ヨーロッパを訪れる人のお目当てのひとつが、中世の時代から残る街並み。

迷路のように入り組んだ路地、カラフルな石造りのメルヘンチック家々は、違った文化で育った私たちを魅了してやみません。

ヨーロッパにはそのような都市がいくつかありますが、今回は美しい街並みの割にあまり知られていない、ドイツ・バイエルン州に位置する都市バンベルクを紹介します。

世界遺産に指定されている中世の街並みから独特の燻製ビールまで。ぜひご覧ください。

【重要】新型コロナウィルスの流行に伴い、各地で入国制限および入国後の隔離等の対策がとられています。詳細は各国大使館等のページを確認していただくとともに、各国の感染症危険状況については、外務省の海外安全ホームページ等をご確認ください。

<記事は広告の後にも続きます>

バンベルクってどんな町?

バンベルク(Bamberg)は、ドイツの南東部バイエルン州にある人口7万8000人ほどの都市です。バイエルン州第2の都市ニュルンベルクの北方に、ならびにヴュルツブルクよりも東に位置します。

市内を流れるレグニッツ川によって町が2つに分かれています。

バンベルクはその町が7つの丘の上に築かれていることから「7つの丘の町(Seven Hill City)」、またイタリアのローマも7つの丘の上に建てられたことと関連して「フランケンのローマ(Franconian Rome)」とも呼ばれます。フランケンとはバイエルン州北部の地方で、ワイン造りでも有名な地域。

神聖ローマ皇帝ハインリヒ2世の時代に宮殿が建てられ、以後19世紀初めにバイエルン選帝侯領に組み込まれるまでは司教(Prince-bishop)が治める司教都市でした。

第二次大戦中の爆撃によりケルンやニュルンベルクなどのドイツの他の都市が旧市街を破壊された一方で、バンベルクは戦争の被害を被ることなく、本物の中世の街並みが残されています。

1993年には旧市街がユネスコの世界遺産に登録されました。

バンベルクのとある通り

バンベルクへのアクセス

バンベルク駅
バンベルク駅

バンベルクに行くにあたって最も便利なのが、同じバイエルン州にある大都市ミュンヘンからのルートでしょう。電車(インターシティ)で2時間弱、バスでも3時間40分程度の道のりです。

ドイツ最大の空港があるフランクフルトからは電車で2時間20分、バスで3時間10分。

バイエルン州第2の都市ニュルンベルクからは電車(インターシティ)で30分程度、同じくバイエルン州のヴュルツブルクからは電車で50分~1時間ほどです。

バンベルク行のバスや電車の予約には、以下のサイトが便利です。

バンベルクの観光名所

旧市庁舎(Altes Rathaus)

バンベルク市庁舎の外観

バンベルクのシンボル的存在になっているのが、この旧市庁舎(Altes Rathaus)。レグニッツ川の真ん中にある人工島に建てられており、川の南北の地区と4つの橋でつながっています。

正面から見ればまるで浮いているような黄色い木組みの建物もさることながら、建物の側面にある豪華なフレスコ画も必見です。

ちなみに旧市庁舎がこのような形になったの理由は、この町の歴史にヒントがあります。中世の時代にはこのレグニッツ川を境に北側が町民たちの、南側が大司教の勢力圏となっていたのです。

当時の大司教が市庁舎を建てるための土地を渡すことを許さず、またあくまで市民と大司教との中立をはかるため、町の中心を流れる川の上に建てられることになったのです。

バンベルク旧市庁舎の横側

旧市庁舎(Altes Rathaus)
【住所】Obere Brücke, 96047 Bamberg

新宮殿と旧宮殿

ノイエ・レジデンツの外観

新宮殿(ノイエ・レジデンツ: Neue Residenz)と旧宮殿(アルテ・レジデンツ: Alte Residenz)は、旧市街を見下ろす丘の上にある2つの宮殿。バンベルク大聖堂のすぐそばにあります。

どちらもバンベルク司教の邸宅として使われた建物ですが、旧宮殿のほうは元々神聖ローマ皇帝ハインリヒ2世の宮殿として11世紀に建てられたもの。

旧宮殿は現在はバンベルク歴史博物館(冬の間は休業)になっています。新宮殿はアートギャラリーがあり、ツアーに参加すれば普段は入れない大司教の部屋や応接室などを観ることができます。全体に絵画の施された「皇帝の間(Kaisersaal)」は必見です。

新宮殿(Neue Residenz)
【住所】Domplatz 8, 96049 Bamberg
【営業時間】4~9月9:00~18:00、10~3月10:00~16:00
【入場料】6ユーロ

旧宮殿(Alte Residenz)
【住所】Domplatz 7, 96049 Bamberg
【営業時間】5~10月9:00~17:00、11~4月は臨時の展示以外の場合は休業
【入場料】無料

