こんにちは。めいげつです。
北欧フィンランドの首都ヘルシンキ。2018年にはこの町を舞台にした映画『雪の華』が公開されるなど、話題を集めた街です。
フィンランドは「日本から一番近いヨーロッパ」を謳う国。その首都・ヘルシンキとは、どんな町なのでしょう? ヘルシンキで留学生として10ヶ月あまりを過ごした僕がヘルシンキのようすを写真と共に紹介していきます。
下の画像あるいは目次をクリックして、気になるところへ飛んでみてくださいね。
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ヘルシンキの基本情報とざっくりとした特徴
フィンランド語でHelsinki、スウェーデン語ではHelsingfors(ヘルシングフォシュ)といいます。その街並みの美しさから、「バルト海の乙女」と呼ばれます。
ヘルシンキの面積は214平方キロメートルで、福岡県の糸島市と同じくらい。人口はおよそ64万人(2018年)で、フィンランド最大の人口を誇ります。日本でいうと足立区や船橋市の人口と同じくらいです。
ちなみに他の北欧の首都と比べてみると、約96万人のストックホルムに次いで2位。次いでオスロ(約63万人)、コペンハーゲン(約60万人)、レイキャヴィーク(約12万人)と続きます。
ヘルシンキの特徴をざっくりとあげると、以下のようになります。
- 世界最北の首都の1つ
- バルト海に面した港町
- きれいで静かな首都
- 交通機関がしっかり整備されている
- バイリンガルな町
それでは、ヘルシンキはどんな町なのか、色々な観点から見ていきましょう。
フィンランド国内での位置
ヘルシンキはフィンランドの最南部に位置していて、バルト海に面しています。領土南方の海沿いに主たる町があるのは、北国にはよくあることかと思います。
世界最北の首都の1つ
フィンは南北に長い国です。フィンランド最北端の村ヌオルガム(Nuorgam)で北緯70度で、最南端の町ハンコ(Hanko)は北緯59度。
ヘルシンキはこの最南部に位置していて、緯度は北緯60度です。ヘルシンキは世界で2番目に北にある首都なのです。世界最北の首都の一つなわけであります。ちなみに1位はアイスランドのレイキャビクで北緯64度。
北緯60度にある都市は意外と少ないのですが、それより少し北の町ではアラスカのアンカレッジ(北緯61度)、カナダのイェローナイフ(北緯62度)があります。
ちなみにヘルシンキに次いで北にある首都はノルウェーのオスロ(北緯59度55分)、エストニアのタリン(北緯59度26分)、スウェーデンのストックホルム(北緯59度19分)、ラトビアのリガ(北緯56度56分)です。
ちなみにフィンランドはEU加盟国ですが、世界最北の首都を要するアイスランドはEUに加盟していないため、EU圏内ではヘルシンキが世界最北の首都になります。
日本との時差
ヘルシンキと日本の都市との時差は7時間。東ヨーロッパ時間(UTC+2)というタイムゾーンに属しており、バルト三国やウクライナ、ギリシャなどと同じタイムゾーンです。
しかしフィンランドではサマータイム制が導入されているため、夏の間は時間が1時間後ろ倒しになり、日本との時差は6時間となります。
ヘルシンキの気候
先ほど申し上げた通り、ヘルシンキは南北に長いフィンランドの中でも最南部の沿岸部に位置しています。そのためヘルシンキの気候は、フィンランド国内では温暖な方です。
夏は20度台が大半ですし、30度に到達する日もあるようです(僕は経験していませんが)。湿度も低いため、8月あたりに日本からヘルシンキに着くと非常に涼しく感じます。
それに夏は日照時間が尋常じゃない程長くなります。日本では夏でも19時ごろには暗くなっていますが、フィンランドでは22時を過ぎても明るいです(夏の22時は夕暮れ時です)。23時を過ぎないと暗くならないうえ、夜になっても空がぼんやり明るいのです。夏のフィンランドでは、暗い夜は存在しません。
ただ世界で最も北にある国の1つなので、夏は非常に短いです。8月末になれば涼しくなってくるし、日もどんどん短くなります。
冬はやはり厳しいのですが、北部なんかと比べるとそこまで気温は下がらず、マイナス5度あたりをうろうろしている印象。しかし時折マイナス10度や20度台に近づく日もありますので要注意。そんな日に強風でも吹こうものなら、ちょっと外に出ただけで肌が真っ赤になります。
雪だってよく降ります。僕が住んでいる年には11月に雪が積もり、その翌年の5月にも雪が降り積もるというありさまでした。
