言語を愛するみなさんこんにちは。めいげつです。
ポリグロットといえば言語を愛する人たちのこと。そんな言語好きたちが世界中から一堂に会するイベントが、福岡で開かれました。それがPolyglot Conference(ポリグロット・カンファレンス)です。
僕めいげつも言語好きの一人として、この度のPolyglot Conferenceに参加して参りました。その様子をかいつまみつつここに書いておきます。
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Polyglot Conferenceとは
Polyglot Conference(ポリグロット・カンファレンス)とは年に一度開かれる、世界中のあらゆる言語オタクたちが一堂に会すイベントです。
そもそもポリグロット(polyglot)とは複数の言語を話す人のことをいいます。よく聞くマルチリンガル(multilingual)と同義ですが、multilingualはラテン語由来の単語なのに対して、polyglotはギリシャ語由来。
ただpolyglotには「別段生活に必要ではないにも関わらず複数の言語を楽しんで学んでいる人」というニュアンスを持ちつつあるようです(BBC The Superlinguistsより)。
Polyglot Conferenceを創めたのはイギリス人のハイパーマルチリンガルにして言語好き界隈のスーパースターであるRichard Simcott氏。
彼はこれまで50もの言語を学習し、テレビやインターネット上で多数のメディアの取材を受けています。
僕が以前このブログで紹介したBBCドキュメンタリー番組「The Superlinguists」でも登場しています。
第1回のPolyglot Conferenceは、2013年にハンガリーの首都ブダペストで行われました。
その後ノヴィ・サド(セルビア)、ニューヨーク、テッサロニキ(ギリシャ)、レイキャビク(アイスランド)、リュブリャナ(スロベニア)と欧米諸国で開催されたのち、今回アジア最初の開催場所として日本の福岡が選ばれました。
Polyglot Conferenceの歴史については、公式サイトに詳細が載っています。英語です。
いちおうへっぽこ言語オタクである僕もいつかは参加してみようかなーという気でいたのですが、今回日本での開催ということだったので急遽参加を決定しました。
年一度の言語好きの祭典で世界中の言語オタク達と交流するの巻
開催場所とオープニングセレモニー
Polyglot Conference 2019が開かれたのは、九州産業大学のキャンパス。博多駅から九州産業大学前駅まではJR鹿児島本線で20分ほど。中心部からのアクセスはいいものの、キャンパスの周辺は非常にのどかな場所です。
Polyglot Conferenceのオープニングセレモニーが行われたのは、10月18日の18時。その前にもバスク語とかウェールズ語のワークショップなんかが行われていたのですが、僕は博多でラーメンをゆっくり食っていたところ見事に到着が遅れてしまいました。
なのでオープニングセレモニーまで1時間ほど、受付ロビーで他のポリグロットたちと談笑していました。
その時に、日本での在住経験もあるカナダ人ポリグロットのSteve Kaufmann氏(先の動画にも出ています)や、主催者のRichardと軽く会話を交わし、自撮り写真も撮ってもらいました。ここには載せませんけど。
現在フィンランドのヘルシンキに住んでいるというドイツ人女性にも遭遇。僕もヘルシンキに住んでいたことがあるので、軽くヘルシンキトークが盛り上がりました。
その後は受付ロビーで知り合った日本在住日本語ペラペラのブラジル人男性と中洲の屋台に行ってきました。
プレゼンをはしごする
2日目と3日目はプレゼンやワークショップが中心。
こちらは現在カナダのモントリオール在住で、5言語での子育てを実践している方のプレゼン。
両親がそれぞれ違う言語を話し、家の外では英語とフランス語の環境があり、そしてスペイン語ネイティブのオーペアを雇うことで5言語のマルチリンガル環境を実現しています。
この方の主張では、1人の人を1つの言語と子どもの頭の中で結び付けさせることが重要とのこと。日本と台湾、カナダを行ったり来たりとかなりハードな生活をしておいでです。それにしてもオーペア高くつくなw
Steve Kaufmann氏は、外国語学習においてはインプットが何を置いても重要という見方をしていて、それについては僕も同意。
より多くその言語に触れることで語彙も表現もより豊かになっていきます(最近始めたドイツ語もこの方法に則って学習していこうかと考えているところです)。
