今回の記事では、フィンランド語を筆者(フィンランド語学習歴2年)が学習するのに使った教材(オンラインとオフライン両方)を紹介します。
まずは独学で学習したい人向けのコンテンツになっています。一口に独習と言っても、「フィンランド語がどんな言語が知りたい」という人から、「本気で習得を目指したい」という人まで幅広く対応しています。
「フィンランド語を勉強してみたいけど、どの教材が良いのか分からない……」という方は参考にしていただけたら幸いです!
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まずはここから学習スタート – Finnishpod101.com
まず最初のとっかかりに最適なのが、Finnishpod101.comというYouTubeチャンネル。InnovativeLanguage.comが運営する語学サービスのフィンランド語版。筆者はフィンランド語を始めたての頃一番最初に使っていました。
どんな言語を始める場合でも、やはり最初の頃は音に慣れていくことが大切だと思うので、初学者にはぴったりのサービスです。僕は別の言語を始めた時も最初はこのシリーズを使いました。
まず最初に見るべきだと思うのが「3分シリーズ」、ここでは「Learn Finnish – Finnish in 3 minutes(Suomea kolmessa minuutissa)」です。
ここでフィンランド語の発音がどんなものなのか、あいさつなどの基本的な表現や数の数え方をおさえられます。
この3分シリーズの他にもリスニング問題や、写真を使って単語を覚えるものや、簡単なフィン作文ができる動画もありますので、よかったらこちらも使ってみてください。
有料オプションもありますが、YouTubeチャンネルはすべて無料だし、会員登録してもある程度までは無料で見られます。
筆者は無料で使える範囲内で使い倒して、その後他のサービスや文法書に移行するというとっても迷惑なスタイルで利用していました。今でも、新しい言語を始める際はそのスタイルは崩していません。
フィンランド語の会話フレーズ集については別に記事がありますので、よかったらそちらもどうぞ。▶フィンランド旅行で使えるフィンランド語基礎フレーズ集
『フィンランド語文法ハンドブック』でがっつり文法を独習
続いては書籍の紹介です。筆者はフィンランド留学前のフィンランド語学習に関しては、教科書を一冊しか使っていません。
それが、白水社から出ているこの『フィンランド語学習ハンドブック』。フィンランド語界隈では有名な東海大学の吉田欣吾先生の文法書です。実はこの本が今回の記事での本命。
ネットでおすすめの教材を探したでもなく、たまたま大学の図書館にあったから借りて使ってみたのですが、文法書としては非常に満足できる内容でした。
というのも、初級から中上級の文法まですべて網羅しているので、文法に関してはこの一冊で足りてしまうからなんです。
この本はイラストや図こそありませんが、文法書にありがちな硬さもあまりなく、全体としてとても見やすくなっています。白水社のページに行けば、音声ファイルも無料でダウンロードできます。
あえて欠点を挙げるとすれば例文が少し少ないかな、と感じるくらい。それでもフィンランド語で重要な語形変化が細かくがっつり書かれているのでとても便利です。
ただこれはあくまで文法書なので、会話文を学ぶのには不向き。会話文をもっと見たいという方はここで紹介している動画コンテンツ、『ニューエクスプレス』や『面白いほど身につく本』といった書籍などの方が良いでしょう。
筆者は使っていませんが、同じ著者の本で『フィンランド語トレーニングブック』という本もあります。気になる人はチェックしてみてください。
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スキットで楽しく学べるSupisuomea
Supisuomea(スピスオメア)は、フィンランドの国営放送Yleが公開しているフィンランド語学習用動画コンテンツ。非公式ですがYouTube上にも動画があがっています。
Supisuomeaではフィンランド語の初級文法を実際に使われている場面を再現したスキットで学習できます。
このシリーズのいいところはちゃんと字幕がついているところと、時々口語表現が入ってくること。
シリーズは12のパートに分けられていて、日常の事だったり家族だったり、フィンランドの食べ物などそれぞれテーマがあります。
