私たち日本語ネイティブが、非ネイティブと日本語で話す時の注意点3つ

国際交流基金による2018年の報告書によれば、日本語学習者数は長い目で見ると着実に増えています。日本に来る観光客も年々増えているので、これから日本語を学んでいる外国人と話す機会も増えてくるでしょう。

僕は留学先だったり、日本の大学の日本語クラスだったり、スカイプ上だったりでよく日本語非ネイティブの方と会話をしています。

そうしていく中で、彼ら非日本語ネイティブと話す時に気を付けるべきと思ったことが3つあったのでシェアしようと思います。

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①分かりやすい表現を心がけること

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nile / Pixabay

非ネイティブは、ネイティブに語彙の多さで大きく引けをとります。ネイティブが非ネイティブと話す時に、彼らにとって分かりやすい表現を使うのはとても重要なこと。

僕ら日本ネイティブは普段特に不自由なく日本語で生活していますが、ネイティブの知っている単語の数って、自分達の想像以上に多いです。

個人の語彙のサイズには色々と説がある&個人差がかなり大きいですが、特に大人の場合、数万語は軽いようです。

一方、外国語の初学者が最初に覚えるべき単語は、文章の大意がつかめるようになる2000語とか3000語レベル。それと比べたらネイティブの語彙はその10倍以上

中級や上級の学習者なら1万語とか目指すレベルでしょうか。それでもその数倍の語彙を我々日本語ネイティブは知っていることになります。

知っている語彙にこれだけ差があるのでは、ネイティブが「普通に」話しても大概伝わりません。

なのでできるだけ難しそうな表現を使わないようにし、仕方のないときはパラフレーズ(言い換え)してみるなどします。これが結構、頭使うんですよね。

近年は外国人労働者が増えたことを背景に、「やさしい日本語」という言葉も整備されました。

ネイティブの膨大な語彙を総動員して分かりづらい表現をするよりも、できるだけやさしい単語を使って、「彼らに分かってもらうにはどうしたらいいか?」と頭をフル稼働するほうが良いかと思います。

でも使っている表現があまりに簡単すぎると、相手を子ども扱いしているようになってしまうので、後述の③との折り合いが結構難しいです。

それに加えて、あまり易しい表現にこだわりすぎると、かえって自分の日本語が不自然になってしまうという問題も起こります。

自然な生きた日本語を学びたいと思っているであろう日本語学習者にとっては、迷惑なことかもしれません。

まあこれは、相手に理解してもらうこと、会話を成立させることを目的とするならばある程度仕方のないことでしょう。相手の理解レベルを見て判断していくべきでしょうね。

②ゆっくり話すこと

ゆっくり話すこと。相手が自分の言語の非母語話者で、自分の言っていることを理解してもらう場合はとても重要です。それもかなりゆっくりめ。

どんな言語でも当てはまることですが、ネイティブにとっての「普通」のスピードって、非ネイティブにはかなりの高速です。

英語を学んでいて海外ドラマを見たことのある人には、心当たりがあるのではないでしょうか。ネイティブのナチュラルスピードは中上級者でなければまず聞き取れません(単語や表現によっては中級者でも難しいかも)。

異言語の音に耳を慣れさせるのは、そもそもが非常に時間のかかることなんですよね。

無論相手のレベルにもよりますが、自分が思うよりもかなり遅めに話した方が相手側がうまく聞き取れることが多いです。長文ならなおさら。

僕もアルバイト中、英語圏出身のお客さんに「日本語でThank youって何て言うんですか」と聞かれたことがありました。

それに答えて「『ありがとう』ですよ」と自分にとってのゆっくりめのスピードで言ってみたのですが、彼らかなり面食らっていて。そして隣にいたマネージャーに「それじゃ速過ぎるよ」と軽く注意を受けました……

まあ「ありがとう」「こんにちは」程度でしたら日本語を少しかじった人なら問題ないと思いますが、その人の知らない単語だった場合はかなりゆっくり言ってあげると良いですね。

もちろんこれも、③の子ども扱いの問題に関わってくるので相手のレベルを考えて行うべきですが。

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③相手を笑わないこと。そして子ども扱いしないこと(最重要)

