こんにちは。めいげつです。
日本語は、発音が単純な言語です。一方、英語をはじめとする外国語には日本語よりも発音がずっと複雑なものも少なくありません。こういった言語の単語だったり人名をカタカナで表記するとき、発音の問題が起こることもしばしば。
この記事では、フィンランド人の名前の特徴と、名前が間違って書かれやすいフィンランドの有名人を紹介します!
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フィンランド人の名前・名字の特徴
フィンランド語じたい日本語に似た発音が多く、他のヨーロッパ言語に比べて日本人にも発音しやすいです。フィンランド人の名前・名字もそう。
Jouko(ヨウコ、男性名)、Mika(ミカ、男性名)、Aki(アキ、男性名)、Riku(リク、男性名)、Einari(エイナリ、男性名)、Aino(アイノ、女性名)、Airi(アイリ、女性名)などなど日本人っぽくきこえるものも。
そんなんなので日本人には少しクスっときてしまう苗字の人もいます。Aho(アホ)、Ahokas(アホカス)、Mäenpää(マエンパー)、Putaansuu(プターンスー)、Piippo(ピーッポ)など。
ネン、ラがつく名字が多い
「~ネン」
フィンランド人の苗字を並べてみるとある特徴に気づきます。それは、「ネン」で終わる名字が多いこと(あとは「ラ」で終わるもの、これは後述)。
Virtanen、Kovalainen、Mäkinen、Holopainen、Nevalainen、Häkkinen、Katajainen、Juutilainen……などなど。
この「~ネン」自体は、フィンランド語でたくさん使われるものです。接尾辞と呼ばれるものですね。単語の後ろにくっついて小ささを表したり、形容詞に使われたりと幅広い用法があります。
それに「~人」には-lainenが使われます。フィンランド人ならSuomalainen(スオマライネン)、日本人ならJapanilainen(ヤパニライネン)、アメリカ人ならAmerikkalainen(アメリッカライネン)。
フィンランド国内の地名やフィンランド周辺国に由来する名字にも-lainenが使われます。Lappalainen「ラップランド人」、Hämäläinen「ハメ人」、Savolainen「サヴォ人」、Karjalainen「カレリア人」、Suomalainen「フィンランド人」、Virolainen「エストニア人」、Venäläinen「ロシア人」、Ruotsalainen「スウェーデン人」。これ全部フィンランド人の名字です。ちょっと混乱してきますね。
地名にも「ネン」がつくものがありますKauniainen、Kaskinen、Törmänen、Kaamanen、Oulainen、Kakslauttanenなど。フィンランドにおいて、「~ネン」名字に限らず幅広く使われるものなのですね。
「~ラ」
「~ラ」がつく名字には、Hietala、Parikkala、Salmela、Kurkela、Ahola、Seppäläなどがあげられます。
もともとこの-la(-lä)は「~が存在する場所」のような意味。
kahvi「コーヒー」につければkahvila「カフェ」になりますし、ruoka「食べ物」ならruokala「食堂」。近年日本でも知られるようになったネウボラは、「アドバイス」という意味のneuvoにこのlaをつけた単語です。
スウェーデン語由来の名前
フィンランドには、実はスウェーデン語を母語として話す人もいます。そういった人はスウェーデン語の名前・名字であることが多いです。
スウェーデン語系のフィンランド人は伝統的に、首都ヘルシンキのほか、南部や南西部、西部の海岸沿いの地域に多く住んでいます。
(なおスウェーデン語の名字を持つ人でもフィンランド語ネイティブの人もいたりするので一概には言えません。また、フィンランド語の名字のを持つアルヴァ・アールトは家庭ではスウェーデン語を話していたそうですし)
スウェーデン語の名前は子音が多かったり、bやgなどの有声子音がついてるので、見ればすぐにわかります。発音は少し難しいし、ぱっと見で読みづらいのも多い……それでも英語よりマシだけど。
特徴としては~ホルム、~ベリ、~マン、~ウスで終わるのが多いですね。
たとえばHolmberg(ホルムベリ)、Broman(ブルーマン)、Lindgren(リンドグレン)、Edelfelt(エーデルフェルト)。日本でも知ってる人のいるSibelius(シベリウス)、Jansson(ヤンソン)、Torvalds(トーヴァルズ)、Schjerfbeck(シャルフベック)などもスウェーデン語由来の名字です。
フィンランド語の発音
先ほどフィンランド語は日本人にも発音しやすいとは書きましたが、日本語とフィンランド語はあくまで別の言語。問題がないわけではありません。
もちろん、フィンランド語は綴りと発音が一致するし、ほぼローマ字読みでもある程度対応できるという点もあります。
しかし、「ö」「ä」「y」といった日本語にはない母音、2種類のアの区別、長いLとR、子音の直後に来る促音……とカナ表記では対応できない発音が複数あります。
間違った日本語表記が使われがちなフィンランド人の有名人6名
Simo Häyhä(シモ・ヘイヘ?)