外国からフィンランドに来た人が各テーマごとにかわるがわる登場するので、非ネイティブのアクセントにも親しむことができます。
ちなみにSupisuomeaには文法の説明(かなりざっくりだけど)も入っているので、先の項目で挙げた『フィンランド文法ハンドブック』を始める前に見ても大丈夫です。
『リアルフレーズBook』で便利なフレーズを覚えよう
フィンランド語は話者数わずら500万人程度の小言語。英語やフランス語などに比べて、マイナー言語なので教材は限られているのが痛いところ。
しかし、最近出版された『気持ちが伝わる! フィンランド語リアルフレーズBOOK』(研究社)が結構お役立ちです。
フィンランド語の会話でよく使われるフレーズがまとめられた、マイナー言語には珍しい教材です。
これ一冊で会話に便利なフレーズがまるごと覚えられる、まさに痒い所に手が届く教材です。音声も購入者限定で無料ダウンロードできるのもいいところ。
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Yle Uutiset Selkosuomeksiでニュースに親しむ
続いては、フィンランドの国営放送Yleの「簡単なフィンランド語のニュース(Yle Uutiset Selkosuomeksi)」。
動画とラジオの2つがあり、その日のニュースを平易なフィンランド語で簡潔に伝えてくれます。フィンランド語もゆっくりでとても聞き取りやすいです。
動画は字幕付きで、ラジオにはスクリプトもちゃんとあります。フィンランドでも日々色々なことが起きていますが、その中から主要なものを5つほどピックアップしています。興味深いニュースがたくさんありますよ。
簡単とは言っても最初は知らない単語がたくさん出てくると思うので、後で紹介する辞書で調べつつ読むことを習慣化すると、どんどん分かるようになっていきます。
各ニュースのキーワードとなる単語には解説(もちろん簡単なフィンランド語で)もついています。キーワードは色付き文字になっているので、気になったらマウスホバリングしてみましょう。
動画は平日のみ更新、ラジオは日曜以外毎日更新されます。筆者は今でも時々チェックしてます。
またもう一つ、Selkosanomatというサイトもあります。こちらも、簡単なフィンランド語で書かれたニュースサイトです。
生のテキストこそ最適な教材(慣れてきたら)
勉強を続けてある程度単語力もついて文法にも慣れてきたら、今度は実際にネイティブ向けに書かれた文章を読んでみることをおすすめします。
どんな言語学習でもそうですが、やっぱり目標の一つはその言語を使って情報収集をすることではないでしょうか。
ならば、情報収集と練習をかねてどんどん「生きた」文章を読んでみましょう。
たとえばニュース。フィンランド国営放送Yleの簡単ではないフィンランド語のニュースYle Uutisetや、フィンランド最大の新聞Helsingin Sanomat(なんと漫画も読めます)など。Iltalehtiのようなタブロイド紙もあります。
ニュースなんかつまらんという人には、関心のあるキーワードをググってみて、出てきたサイトを読んでみるという方法もあります。
たとえばkahvi(コーヒー)、matkailu(旅行)、hyvinvointi(福祉)などなど。僕は旅行が大好きなので旅行関係のサイトを読んでいました。
フィンランド語のリーディングに使えるサイトは別の記事でも詳細に書いていますので、そちらもどうぞ。
もし現地に行く機会があれば、ヘルシンキのアカデミア書店などでムーミンシリーズのフィンランド語版(※オリジナルはフィンランド語ではありません)などフィンランド語の本を買ったりするのもいいですよね。
筆者はムーミンの本と『星の王子さま』のフィンランド語版を買ってみました。
ある程度言語に慣れてきたらスピーキングの練習もしましょう。
今はitalkiなどのプラットフォームが数種類あるので、ネット上で母語話者と簡単に知り合えます。そこからメッセージのやり取りをし、Skypeなどで通話することも可能です。
ただitalkiを留学から帰ってしばらくするまで知らなかった筆者はどうしたかというと、自分の大学に来ていたフィンランド人交換留学生とコンタクトをとってランゲージ・エクスチェンジをしていました。
お互い空いている時間にキャンパスで会って、30分フィンランド語、もう30分日本語の話す練習、という風にお互いの母語を教え合いました。
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留学中の勉強&教材は?