そしてヘルシンキ、もといフィンランドの冬は、とにかく暗い! ヘルシンキは南にあるため極夜はありませんが、それでも16時には暗くなります。それに11~12月は天気の悪い日が多く、太陽の見られない日が数週間続くことも。これには本当に気が滅入るし、フィンランド人ですらうつになる人も多いです。
ビタミンD不足を補うため、サプリメントが必須になります。
ヘルシンキの公用語
フィンランドの公用語はフィンランド語とスウェーデン語。フィンランドは、この2つの言語の話者が対等の権利を保障されているバイリンガル国家です。統計によると、国民の大半(87.6%、2018年)はフィンランド語話者で、スウェーデン語話者は5.2%(同年)程度。
ヘルシンキを含めた沿岸部はスウェーデン語話者が多いので、この地域では自治体レベルでもバイリンガリズムが浸透しています(一方、ロヴァニエミなど内陸部にはフィンランド語のみの自治体も多いです)。
ヘルシンキの中心街を歩いているだけでも、バイリンガリズムを感じられます。道路標識、レストランのメニュー、町の案内板、博物館の説明文など全てがフィンランド語&スウェーデン語で表記されているから。外国人の多いヘルシンキではそれに英語がプラスされトリリンガル表記となっている場所も珍しくありません。
地名だって、フィンランド語名とスウェーデン語名があるんですよ! 電車やメトロに乗っていると、駅の名前がフィン語&スウェーデン語でアナウンスされますし、道路の看板にもフィンランド語名とスウェーデン語名が併記されています。
しかしヘルシンキで話されている言語は、フィンランド語とスウェーデン語だけではありません。近年は移民も増加しており、彼らがもたらした言語もまたヘルシンキで話されているのです。たとえばロシア語、エストニア語、ソマリ語やアラビア語などがその例。
ヘルシンキの魅力
ヘルシンキはとても美しい町。中心街にはネオクラシカル様式のシンプルかつ重厚な建物が並ぶかと思えば、カンッピなどの商業エリアでは現代的なビルが並んでおり、新旧が隣り合った街です。
交通機関も発達しています。トラムやメトロ、バスといったネットワークが中心街を網羅しているので、どこへ行くにもその辺を走っているバスやトラムひょいと乗って行けちゃいます。
ヘルシンキは人が少ない町。むろん、東京と比べてですが。人が少ないため静かで(ここがポイント)、非常にゆったりとしていて暮らしやすい街です。東京のような電車の混雑もほとんどなく、市内に一本しかないメトロですらあまり混雑しません。
ヘルシンキは静かな首都。新宿や渋谷など東京の中心は巨大モニターの音とか人や車の往来で非常に騒々しいですが、ヘルシンキはそういった喧しい広告モニターがなくとっても静か。もちろん車やトラムが走る音はするし、信号機の音もあれば脇道で楽器を演奏する人もいます。でも東京の中心街に比べて圧倒的に静かですよ。
ヘルシンキはバルト海(のフィンランド湾)に面した港町。エストニアのタリン、スウェーデンのストックホルム、ロシアのサンクトペテルブルク(陸路でも)、オーランド諸島のマリエハムンとフェリーで繋がっています。
特にタリンは、海を隔てた隣国にありながらヘルシンキを訪れる多くの人に人気の観光スポットとなっています。地元の人も、よくタリンにお酒を買いに行ってますよ(エストニアは酒税が安いので)。
そして自然が近いのもヘルシンキの特徴。中心街はビルが立ち並ぶものの、公園はいくつもあるし、町から少し出れば森や林が広がります。ヌークシオ国立公園やシポーンコルピ国立公園にも、1時間程度でアクセスできます。
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ヘルシンキの地区いろいろ
中心街:カンッピ – クルーヴィ – クルーヌンハカ
ヘルシンキ大聖堂やカウッパトリ=マーケット広場(クルーヌンハカ地区)、ヘルシンキ中央駅とエスプラナディ公園、アテネウム美術館、ストックマン・デパートとアカデミア書店(クルーヴィ地区)がある、ヘルシンキ観光の中心となるエリア。
カンッピ(Kamppi)地区は商業地区。ショッピングモールであるカンッピセンターがあるほか、2018年にオープンした現代建築がクールな美術館Amos Rexがあります。
ヘルシンキ大学のシティセンターキャンパスはクルーヴィ地区とクルーヌンハカ地区にまたがっています。
カンッピ地区の南の方には、フィンランド料理が食べ放題のレストラン「Konstan Möljä」もあります。
中心街南部:カールティンカウプンキ – エイラ – プナヴオリ – ウッランリンナ
