こんにちは。めいげつです。

世界には本当に多くの言語があります。その数もさることながら、土の言語も独自の特徴があったりして興味が尽きません。

そしていっぽう、全く違う祖先をもつフィンランド語と英語にも、ちょっとした類似点があります。それはどんなところでしょうか。

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フィンランド語ってどんな言語?

英語は、ヨーロッパの大体の言語と同じインド・ヨーロッパ語族と呼ばれるグループの言語です。

一方でフィンランド語はウラル語族の言葉。ヨーロッパの言語はそのほとんどがインド・ヨーロッパ語族の言語なので、つまり先祖を異にしているということです。

フィンランド語は、英語はおろか隣り合うスウェーデン語やロシア語とも全く異なる言語です。そんなフィンランド語に、英語との共通点などあるのでしょうか。

フィンランド語と英語の類似点

二匹のいわしの写真
elle_kh / Pixabay

さあまずはフィンランド語と英語の類似点です。各見出しに「フィンランド語には」をつけてお読みください。

文法編

数の区別がある

フィンランド語と英語の文法での共通点でまずあげられるのが、単数と複数が区別あること。

英語では名詞にsをつけて複数形としますが、フィンランド語では名詞(と形容詞)にtをつけることで複数形になります(若干変化させる必要のある名詞もある)。omena「リンゴ=apple」ならomenat=apples。kukka「花=flower」ならkukat=flowers。

しかしフィンランド語では英語に比べ、数はいくぶん複雑です。たとえば、可算名詞か不可算名詞かで目的語の格が変わります。

可算名詞だと下のように、属格(-n)と分格(-a)の2つが使えます。kala「魚」の形に注目ください。

  • Syön kalan.「私は魚を食べる(単発的)」
  • Syön kalaa.「私は魚を食べる(習慣)/食べている(進行形)」

属格を使うと動作が単発的になり、分格を使うとどうだが継続的になる、という違いがあります。

しかし、maito「牛乳」のような不可算名詞だと、分格しか使えないというルールがあります。

  • Juon maitoa.「私は牛乳を飲む(習慣)/飲んでいる(進行形)」

こんな風に、目的語が可算か不可算かで目的語の形が変わってしまうくらい、フィンランド語の数は厄介なのです。

属格と分格って何やねんという方は、以前の格変化についてまとめた記事をご覧ください。

完了形がある

英語と同じように、フィンランド語にも現在完了形があります。完了形とは、継続や経験を表す時制でしたね。フランス語やロシア語にはない時制です。英語では助動詞haveと、動詞の過去分詞を使って作りましたね。

フィンランド語では、完了形はbe動詞であるolla+「能動過去分詞」でつくります。

  • Kauanko olet asunut Japanissa?「どれくらい日本に住んでいるんですか」
  • Oletko mennyt Suomeen?「フィンランドに行ったことはありますか」

関係代名詞がある

関係代名詞は、英文法でもつまづく人が多いポイントだと思います。かくいう私も関係代名詞でつまづいた一人です。whichとかwhoが代表的で、whereやwhenという関係副詞もありました。in whichのように前置詞が並ぶとチンプンカンプンでした。

そしてフィンランド語にも、英語と同じような関係代名詞があります。フィンランド語ではjoka(ヨカ)といいます。whichとwhoの区別はないのですが、名刺の後ろに持ってくるという構造は似ています。

英語だとwhose以外はin which, of whichみたいに前置詞をつけるけど、フィン語ではjossa、jonkaと格変化であらわします。ちなみに複数形もありますよ。

  • Minulla on pikkuveli, joka opiskelee suomea.「私にはフィンランド語を学んでいる弟がいます」※jokaは主格=who
  • Helsinki on kaupunki, jossa minä olen asunut 10 vuotta.「ヘルシンキは私が10年住んでいる町だ」※jossaは内格=in whichもしくはwhere
  • Tässä kerrostalossa asuu paljon ihmisiä, jotka ovat tulleet ulkomailta.「このアパートには外国から来た人がたくさん住んでいる」※jotkaは複数主格=which。
  • Tätä tapahtumaa järjestelivät opiskelijat, joille minä opetan japania.「このイベントは私が日本語を教えている学生たちが開催しています」※joilleは複数向格=to whom

発音編

LとRの区別がある

lightとright、longとwrongなど、英語を学ぶ日本人はこの二種類の「ラ」に苦しめられたのではないでしょうか。

悲しいかな、子音の少ないフィンランド語にもLとRの区別があります。ただしフィンランド語のRは巻き舌。

例をあげれば、lauta「板」rauta「鉄」、eli「または」とeri「違う」、suola「塩」とsuora「まっすぐな」。「ラ」を一つしか持たない日本語のネイティブには、LとR英語でもフィンランド語でも厄介なものです。

