こんにちは。めいげつです。

ドイツ・バイエルン州の都市ニュルンベルク(Nürnberg)。中世を思わせる街並み、ナチスと第二次大戦での破壊の歴史など多様な風貌をもつ都市です。

たくさんの見どころがあるニュルンベルクを一人旅で街歩きした感想と、ニュルンベルク観光のポイントをまとめました。

これからニュルンベルクを訪れる方、ニュルンベルクはどんな町なのか知りたい方にどうぞ。

<記事は広告の後にも続きます>

ニュルンベルク基本情報:かつての帝国自由都市

ニュルンベルクのとある通り

ニュルンベルク(Nürnberg)は、南ドイツ・バイエルン州にある都市。

人口50万人強。バイエルン州内では、ドイツ屈指の大都市・ミュンヘンに次ぐ第2の都市です。

人口でいえばドイツ国内で14番目とぱっとしないものの、知名度はそれなり。

歴史を学んだ方ならば、悪名高き「ニュルンベルク法」や「ニュルンベルク裁判」でその名を知っていることでしょう。

「ニュルンベルクのマイスタージンガー」でその名前を知っている人もいるかも知れませんね。

さらに、日本で人気の高いヨハン・パッヘルベルや、世界史(特に美術史)を学んだ方にはおなじみのアルブレヒト・デューラーが生まれ、活躍した町でもあります。

ちなみにニュルンベルクはかなり複雑な歴史を歩んできたのですが、それは後述。

僕は「ニュルブルクリンク」のことを「ニュルンベルクリンク」だとずっと思ってたんですが、正しくはニュルブルクなんですね。

ニュルブルクはドイツ西部の町だそうで。お恥ずかしい話です。

僕はニュルンベルクという町を3泊4日で一人で訪れ、街歩きを楽しみました。その時の印象と、観光する時に抑えておきたいポイントをまとめます。

整然とした街並み&くねくねした中世の街並みの両方が楽しめる

ニュルンベルクのケーニヒ通り

ニュルンベルクはれっきとした中世の町。

ヨーロッパの中世の町はくねくねと曲がりくねった道が特徴的ですよね。同じバイエルン州にあるバンベルクとか、チェコのプラハ、エストニアのタリンなんかが良い例。

旧市街は地図で見ると四角い形をしていて、真ん中あたりにペーグニッツ川が流れています。

碁盤の目とはいわないものの、上で挙げた年に比べるとけっこう整然としていて、街歩きをしていても自分がどこを歩いていて、どこをどう歩けば目的地に着くかが把握しやすいです。