バンベルク大聖堂(Bamberger Dom)

バンベルク大聖堂の外観

バンベルク大聖堂(Bamberger Dom)は、かつての司教都市バンベルクのシンボル的存在。旧市街の中心からすぐ近くにある丘の上に立っています。

11世紀初頭からの歴史がありますが、2度の火災に遭っており現存しているのは3代目。後期ロマネスク様式とゴシック様式の両方が見られる珍しい教会です。

外観もさることながら、天井の高い広々とした内部も圧巻です。ハインリヒ二世とその妻クニグンデが埋葬され、非常に精緻な彫刻が施された棺も一見の価値ありです。

バンベルク大聖堂(Bamberger Dom)
【住所】Domplatz, 96049 Bamberg
【営業時間】8:00~18:00
【入場料】無料

聖マルティン教会(Martinskirche)

St. Martin教会のファサード

マルティン教会(Martinskirche)は、デパートや商店、露店などが並び人通りの絶えないグリューナー・マルクト通りに立っている教会。

17世紀に建てられたカトリック教会で、バロック様式の重厚感あるファサードが特徴的です。

内部は全体的に白を基調としたシンプルな装いなものの、バロックらしい複雑で曲線的な飾りが神秘的です。奥には金色の豪華な祭壇があるほか、ドームの部分には特徴的な騙し絵が描かれています。

バンベルク・St. Martin教会の内装

聖マルティン教会(Martinskirche)
【住所】Grüner Markt 19, 96047 Bamberg
【営業時間】9:00~17:00
【入場料】無料

小ヴェネツィア地区(Klein Venedig)

バンベルク・小ヴェネツィア地区の家々

小ヴェネツィア地区(Klein Venedig)は、旧市庁舎よりも西側にある漁業地区。レグニッツ川を挟んだバンベルク旧市街の北側サイドにあります。

市街を流れる川の川辺に、中世の時代に建てられた木組みの家々が並んでいる光景は、まさにフォトジェニックと言うほかありません。

聖母教会(Obere Pfarre)

バンベルクの聖母教会の外観

聖母教会(Obere Pfarre)は、バンベルク旧市街の南側にあるカトリック教会。バンベルクにいくつかある教会の中でも、純粋にゴシック様式のみで建てられた唯一の教会です。

旧市街を散策していると突然現れる、どっしりと構えた姿はまさに圧巻の一言。バロック様式の内部は一転やさしい色使いで落ち着いた雰囲気で満たされていていますが、その奥で存在感を放つ黒と金色を基調とした祭壇と対照をなしています。

Obere Pfarreの内装

聖母教会(Obere Pfarre)
【住所】Frauenplatz. 1, 96049 Bamberg
【営業時間】土曜日~木曜日9:00~17:00、金曜日9:00~18:30
【入場料】無料

<記事は広告の後にも続きます>

バンベルクのグルメ:町の名物・燻製ビールが味わえるお店

シュレンケルラのラオホビール
シュレンケルラにて

かつての司教都市バンベルクは、世界遺産に登録された中世の街並みが売り。しかしバンベルクの魅力はそれだけにとどまりません。

実はバンベルクは、地ビールで有名な町でもあるのです。その名もラオホビール(Rauchbier)。

「煙のビール」という意味のこの地ビールは、麦芽を乾燥させる際に直接火にあてるため、麦芽が煙で燻され、ドライでスパイシーな風味に加え特徴的な煙のアロマが漂うビールとなっています。

ラオホビール初体験という方は、その独特で強烈なアロマに度肝を抜かれるかも知れません。

バンベルクの市街地では、主に3つの醸造所がラオホビールを作っており、その直営のビアホールでラオホビールを楽しむことが出来ます。市内でラオホビールを作っている醸造所は次のとおり。

ここではSchlenkerla(シュレンケルラ)について紹介します。

Schlenkerla(シュレンケルラ)

バンベルクの醸造所シュレンケルラの写真

バンベルクでラオホビールを作っている醸造所のうち、一番有名なのがSchlenkerla(シュレンケルラ)。1405年創業というかなりの老舗醸造所です。

Schlenkerlaのラオホビールは非常に有名で、日本の酒販店でも販売されているくらいです。ビール通の方にとっては、「ラオホビールと言えばシュレンケルラだ!」という方もいらっしゃることでしょう。

created by Rinker
Schlenkerla(シュレンケルラ)
¥790 (2024/04/28 22:26:32時点 Amazon調べ-詳細)