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フィンランド語と英語の違い

机の上に座っている猫
webandi / Pixabay

基本的に、上の「類似点」の項であげた点以外については、全て違います。なにせ違う言語ですからね。

ここでは、フィンランド語が英語と違う点の中でも、特筆すべきものをあげています。

文法編

定冠詞がない

冠詞とは、英語で言うaやtheのこと。英語を学んでいる人は、aとtheや無冠詞の使い分けに悩んだ覚えはありませんか。僕も10年近く英語を学習して読み書き話ができますが、いまだに全容を掴めている気がしません。

フィンランド語ではその心配はありません。というのも、フィンランド語には冠詞がそもそもないから。英語でリンゴと言いたい時はan appleかthe appleと言わなければいけないけど、フィンランド語ならomenaで充分。

しかし。フィンランド語にも定不定の概念があるのです。冠詞もないのにどうやって定不定を表すかというと、それが語順です。ある名詞が文の最初に来るか、最後に来るかで定不定を表すのです。これがちょっと厄介。例をあげてみましょう。

  • Pöydällä on kissa.「テーブルの上には猫がいる」
  • Kissa on pöydällä.「(その)猫はテーブルの上にいる」

そうこんな感じ。最初の文のkissaは、ただの猫です。いままで特に話題に上っていなかった一匹の猫、つまりa catです。

しかし次の文のkissaは微妙に違います。今までとある一匹の猫の話をしていて、その猫はどこにいるかというと机の上にいるよ、というニュアンスがあります。英語にすればThe cat is on the tableです。

もちろん語順は万能ではないので、aとtheをもつ英語ほど厳格に定不定を表せません。しかしいちおうフィンランド語にも似た概念はあるよ、と知っておくといいかもしれません。

heとsheの区別がない

フィンランド語の3人称単数の代名詞はhänの1つだけ。

英語では男性にはhe、女性にはsheを使うし、日本語でも彼と彼女を使い分けます。しかしフィンランド語のhänは性別関係なく使えます。なんとジェンダーニュートラルな言葉でしょう。

  • Timo on suomalainen. Hän asuu Japanissa.「ティモ(男)はフィンランド人です。彼は日本に住んでいます。」
  • Tiina on suomalainen. Hän asuu Japanissa.「ティモ(女)はフィンランド人です。彼女は日本に住んでいます。」

名詞がたくさん格変化する

英語の名詞は不規則なもの(toothやfoot等)を除き、複数のsをつける以外の変化をしません。

しかしフィンランド語の名詞は格変化をします。その数なんと単複あわせて26通り!

例をあげてみましょう。omena「リンゴ」は次のように変化します。

omena「リンゴ」の格変化
単数 複数
主格 omena omenat
属格 omenan omenoiden
分格 omenaa omenoita
内格 omenassa omenoissa
出格 omenasta omenoista
入格 omenaan omenoissa
接格 omenalla omenoilla
離格 omenalta omenoilta
向格 omenalle omenoille
変格 omenaksi omenoiksi
様格 omenana omenoina
欠格 omenatta omenoitta
具格 omenoin
共格 omenoineen

変化とはいっても、決まった語尾をほとんど規則的にくっつけるだけ。内格なら「-ssa」、変格なら「-ksi」。少し語幹を変化させなければならない名詞もありますが、これも非常に規則的です。

動詞もたくさん変化する

英語の現在形、過去形、分詞、動名詞なんて生ぬるいものではありません。

フィンランド語の動詞は主語の人称によって6種に変化し、現在形と過去形、条件法、可能法(あんま使わないけど)があり、分詞は4つあり、不定詞は5種類もあります。

puhuaなら、puhun、puhut、puhuu、puhumme、puhutte、puhuvatと人称によって6つに変化。これは現在形なので、これが過去形、条件法、可能法……と続きます。

面倒くさそうに感じるけれど、一人称単数はいつも-nだし、二人称複数は常に-tteで、語幹に過去形なり条件法を表すものをつけて人称語尾をつければ良いので、動詞の活用じたいは非常に明快で難しくありません。

それに、主語を省略しても意味が通じるという論理的なメリットがあります。いちいちMinä olen japanilainen.といわずとも、Olen japanilainenの言えば良いのです。

膠着的な文法

これは前の「格変化」と「動詞の活用」に続くものです。

膠着語(こうちゃくご)というのは、ざっくりいえば単語の後ろから何かをくっつけることで意味とか文法的な機能を変えることができる言語です。

フィンランド語の格変化も、動詞の変化も、すべて語幹の後ろに-nとは-ssaといった語尾をつけることで完成します。

どこかの言語に似ていますね? そう、日本語もこの膠着語になります。

いっぽう英語は膠着的な特徴はあるけれども(複数形や三人称単数の-sとか)、基本的には孤立的な言語=単語は変化せず、語順が大事な言語です。屈折語の特徴も併せ持っています。