中心街の南部にあるエイラ(Eira)やプナヴオリ(Punavuori)、ウッランリンナ(Ullanlinna)といった地区はデザイン地区とよばれ、多くの雑貨屋さんやテキスタイルのお店が点在しています。北欧デザイン好きな方は、迷わずここを訪れると良いでしょう。
カールティンカウプンキ(Kaartinkaupunki)は、エスプラナディ公園のすぐ南側の地区。オールドマーケットホールもあるあたりです。
中心街東部:カタヤノッカ
カタヤノッカは、中心街の東の海岸からぴゅっと飛び出た島のエリア。正教会の大聖堂、ウスペンスキー大聖堂が鎮座しています。
レンガ造りの倉庫のような街並みも乙ですね。僕が大好きなJohan & Nyströmというカフェも、カタヤノッカの古い倉庫建築の中にあります。ヴァイキングラインのフェリーが発着する港もありますよ。
中心街北東部:カッリオ – ソルナイネン – ヴァッリラ – ヘルマンニ
カッリオ(Kallio)やソルナイネン(Sörnäinen)は中心街から見て北東にある地区。ハカニエミのマーケット広場があるほか、安いバーが集まっているエリアでもあります。どことなくヒップスター的な雰囲気のある場所。
この辺りはヘルシンキでも治安が悪い地域として知られていますが、さほど殺伐とした雰囲気があるわけではありません。
ちなみにアラビアファクトリーはヘルマンニ(Hermanni)地区の少し北のトウコラ(Toukola)という地区にあります。
中心街南西部:ランシサタマ
中心街南西部、ムンッキサーリ(Munkkisaari)、ヤトカサーリ(Jätkäsaari)、サルミサーリ(Salmisaari)の3つの半島に跨るエリア。
ヤトカサーリにはエストニアなど近隣国への玄関口、西の港=ランシテルミナーリ(エッケローラインやタリンクシリヤライン利用の場合)があります。
フィンランドの本格サウナやバルト海スイミングが楽しめるロウリュはヤトカサーリ対岸のサルミサーリにあります。
中心街北西部:トーロ – メイラハティ
トーロ(Töölö)地区にはヘルシンキ現代美術館キアスマ、テンペリアウキオ教会といった観光名所がある他、フィンランディアホールやオペラ・ハウス、シベリウス公園もある地区です。国会=エドゥスクンタがある政治の中心でもあります。
昨年オープンしたヘルシンキの新名所、Oodi(オーディ)もここトーロ地区にあります。
メイラハティにはヘルシンキ大学の医学部メイラハティキャンパスがあるほか、セウラサーリ野外博物館もあります。
北部:パシラ – クンプラ – ハーガ – ピタヤンマキ
この辺りになってくると中心街からは離れてくるので、観光客が訪れることはほぼないといっていいでしょう。
パシラ(Pasila)やハーガ(Haaga)、ピタヤンマキ(Pitäjänmäki)といった地区には集合住宅が多くあり、ヘルシンキの地元の人が多く住むエリアになっています。この辺りに住んでいる学生も多いですね。
クンプラ(Kumpula)は少し東よりにあるのですが、ここにはヘルシンキ大学科学学部のキャンパスがあります。
これらエリアは、学生など地元の人の生活に直接結びついたエリアといえるでしょう。
東部:ヘルットニエミ – イタケスクス – ヴオサーリ
東部に行くと、観光客が訪れるような名所はほぼなくなります。ヘルットニエミ(Herttoniemi)にマリメッコのアウトレットがあるくらいです。
イタケスクス(Itäkeskus)はさらに東にある地区。イティス(Itis)という名前の大型ショッピングモールがあります。
ヴオサーリ(Vuosaari)は東の果てで、ヘルシンキ・メトロの終着点です。僕が住んでいた地区でもあります。中心街からはメトロで20分ほど。
特に観光名所はないけれど、すぐ近くに林があるのどかなエリアです。夜はとっても静かなんですよ。
ヘルシンキのおすすめ観光名所
それではフィンランドの首都ヘルシンキの、おすすめ観光スポットを紹介します。
ヘルシンキ大聖堂と元老院広場
言わずと知れたヘルシンキのランドマーク、ヘルシンキ大聖堂(Helsingin Tuomiokirkko/Helsingfors Domkyrka)。元老院広場を見下ろすように立っている白亜の教会です。
内部はルター派の教会らしくとても質素で飾りがほとんどないため、ウスペンスキー大聖堂といいコントラストをなしています。
元老院広場(Senaatintori/Senatstorget)は、ヘルシンキ大聖堂のある広場です。東にヘルシンキ市庁舎、西にヘルシンキ大学本館が建っており、中央で毅然と立つのはアレクサンドル二世の銅像。晴れた日には多くの人が憩いの時間を過ごす、ヘルシンキ屈指の観光スポット。