ニュルンベルクのとある通り

……それでも、ニュルンベルクは中世の町。すべての路地が整然としているわけではなく、その中でぐいっと曲がった路地なんかがいくつかあります。

中世の町の曲がった道と、より現代的な綺麗な街並み(よって観光しやすい)の両方が楽しめる、街歩きをしていてそんな感じの印象を受けました。

<記事は広告の後にも続きます>

史上稀にみる複雑な歴史

ニュルンベルクのゲルマン国立博物館の絵

ニュルンベルクは複雑な歴史を辿ってきた町です。

中世の時代には、神聖ローマ帝国内の「帝国自由都市」として皇帝の直接の影響下におかれ、領主の支配下から脱し幅広い自治を得たのだそう。

その後は申請ローマ帝国が崩壊、バイエルン王国領になり、第一次大戦後はヴァイマル共和国の一部に。

ニュルンベルクの歴史は絶対に戦争から切り離せない

爆撃で破壊されたニュルンベルクの写真

その後は第二次大戦ですね。ニュルンベルクを語るうえで、第二次世界大戦を無視することはできません。

ヒトラー率いるナチスドイツは、ニュルンベルクを「全ドイツで最もドイツらしい都市」として好んでいて、この都市で何度か党大会を開いていました。

ユダヤ人から市民権を剥奪する「ニュルンベルク法」が制定されたのもここですね。

そして大戦勃発後。ニュルンベルクは連合国軍に空爆され、旧市街が壊滅しました。

そして終戦直後は、ナチ党幹部を対象にした「ニュルンベルク裁判」が行われました。のちの東京裁判(これもこれで悪名高いですが)のモデルになった裁判ですね。

その後、ニュルンベルク旧市街は市民の力で見事に再建され、今僕たちが見られるような美しい旧市街となったのです。 

ナチスのニュルンベルクのポスター

観光の拠点、ハウプトマルクト

ニュルンベルクのマーケット広場と聖母教会

中世の町はたいてい中心に広場があります。ニュルンベルクも例外ではありません。

ニュルンベルクの場合は、聖母教会(フラウエン教会)や美しの泉といった観光地のあるハウプトマルクト(Hauptmarkt)と呼ばれるとても広い広場ですね。

ここは旧市街でも観光地が密集する北サイドの中心にあるので、ここを拠点にして観光すると便利です。

道に迷ったら一度戻ってくるといいですよね。たぶん迷わないと思うけど。

<記事は広告の後にも続きます>

観光客はさほど多くない

Schöner Brunnenの写真

ニュルンベルクは観光客はあまり多くないな、と感じました。

ドイツと言えばヨーロッパでも随一の観光立国。国内にはたくさんの観光地があるし、世界遺産だってたくさんあります。

ニュルンベルク自体は世界遺産じゃないものの、それなりに有名な町ですよね。

オフシーズン(冬)だったことを考慮しても、ミュンヘンなどの大都市と比べると観光客は少なかったと思います。

メインストリートは多くの人が行き交っていましたが、少しわき道にそれると全然人がいない、なんてことはざらでした。

治安はすこぶる良好

旅行で心配なのが目的地の治安。現地で犯罪に巻き込まれたら、せっかくの旅行気分が台無しです。

その点ニュルンベルクは安心できるかな。ここの治安は基本的に良好です。特に旧市街の中は観光地なだけあってキレイだし、物乞いなどもあまりいません。ただ、人の多いメインストリート周辺では、ある程度用心するのがいいでしょう。

ただ、ニュルンベルクでも注意してほしいのは中央駅周辺。

正直どの町でも、人の集まる中央駅周辺は治安が悪いですが、ニュルンベルクも例外ではありません。

駅の中はそうでもないですが、メイン出口から出てすぐのところには、ガラの悪い人たちがけっこうたむろしています。僕は幸いからまれることはありませんでしたが。

個人的には、地下鉄の出口から出ること。これなら、メイン出口から少し離れたところに出るので安心です。

<記事は広告の後にも続きます>

旧市街は徒歩でOK。交通機関も発達していて不便しない

ニュルンベルクの旧市街はさほど大きくないので、移動は徒歩が基本になるでしょう。

観光地もお互いそんなに離れておらず、徒歩でも十分に観光できます。

ただニュルンベルクの観光地は何も旧市街の中だけではありません。

ナチス帝国党大会文書センター

たとえばナチス帝国党大会文書センター(Doku-Zentrum)は、旧市街から南東に3.3kmほど離れています。

ですがご安心を。ニュルンベルクは交通機関が発達しているので、トラムに乗ればへっちゃらです。さすがにこの距離を歩くのは辛いので、後で説明するニュルンベルクカードを上手く使って乗り回しましょう。

ニュルンベルクのトラム

また旧市街はあまり大きくないとはいえ、体力に自信のない方は歩き回るのは辛いかも知れません。がその場合も、旧市街に地下鉄が走っていますので、うまく利用すれば問題ありません。

せっかくなら世界遺産・バンベルクもあわせて

バンベルクのとある通り

ニュルンベルクは中世からの歴史のある都市。戦争の歴史も含めて、観光する場所には事欠きません。

ですが、せっかくなら戦争の被害を受けずに中世の時の街並みがそのまま残っている世界遺産に行きたくはありませんか?

そこでおすすめなのが、バンベルクです。ニュルンベルクの北およそ60kmほどの場所にある都市で、戦争の被害をこうむらず、中世の街並みがきれいに残っている美しい場所です。

ニュルンベルクからバンベルクへは電車で45分ほどなので、日帰りで訪れることもできます。その場合は、バイエルンチケットを購入するのがお得です。

個人的には1泊、できれば2泊するのをおすすめします。

また、バンベルクは知る人ぞ知るビールの町。燻製にしたモルトを使ったラオホビールで有名な町なんです。一番有名なのはシュレンケルラという醸造所兼ビアホールで、実はここのビールは日本の酒屋さんでも買えちゃいます。

ソーセージとラオホビール。シュレンケルラ(Schlenkerla)にて

<記事は広告の後にも続きます>

「ニュルンベルクカード」で、お特に観光しよう

ニュルンベルクカードの写真

ニュルンベルクカード(NÜRNBERG CARD + FÜRTH)とは、ニュルンベルク観光局(Tourismus Nürnberg)が発行している観光客向けのカード。

このカードを提示すると、ニュルンベルク市内の観光地への入場料が無料になるほか、交通機関が使い放題。ニュルンベルクの様々な場所を回りたい観光客にはもってこいなカードです。

ニュルンベルク市内だけでなく、隣町のフュルト市(Fürth)もカバーされています(僕は行けなかったけど)。

料金は1人28ユーロで、有効期間は2日間。2日間です。48時間ではありません

購入したら裏面にサインをすれば利用可能。博物館などの受付で見せれば入れます。

ニュルンベルクカードに含まれるもの

木組みの可愛い家が並ぶヴァイスケルバーガッセ

ニュルンベルクカードに含まれるのは、24の博物館、4種の地下ツアー。市内にあるの全ての観光地が含まれていると言っても過言ではないですね。とても有効期間内には消化しきれません。