ちなみにtooth → teeth、foot → feet、sing → sang, sungのように、語幹の母音を変えることで意味を変化させる言語を「屈折的な言語」と言います。

John loves Jenny.といえば「ジョンはジェニーが好きだ」ですが、Jenny loves John.と順番を変えてしまうと「ジェニーはジョンが好きだ」と意味が変わってしまいます。

いっぽうフィンランド語では「ジョンはジェニーが好きだ」はJohn rakastaa Jennyä.となりますが、変化形さえ同じならJennyä rakastaa John.と順番を入れ替えても意味は同じなんです。だってJennyäは、文のどこにいようと目的語の形だから。これは日本語も同様。

分詞が名詞の前に来る

ちょっとマニアックな話になりますが、フィンランド語では分詞が必ず名詞の前に来ます。英語では、基本的には分詞が名詞の後ろにきますよね。

英語でも、running boy「走っている少年」のように、現在分詞単体で修飾するときは名詞の前に来ます。これはフィンランド語でも同じで、running boyはjuokseva poika「走っている少年」となります。

しかしここにover there=tuollaをつけるとどうでしょう?

英語の場合はboy running over there「あそこで走っている少年」と分詞が名詞の後ろに来てしまいます。ただフィンランド語はtuolla juokseva poika「あそこで走っている少年」と、修飾節どれだけ長くなろうが名詞の前につくのです。

……となると、関係節すら名詞の前に来る日本語と似ているような気がしますね。実は分詞の修飾も一部においてはそうなんです。このあたりは別の記事にまとめたのでそちらをどうぞ。

発音編

母音と子音を長さで区別する

フィンランド語には、母音と子音の両方に長短の区別があります。

英語でも母音は長さで区別されるだろ、と思った方。たしかに英語では長短もあるものの、実際には母音の質が区別のカギとなっていることも事実です。

bitとbeatでは「イ」と「イー」のように母音の長さも違いますが、「イ」でも発音が微妙に違いますね。前者の短い方は少し力が抜けていて「エ」に近い印象(弛緩母音ともいいます)で、後者の長い方はいくぶん力が入ってて純粋は「イ」に聞こえます(緊張母音ともいいます)。

一方フィンランド語の母音は、純粋に長さだけで区別されます。例をあげると、sitä「それ」とsiitä「それについて」、tuli「火」とtuuli「風」、kukka「花」とkukkaa「花を」。

それに、フィンランド語の子音も長い短いで区別されます。これは英語にはない特徴ですよね。長い子音というのは日本語で言う促音、つまり小さい「つ」がついた音です。

tili「口座」とtilli「ディル」は違う単語ですし、kisat「大会」とkissat「猫たち」も区別されます。

母音と子音の長短に区別を組み合わせれば、kuka「誰」とkukka「花」とkukkaa「花を」を区別することも可能なわけです。

子音があまり連続しない

英語は何個かの子音が連続したりしますが、フィンランド語ではあまりありません。特に単語の先頭で。

単語の先頭で子音が連続するのは、presidentti「大統領」konkreettinen「具体的」treffit「デート」など、比較的最近に英語やスウェーデン語から入ってきた外来語のみ

大昔にスウェーデン語から入ってきた単語は、フィンランド語の音韻にあわせ、最初の子音が抜け落ちてしまっています。koulu「学校」、lasi「ガラス」、peili「鏡」などがそうで、スウェーデン語ではskola、glas、spegelと言います。

一方英語では、strengthsとかsplashedのように最大3つも子音が続きます。同じく子音が連続しない日本語のネイティブにとっては、英語よりもフィンランド語の方が発音しやすそうですね。

コラム:フィンランドでは英語だけで暮らせるのか?

改装工事中のヘルシンキ大聖堂

これに関しては、僕が実際にフィンランドで過ごした経験をもとに別記事にまとめました。

結論は、英語だけでも十分暮らせます。

フィンランド人は英語が堪能で、若い人や特に大学生ならば、ほぼ100%英語が通じます。

フィンランドに住む外国人でも、フィンランド語ができない人はいます。フィンランド語ができなくてもヘルシンキでカフェを経営している人もいるくらいです。旅行や留学など、せいぜい数ヶ月程度の滞在であれば、フィンランド語ナシでもやっていけますよ。

まあ個人的には現地の言葉を話すべきだろとは思いますが、あまり時間がない短期滞在者には嬉しい話ですね。

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まとめ

以上、フィンランド語と英語の類似点と相違点をまとめました。

英語とフィンランド語は別々の祖先を持つ言語ですが、調べてみれば意外と類似点が見つかるものですね。

そんなフィンランド語は、実は日本語とも類似点が多い言葉。ご興味があれば、そちらもご覧くださいな。