Schlenkerlaの店舗はレグニッツ川の南側、旧市街のど中心にあり、黒い木組みが特徴的な建物です。大聖堂や新旧宮殿のある丘を降りればすぐ。

入り口が少し暗くてなんだか入り辛そうな雰囲気ですが、勇気を持って入ってみてください。数種類のラオホビールと絶品ドイツ料理があなたを待っています。

僕が注文したのはラオホビール2種類とソーセージ。このビールとソーセージ組み合わせが絶妙で、観光で疲れた気分がすぐに吹き飛びました。ビールも500mlが3,10ユーロから注文できる手頃さも好印象。

ソーセージとラオホビール。シュレンケルラ(Schlenkerla)にて
メルツェン・ラオホビールとシュレンケルラ・ソーセージ。このカップリングが最高にウマい

Schlenkerla(シュレンケルラ)
【住所】Dominikanerstrasse 6, 96049 Bamberg
【ウェブサイト】https://www.schlenkerla.de/indexe.html
【営業時間】9:30~23:30
【備考】現金払いのみ

シュレンケルラの他にラオホビールを作っている醸造所についても、別記事で紹介しています。詳しく知りたい方は↓の記事へどうぞ。それぞれの醸造所への訪問レポートもあります。

バンベルクの観光マップ

以上のバンベルクの観光スポットやグルメスポット等の情報を地図にまとめました。

  • 十字架のマーク:大聖堂、教会
  • 城門のマーク:教会以外の建築物
  • ナイフとスプーン:地ビールが飲めるお店
  • 買い物カート:スーパー(REWE)

ちなみにバンベルクの中心にはスーパーが1軒しかないのでご注意を。

バンベルクの現地ツアーを探す

バンベルクはとっても魅力的で個人的におすすめな観光地ですが、少しマイナーな感じが否めず、現地のツアーを企画しているのはGetyourguideだけのようです。

<記事は広告の後にも続きます>

日帰り観光は可能?

バンベルの町の規模はそこまで大きくないので、1日あれば主要な観光スポットは全て回ることができます(もちろん、隅々まで回ればその分時間がかかりますが)。

ニュルンベルクやヴュルツブルク、バイロイトなど近隣の都市からならば、日帰り観光はじゅうぶんに可能です。

ただしフランクフルトやミュンヘン等といった大都市からは少し遠いので、大都市から直接行く場合はバンベルクでの宿泊をおすすめします。

フランクフルトからミュンヘン方面へ行くなら、フランクフルト→ヴュルツブルク→バンベルク→ニュルンベルク→ミュンヘンと順次訪れていくルートもできますね。

バンベルク長期滞在に便利なバンベルクカード

バンベルクに数日間滞在する予定の方は、観光客用のお得なバンベルクカード(Bamberg Card)を使う手段もあります。

16ユーロで3日間有効。そして以下の特典がついてきます。

  • 博物館のうちいくつかの入場料が無料(※全ての博物館ではないのに注意)
    • 入場無料になる博物館:教区博物館、歴史博物館(旧宮殿内)、リーヴァイ・ストラウスジーンズ博物館、自然史博物館、ルートヴィヒ・コレクション、E.T.A.ホフマンの家、庭園ワイン博物館
  • ガイドツアーに参加できる(ただしドイツ語のみ)。あるいはオーディオガイド(英語)が4時間借りられる。
  • 市内のバスや電車が乗り放題

3日程度滞在する予定があって、バンベルクの隅々まで観光したいという方にはもってこいのカードです。

一方バンベルクは徒歩でも十分回れますし、あまり博物館にたくさん行きたいという方でなければ必要ないと思われます。

詳細はバンベルク市の公式サイトをご覧ください(ただし英語かドイツ語のみ)。

<記事は広告の後にも続きます>

バンベルクで泊まるなら

バンベルクといえば、なんといっても世界遺産に登録された旧市街が魅力。この旧市街を散策するなら、Hotel Sandstern(ホテル・ザントシュテルン)がとても便利です。

何といっても便利なのが、そのロケーション。旧市街のど真ん中に位置しているため、各観光地へのアクセスが良いだけでなく、散策に疲れたら一旦戻って休憩、というこのもできるのです。

ラオホビールで有名なシュレンケルラからも歩いて1分以内で到着できるので、飲み過ぎた時も心配ご無用です。

ただし旧市街にある=建物が古いためエレベーターがないことだけはご注意ください。

レビュー記事はこちら。

Hotel Sandstern(ホテル ザントシュテルン)
Obere Sandstraße 11, 96049 Bamberg
https://hotel-sandstern.de

まとめ

いかがでしたでしょうか。

世界遺産にも登録されたバンベルクの旧市街は、息をのむほどに美しい町です。中心地を散策するだけでも十分にその雰囲気を楽しめるでしょう。

さらに燻製された麦芽が絶妙なアロマを醸し出すラオホビールも、ビールファンにとっては嬉しいおまけ。

ぜひとも、中世の時代から現代まで生き延びてきた町を訪れてみてください!