マーケット広場
マーケット広場(Kauppatori/Salutorget)は元老院広場にほど近い、バルト海を望む開放的なエリア。
午前中から夕方までは、ここで多くのお店が屋台を出しています。ブルーベリーやイチゴなどを売るお店やお土産屋さん、サーモンスープやムイック(サケ科の淡水魚)の素揚げをいただけるスタンドなどなど。
マーケット広場から少し歩くと、赤銅色の、奥行きのある建物――オールド・マーケットホールがあり、そこでは生鮮食品店や小さな食堂が並んでいます。バルト海の幸を中心とした美味しいものが楽しめますよ。
ウスペンスキー大聖堂
ウスペンスキー大聖堂(Uspenskin katedraali/Uspenskijkatedralen)は、中心街から突き出た島・カタヤノッカに立つ東方正教会の大聖堂です。
ヘルシンキ大聖堂が白くて内部も質素なのに対し、こちらは赤銅色のレンガ造りで、内部もよく装飾が施されています。2つの宗派の違いをくっきりと感じられるので、ヘルシンキ大聖堂を観光した後はこちらへ直行してみましょう。
テンペリアウキオ教会
テンペリアウキオ教会は、トーロ地区にある教会。50年前の1969年にティモ・スオマライネンとトゥオモ・スオマライネンの兄弟によって建てられました。
テンペリアウキオ教会は、岩をくり抜いて造られたとても珍しい教会です。内部を取り囲む壁にはごつごつとした岩肌がむき出しになっており、天井には木製の巨大な円盤が浮かんでいるようで、見ていると不思議な気分になってきます。
エスプラナディ通り
エスプラナディ通り(Esplanadi)はヘルシンキの中心も中心、クルーヴィ地区を東西に走る通りです。ここは観光の中心ということもあって、多くの高級ブティックやブランドもののお店、ホテルなどが並んでいます。
北と南エスプラナディ通りが囲んでいるのが、東西に長いエスプラナディ公園。ここはヘルシンキ市民の憩いの場で、天気の良い日にはベンチや芝生でで座ってゆっくりしている人を見かけます。
スオメンリンナ
スオメンリンナ(Suomenlinna)はヘルシンキからフェリーで20分ほどの沖合にある要塞島。フィンランドがスウェーデン王国の一部だった18世紀中ごろに、ロシア帝国への布石として建てられました。現在ではユネスコの世界遺産に登録されています。
スオメンリンナはヘルシンキでも屈指の観光スポットで、フェリーの運賃さえ払えば無料で入館できます。島内には博物館から造船所跡、カフェやレストランから一般の住宅(許可なく入らないでね)もあります。
Oodi
Oodi(オーディ)とは、2018年12月にオープンしたヘルシンキの新しい中央図書館。
町の人々が交流する「リビングルーム」をコンセプトとして設計されたOodiは、何よりそのデザインが圧巻。美しい曲線を描く現代的なデザインながら、木材をふんだんに使った温かみのある雰囲気を出しています。
僕が帰国したあとにオープンした(僕の滞在中はただの工事現場でした)ので、Oodiには行っていません。よってここに写真を載せられないので、気になる人は「Oodi Helsinki」で画像検索してみてください。僕も早く行きたいな!
ストックマンデパートとアカデミア書店
ここまでとは打って変わってショッピングです。ストックマンデパート(Stockmann)は、エスプラナディ通りの西の端にある大型高級デパート。
デパートよろしく地上階には化粧品が並び、上の階には靴屋があったり、マリメッコやラプアンカンクリ等の有名ブランドのお店があったりとちょっと贅沢な買い物を楽しめます。地下には家電と生鮮食品のエリアが入っています。
アカデミア書店は、ストックマンデパートの向かいにある書店です。アルヴァ・アールト(Alvar Aalto)が設計したことで知られます。2階には『かもめ食堂』で登場するCafe Aaltoが入っているので、観光の休憩にももってこいですね。
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まとめ
以上、「ヘルシンキってどんな町?」というタイトルでヘルシンキの色々なところを紹介しました。
実際に住んでみた感想からすると、ヘルシンキはとても住みやすいいい街です。首都でありながらせかせかしていない、のどかな空気が気に入っています(人も少ないし)。欧州への玄関口としてトランジットとしてヘルシンキを訪れる人も多いかと思います。
機会があれば、ぜひ訪れてみてください。
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