発音がなかなか特殊で、一部の母音とアキュート・アクセント(´)のついた母音(Á、Í、Ó、Ú、Ý)は「エア」とか「ゥウ」のような二重母音で発音されます。これはアイスランド語にもみられる特徴で、やってみると非常に難しい。
ちなみにÐ(ð)という文字がほとんど発音されなかったり、kjとかhjの組み合わせでチャ行の発音になるなど、文字と発音の関係を学ぶのにも根気がいりそうです。
そしてフェロー語はアイスランド語よろしく、語形変化が豊富な言語です。やはり大陸から距離があると、多言語との接触が少なくなる等の理由で文法が簡略化されづらくなるのでしょう。
名詞は男性女性と中性の3性があり、格も4つ存在します。形容詞も名詞の格にあわせて変化します。
さらっと文法のページを見てみましたが、動詞にも強変化と弱変化があったりなどとなかなか難解そうですね。
<フェロー語サンプルテキスト>
Øll menniskju eru fødd fræls og jøvn til virðingar og mannarættindi. Tey hava skil og samvitsku og eiga at fara hvørt um annað í bróðuranda.
個人的にフェロー語ないしフェロー諸島にはかなり興味があるので、後々詳細に調べて個別記事にしようかしら。
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サーミ語
- 人口:約3万人?
- 公用語の国:なし(北スカンジナビアの17の自治体で公用語)
- 系統:ウラル語族フィン・ウゴル語派
サーミ語(Sami language/Sámẹgiella)は、スカンジナビア半島北部に居住するヨーロッパ唯一の先住民、サーミ人が話す言語。ノルウェー北部からスウェーデン、フィンランド、そしてロシアまで広がる地域で話されています。
公用語に制定している国はありませんが、スウェーデンではマイノリティとして国に認められており、北欧3か国北部の自治体では公用語になっているところもあります。
たとえばフィンランドのイナリ(Inari)やエノンテキオ(Enontekiö)、スウェーデンのパヤラ(Pajala)やイェリヴァレ(Gällivare)、ノルウェーのカラショーク(Karasjok)などの自治体で公用語になっています。
サーミ語にはいくつか種類があり、方言によっては相互理解ができない程です。アルファベットも、方言(が話されている国)によって変わってきます。たとえば、ノルウェーのサーミ諸語はノルウェー語風のアルファベットを使っていたりなど。
ウラル語族の原語でフィンランド語と同じ系統ですが、お互い理解するのはまず不可能。ただ、系統が同じなだけあって文法的にはフィンランド語と共通する部分があります。
北サーミ語の例で言うと、格変化は14あるフィンランド語に比べ少なく7つ。フィンランド語には豊富な場所格が欠落している印象です。
ウラル語族には子音階程交替という共通の現象(語形変化の時に子音が変化する現象)があるのですが、サーミ語のそれはフィンランド語のものよりも一層複雑です(フィンランド語ではkptしか影響を受けませんが、北サーミ語ではほぼ全子音に影響)。
ちなみに数種類あるサーミ語の中で最大の勢力は北サーミ語。ノルウェー、スウェーデン、フィンランドと北部スカンジナビア全域で話されています。
<北サーミ語サンプルテキスト>
Buot olbmot leat riegádan friddjan ja olmmošárvvu ja olmmošvuoigatvuođaid dáfus dássásažžan. Sidjiide lea addon jierpmi ja oamedovddu ja sii galget meannudit guimmiideaset guovdu vieljalaš vuoiŋŋain.
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グリーンランド語
- 人口:約5万7000人
- 公用語の国:グリーンランド
- 系統:エスキモー・アレウト語族エスキモー諸語
北欧の言語の中で最も異質なのが、このグリーンランド語(Greenlandic/Kalaallisut)。世界最大の島、デンマーク王国領のグリーンランドで話される言葉です。
デンマーク語が植民者(つまりは征服者)の言語なのに対して、こちらは土着の言語といえます。グリーンランド語の話者数はおよそ5万7000人で、ユネスコの消滅危険度評価では「脆弱(Vulnerable)」に分類されています。
グリーンランド語で使われるのはラテン文字で、これは他の北欧語と変わりません。使われるのはA, E, F, G, H, I, J, K, L, M, N, O, P, Q, R, S, T, U, Vの19文字。
上で挙げた言語が全てユーラシア大陸の言語なのに対し、こちらは主に北米大陸に暮らすイヌイット(エスキモー)の言語。系統がまるで違うため、他の北欧語との共通点はほとんどありません。ヨーロッパ大陸よりも北米大陸に近いので、まあ当然でしょう。
グリン―ンランド語は音素が少ない言語で、母音はa, i, uの3つしかなく、子音の数は14。
グリーンランド語の大きな特徴は、その文法にあります。グリーンランド語は「複統合的言語」と呼ばれるタイプの言語で、語根の後ろに接尾辞といわれる小さな部分をどんどんくっつけていきます。
これで、他の言語では文を使って表す意味を、長い1つの単語で表すことが可能になります。これは日本語の隣人たるアイヌ語にもある特徴ですね。
Aliikusersuillammassuaanerartassagaluarpaalli.
抱合語 – Wikipedia
aliiku-sersu-i-llammas-sua-a-nerar-ta-ssa-galuar-paal-li
楽しみ‐与える‐半他動詞‐名人‐繋辞(だ)‐と言う‐反復‐未来-たしかに‐3人称複数主語‐3人称単数目的語‐しかし
「たしかに彼は人を楽しませるのがうまいと言われるようになるだろうが、…」
こんなふうに、語根のaliikuの後ろにどんどん小さな接尾辞を足していっています。意味を見ると一つの文のように思えますが、文法的にはこれが1つの単語なのです。
ただこんな長いものは珍しいようで、接尾辞の数は多くて6つのようです。
その上名詞が8つの格に変化(プラス単数複数の区別アリ)し、動詞も主語の人称と目的語の人称、法(直説法、命令法、疑問法、希求法、仮定法など)によって変化します。時制はありません。
<グリーンランド語サンプルテキスト>
Inuit tamarmik inunngorput nammineersinnaassuseqarlutik assigiimmillu ataqqinassuseqarlutillu pisinnaatitaaffeqarlutik. Solaqassusermik tarnillu nalunngissusianik pilersugaapput, imminnullu iliorfigeqatigiittariaqaraluarput qatanngutigiittut peqatigiinnerup anersaavani.
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おすすめの北欧語は?
ずばり、あなたの興味のある言語でいいかと。
好きな雑貨のブランドがある国でもよし。北欧の国なら、おしゃれなブランドはどの国にもありますので、逆に絞り込むのが大変かもしれません笑
ノルド(北ゲルマン)語系の北欧語はかなり似通っているので、その内の1つを習得すると他のノルド系北欧言語への道が開けてきます。その点フィンランド語やグリーンランド語は祖先が全く違う言語なので、同じ北欧語といっても難しさが桁違いですが。
正直北欧語ならどれでもいいというのなら、とりあえず北欧最大の話者を抱えるスウェーデン語がいいかと思います。
デンマーク語やアイスランド語に比べて発音もとっつきやすい印象がありますし、ある程度習得すれば之デンマーク語やノルウェー語へのハードルも下がることでしょう。
僕はフィンランドのファンですが、周りから見て明らかに異質な言語&話者数500万程度しかいないとなると、手放しではおすすめしづらいです。
それでは以上です。僕は途中で手放したスウェーデン語にかなり未練があるので、ぼちぼち始めて行こうかなと思ってたりします。
Header Image by Christine Pfister/ Pixabay
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