対ソ連の冬戦争で活躍したスナイパー。彼が記録しただけでも、戦争中に狙撃した人数が500人を超えるというから驚き。
日本語ではシモ・ヘイヘと表記されますが、かなり苦し紛れといった印象。実際の発音は/hæyhæ/でフィンランド語特有の発音が多く、カナ表記は事実上不可能です。あえてカタカナにするならハユハやハウハかな。
もっというならシモもスィモと発音されますが、ここまで指摘するのは野暮というものでしょうね。
Kimi Räikkönen(キミ・ライコネン?)
日本でも人気のあるF1ドライバー。「アイスマン」という愛称でも親しまれる方。日本語ではキミ・ライコネンと呼ばれますね。
現地語により忠実にするなら、長子音を反映してライッコネン(ライックネンでもいいかも)でしょう。発音記号にしたら/ræikːønen/となります。
Tuomas Holopainen(ツォーマス・ホロパイネン?)
フィンランドを代表するヘヴィメタバンド・Nightwish(ナイトウィッシュ)は、日本でもメタル好きなら知っている人もいるでしょう。Tuomasはそのキーボーディストであり、リーダー。
日本語だとツォーマス・ホロパイネンと表記されますがこれもかなり苦しい。Tuomasは発音記号にすれば/tuoms/なので、トゥオマスが正しいです。ウィキペディアの記事には小さく書かれていますね。
Tarja Turunen(ターヤ・トゥルネン?)
前述のNightwishの元ボーカル(初代)の女性。リート歌手ながらヘヴィーメタルバンドで活躍するという異色の経歴の持ち主です。日本ではターヤ・トゥルネンと呼ばれます。
フィンランド語では、rは音節のどこにあろうが巻き舌でしっかり発音するので、タルヤ・トゥルネンの方が正確ですね。ウィキペディアによれば、彼女の名前はドイツを経由で伝わったからターヤと表記されるのだとか。
Tapio Wirkkala(タピオ・ヴィルカラ?)
Tapio Wirkkalaは、フィンランドを代表するデザイナー。日本ではタピオ・ヴィルカラとして知られます。
しかしkkが2つ重ね書きされているため、ヴィルッカラと書くのがより正確です。WはVで発音されるのでウィルッカラでなくヴィルッカラで大丈夫です。
Matti Nykänen(マッチ・ニッカネン?)
2019年に亡くなった元スキージャンプ選手。寡聞ながら僕は初めて名前を耳にしたのですが、日本ではマッチ・ニッカネンと表記されるみたい。
まず名前のMattiはマッティと発音されます。フィンランド語にはチャ行の音はありません。
そしてNykänenは/nykænen/で、あえてカタカナにするならニュカネン。yとiはフィンランド語では全く別の音ですし、Kを重ね書きしていない以上小さいツは不要となります。
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まとめ
以上、フィンランド人の名前の特徴と、名前を間違われやすいフィンランド人のご紹介でした。
もちろん日本語とは別の言語であるフィンランド語を完璧にカナ表記するなんて無理な話です。しかしここにあげた方の名前は、どういう訳か「もう少し上手に書けるでしょ」「どうしてこうなった」と思うものばかり。
外国語の名前のカナ表記が完璧ではないことを踏まえたうえで、できる限り原語との誤差を縮めていく努力をすべきでしょうね。今はForvoなどのサービスもあるので、外国語ネイティブの発音に簡単にアクセスできるんですから。
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