そして最終的にはフィンランドに行く。そして実践する。やはり実際にフィンランド語で人々が生活している環境に身を置けば、かなりの勉強になりますし、何より楽しいです。
筆者はヘルシンキ大学に留学している間は、外国語イベントに参加したり、ランゲージエクスチェンジをしたりして実践に励みました。もちろん、上で挙げた勉強も忘れずに。
そしてもちろん、大学でのフィンランド語のコースをとりました。
教室では基本的にすべてフィンランド語。でも先生はゆっくり話してくれたので全く苦になりませんでした。学生間のやりとりももちろんフィンランド語です(ほんのちょっとだけ英語も使います)。
フィンランドでのフィンランド語の教科書は、留学先や講師によっても異なりますが、よく聞くのは『Suomen Mestari(スオメン・メスタリ=フィンランド語の達人)』。
『Suomen mestari』は『1』から『4』までのレベルに分かれています。僕は中級と上級クラスにいたので、『3』と先生が作ったプリントを使っていました。『4』はまだ出たばかりのようです。
解説は全てフィンランド語で書かれている、フィンランド語をフィンランド語で学ぶための教科書です。文法の細かい解説もあるし、1~2ページ程度のテキストもあってリーディングを鍛えることもできます。
(けっこう高い)
公式サイトに音声が載っており、ネットでいつでもどこでもリスニングの練習ができます。なのでネットさえあれば、CDを買う必要もありません。
僕もよくテキストを音読した後、パソコンで音声を流しながらリスニングやシャドーイングをしたものです。
興味のある方は、下のリンク先で聴いてみてくださいね。サイト右上の「Äänitteet」をクリックし、教科書を適当に選べば音声ファイルがずらっと出てきますので、適当に選んでみてください。
学習のお供にオンライン辞書
筆者はできるだけお金をかけたくなかったので、 基本的にインターネットにある無料の辞書を使いました。
ですがフィンランド語はマイナー言語なので、オンラインの辞書コンテンツはあまり豊富ではありません。
ですがご心配なく。少ないと言ってもやりようはあります。筆者が主に使っていたのは無料の多言語辞書Wiktionaryと、Sanakirja.orgという翻訳サービス。
Sanakirja.comは日本語訳が出る場合もあるので最初の頃は便利でしたし、Wiktionaryは基本英語のみですが、収録単語数が桁違いです(それにフィンランド語だけでなく他の言語の単語も調べられます)。
僕は最近Suomi Sanakirjaというオンライン芬芬辞書に挑戦しています。単語の説明はけっこう難しいですが例文が豊富なのでかなり役立っています。
もしどうしても紙の辞書がいいという方には、新しく出た『パスポート初級フィンランド語辞典』をおすすめしています。
フィンランド語の辞書については、別の記事でも紹介しています。紙の辞書もさらっと紹介しているので詳しくはこちらまで。
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フィンランド語学習の助けに、フィンランド語の学習ブログ
最後にブログの紹介。日本ではフィンランド語は明らかにマイナー過ぎるくらいマイナーな言語なので、独学だとなかなか勉強している人に出会うのは難しいんですよね。
特に学習している人のブログを探していたわけではないのですが、偶然見つけたのがこちらのブログ。
すごく珍しい日本人によるフィンランド学習記(外国人によるものは知らないのですが)! 語形変化をさせるプロセスも細かすぎるくらい細かいところまでがっつり書いてある。
僕はこの人よりも3年後くらいにフィンランド語を始めたのですが、文法の説明ががっちり書かれているのでかなり助けられました。
実は、先ほど挙げた「簡単なフィンランド語のニュース」もこのブログのエントリーで知りました。フィンランド語以外にも、英語や日本語など他のエントリーもすごく面白いのでぜひ一読あれ。
まとめ:マイナー言語は教材探しがけっこう大変
いかがでしょうか。今回は筆者が実際に使ってよかったフィンランド語の教材を紹介しました。
メジャーなヨーロッパ語とは祖先が根本的に異なり、話者数もそこまで多くないマイナー言語なフィンランド語は、学習に少し根気がいります。
僕も留学後のフィンランド語のレベルを維持するのに悪戦苦闘しているところです。
もしこの記事がフィンランド語の教材選びでお役に立ててたのなら非常に嬉しいです。
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