何が含まれているかは公式サイトに全て書いてありますが、ここに一部抜粋して書いておきます。

カッコ内は、ニュルンベルクカードがない場合の入場料(大人1人)です。

カイザーブルク城(7ユーロ)
国立ゲルマン博物館(8ユーロ)
アルブレヒト・デューラー・ハウス(6ユーロ)
おもちゃ博物館(6ユーロ)
ドイツ国鉄鉄道博物館(7ユーロ)
ナチス帝国党大会文書センター(6ユーロ)
ニュルンベルク裁判記念館(6ユーロ)
フェンボハウス市立博物館(6ユーロ)
新博物館( 市立美術・デザイン博物館、5ユーロ)
ニュルンベルク動物園(16ユーロ)
地下ツアー4種(Rock-Cut Cellars、Historic Art Bunker、Casemates and Water Supply Conduits、Medieval Dungeons)

ニュルンベルクのトラム

そしてニュルンベルク市とフュルト市内の全ての交通機関が有効期間中使い放題。メトロ、バス、トラムが含まれます。

ニュルンベルクカードの入手方法

ニュルンベルクのマーケット広場と聖母教会
ニュルンベルクのマルクト広場。左奥の建物にインフォメーションがある

マルクト広場にあるニュルンベルク観光客のインフォメーションセンターで購入できます。受付にいる人に「ニュルンベルクカードほしいんだけど」と言えば出してくれます。

もしくはオンラインでも購入可能で、その場合は郵送での送付となります。ただし手続きのために4日間必要だそうなので、余裕をもって事前購入しておきましょう。

ただし日本までの郵送となると4日以上はかかるかも知れませんので、特に理由がないなら現地での購入をオススメします。

ニュルンベルクの主な観光地

カイザーブルク城

ニュルンベルクのカイザーブルク城

ニュルンベルクのシンボルたるカイザーブルク城(Kaiserburg)。町全体を見下ろす丘の上に立っています。

ニュルンベルク自体の起源を含めお城がいつ作られたかは不明なものの、少なくとも1000年は経っているようです。

ここは主に神聖ローマ帝国関連の展示が見られます。カール4世とか、金印勅書とか、選帝侯とか世界史の授業で触れた単語が並びます。

アルブレヒト・デューラー・ハウス

アルブレヒト・デューラー・ハウスの外観

アルブレヒト・デューラーハウス(Albrecht Dürer-Haus)は、ニュルンベルクが生んだ北方ルネサンスの巨匠、アルブレヒト・デューラーがかつて住んだ家を博物館にしたもの。

彼は遺産がほとんどなかったために当時の彼の生活を思わせるものは(厨房とトイレ以外)は少ないですが、彼がどういう場所に住んでいたかを感じることができます。

フェンボハウス市立博物館

フェンボハウス市立博物館の外観

フェンボハウス市立博物館(Stadtmuseum im Fembo-Haus)16世紀末に建てられた商人の家を使った、ニュルンベルクという町の歴史を詳細に学べる博物館。

ニュルンベルクが帝国の自由独立都市だった神聖ローマ帝国の時代から、ウェストファリア条約を経て、第二次大戦中とそれから戦後まで。この家そのものの歴史や、ここに住んだ人たちの話もあって興味が尽きません。

ゲルマン国立博物館

ゲルマン国立博物館の写真

ゲルマン国立博物館(Germanisches Nationalmuseum)は有史以前の出土品から、デューラーやクラナハ等の美術作品、楽器のコレクションまで膨大なコレクションを誇る博物館。

そのサイズは、中に修道院がすっぽり収まるほど。これは冗談ではなく、本当に館内に修道院があるのです。歴史ファンなら必見の観光地ですね。

現存する世界最古の地球儀、マルティン・ベハイムの地球儀があるのもここです(2番目に古いものもあります)。現地を訪れたら、ぜひ地球儀上にある「日本」を探してみて下さいね!

ナチス帝国党大会文書センター

ナチス帝国党大会文書センター

ドイツの歴史を語るうえで、決して切り離せないのが第二次世界大戦のこと。

ニュルンベルクは「ドイツで最もドイツ的な都市」としてナチスの中心的役割を担った都市だったので、その未完成の党大会会場が残っています。

ここではヒトラーの生涯や彼の指揮した国家社会主義ドイツ労働者党の盛衰がこと細かに語られます。旧市街からは少し離れていて、トラムで10分ほどかかります。

<記事は広告の後にも続きます>

ニュルンベルクの現地ツアー

最後に

いかがでしたでしょうか。今回は南ドイツの街ニュルンベルクを街歩きした感想と、観光に便利な情報をお届けしました。

ニュルンベルクはそこまでメジャーな都市ではないけれど、複雑な歴史を辿ってきた町。観光地としても魅力たっぷり。

それに、ニュルンベルクカードのような超絶便利なサービスだってあります。

歴史がけっこう好きな僕にとっては、もう大満足の場所でした。みなさんもぜひ訪れてみてください!

参考サイト