3つ目は、相手を子ども扱いしないこと! そしてバカ扱いしないこと。これが一番大事。本当に大事です。

非日本語ネイティブと日本語で会話しているとき、一部の例を除いて基本的に自分より相手の日本語の方が拙いことが多いでしょう。

そういう拙い文法や発音って、僕ら母語話者にとってはかなり子どもっぽく聞こえますよね。

ですが、そこでその人に、子どもに話しかけるような話し方やジェスチャーをしたら完全アウトだと思っています。

相手は基本的に立派な大人だったり、少なくとも大学生以上であることが多いです(欧米の大学生とかは日本の大学生より年上なことが多いけど)。

たしかに大の大人が子どものような話し方をのを聞くと少しクスッとしてしまうかも知れませんが、そうやってクスッと笑うのもアウトだと思っています。

ライターの雨宮紫苑さんも、同様のことを書かれていますね。

先日ツイッターのタイムラインに流れてきた番組のワンシーンは、まさにこれに該当しています。

こうやって公共の電波で一方的に流すのも絶対にアウトです。これ日本語の分かる(そしてコンビニで働いている)非ネイティブが見たらどう思うか考えないのかな?

個人的な体験談ですが、僕もフィンランド留学中にフィンランド語で話している時も、そんな風な対応をとられたことがありました。

正直非常に気分が悪かったので、その人とフィンランド語で話すのはそれ以降止めました。

まあ語学力の上達を目指すのなら、「なにおう」と不屈の心でその悔しさをバネにした方が良かったんだろうとは思いますが。

こっちは理解しているのに笑われるのは不愉快この上ないですからね。「あんたとはフィンランド語で喋らないよ」という意思表示をしました。

まあこんな偉そうなことを言っていますが、自分もこれに関しては前科持ちです。

修学旅行で台湾に行き、現地の高校生の中に日本語がある程度できる女の子がいたのですが、その子に対して子どもと接するかのような態度をとっていた記憶があります。

高校生の時だったので若いから仕方ないよと思いたいところですが、相手を傷つけてしまっていたら年齢関係なくアウトですし。

これ本当に無意識にやってしまいがちなので、自戒の意味もこめて注意していきたいところです。

自分が外国語で話しているときはこの言い方で上手く伝わるだろうかとか、この表現は適切だろうかなどと色々気にしながら頭を使って会話すると思います。

そういう時に比べ、自分が母語で会話している時は、長年慣れ親しんだ言語で話しているだけあって幾分気が緩みがちかもしれません。

そういうときにこと相手を気遣いながら楽しい会話ができればとても良いことだと思います。自分の話す言葉を考えながら話すことで、自分の母語に対する知識も深まりますからね!

まとめ:日本語ネイティブこそ気を付けるべきこともある

以上、非日本語ネイティブと日本語で話す時に気を付けるべき3点でした。

日本へやってくる外国人観光客は増えていっていますし、日本への移民の増加によって日本語ノンネイティブはどんどん増えていくと予測されます。

彼らは本当に一生懸命勉強しています。外国語だらけの環境で接客業やるなんて信じられないくたい大変でしょうに。外国語をそれなりのレベルまで押し上げた経験のある人ならわかるはず。これを理解するためにも、まじめに外国語を勉強するのは大切だと思っています

日本語語ノンネイティブは日本で暮らしていくうえで日本語を学ばなければなりません。一方で彼らを受け入れる私達日本語ネイティブも、彼らのやる気を削ぐような酷い対応をしないように心掛けなければなりません。

それでは。ご意見・反論等ございましたらどんどんください!

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2件のコメント

  1. tt

    片言でも伝わる言葉を話せるだけで凄い努力が必要なことなんですよね。日本で働いてる外国人の方々は本当に凄いと思います。プレッシャー半端ないと思います。

    • めいげつ

      tt様
      コメントありがとうございます。
      本当にその通りです。自分たちが外国で、英語またはその他外国語を使って働く(しかも相手はネイティブ)ことを想像してみればおのずと分かると思うんですが……どうもその辺りの想像力が足り人が少なからずいるような気がしてなりません。

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