彼と息子さんが作ったLingQというアプリもその考え方に基づいて開発されているようです。
ただ「スピーキングからは学べない」というのは少し言い過ぎかなと。アウトプットはインプットの助けになりますし。
こちらもポリグロット界隈では有名人のAlexander Arguelles氏。ご自身も多言語を学んでいながら、言語学習について研究もされている人です。
BBCの「The Superlinguistics」でもインタビューされていました。
彼はアメリカで「言語の村(Concordia Language Villages)」という一種のイマージョン・プログラムを行っています。
「言語の村」と名がついていますが実はその名の通り、ターゲットとなる言語が話されている地域の村を模した村を本当に作っていて、そこで言語を学んでいる人がその言語にどっぷりと浸かりながら言語を学んでいくのだそう。
このプレゼンは新しくされたフィンランド語村を、ご自身で体験された報告でした。
そして福岡でのPolyglot Conferenceのトリを飾った(もちろんその後パネルディスカッションやクロージングセレモニーもありましたけど)のがポリグロット海の超有名人Alex Rawlings氏。テーマは言語と性格について。
複数の言語を話す人にとって、「話す言語によって性格が変わる」という経験をした人は少なくないと思います。僕も英語を話す時は声が大きくなりわりと抑揚も豊かになりますが、日本語を話していると声が小さく抑揚の少ない陰キャラ丸出しになる、と自負しています。
そして話す言語によって性格が異なるのは、その言語自体の性格のせいではないかと思う人もいるわけです。日本語は曖昧な言語だから日本語を話す時は遠回しな話し方をしがちになる、ドイツ語は論理的な言語だからドイツ語を話す時は論理的になる、等々。
多言語話者として彼も同じような経験をお持ちのようですが、「果たしてそれは本当に言語によるものなのか?」というのが中心的な議題でした。その言語を習得した環境だったり、話し相手による影響だったり(彼がギリシャ語を話している時オープンな性格になるのは、彼がギリシャ語を習得した時が常にバカンス中だったからじゃないのか、という話もしていました)。
僕の英語話している時の性格はおそらく留学中に会ったの人々の影響が大きいと考えているので、これは結構納得。
Polyglot Conference終了、次回の開催地は?
プレゼンが一通り終わると、Alexander Arguelles氏を中心に、カンファレンス中にプレゼンをしたハイパーポリグロット達5人が登壇しパネルディスカッションが開かれました。
その後はRichardによる閉会の言葉があり、次回の開催地の発表がされました。
次回のPolyglot Conferenceの開催地は、日本を遠く離れたアメリカ大陸、メキシコ中部の町サン・ペドロ・チョルラ(San Pedro Cholula)に決定。2020年10月16日から18日の開催です。
Polyglot Conferenceは今までヨーロッパと北米、そして今回アジアと来たので僕としてはオーストラリアあたりかなと予想していたのですが……見事にはずれました。
というわけで、次回はメキシコでの開催です。
そういえば次回開催地発表の少し前に、日本人の男性が声をかけてくれました。彼は高校生で、なんとフィンランド語に興味があるのだとか。ヘルシンキ大学の留学にも興味があるようで、フィンランド語の分厚い文法書とサーミ語の教科書(!)を抱えながらその熱意を語ってくれました。
いや高校生でこのカンファレンスにくるって中々の行動力ですね! 高校生当時の僕なんて今よりもインドアでしたよ。
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まとめ
というわけで、今年福岡で開催されたPolyglot Conferenceに参加した時の様子をお伝えしました。
本当にすごい人が多くてだいぶ圧倒されましたが、かなり刺激をもらったのでわざわざ行ってきて良かったと思います。入場料と航空券はかなり堪えましたがね。
少し残念だったのは、日本人の参加者が少なかったことですね。僕が確認した限りでは、日本人参加者は僕含めて5人程度でした。
次回の開催地はメキシコですが、正直遠いので参加するかどうかは正直なんともいえないですが。まあ来年は来年の風が吹きますので、様子見するとしましょう。
カンファレンス終了後は、福岡市内や大宰府などを観光し、大分の由布院で一夜限りの温泉旅行をしました。
ゆったりくつろいで、癒されました。まあ一人だと部屋もお風呂も広すぎたけど。
Kento Sato
こんにちは!
僕も参加していました!
素晴らしい記事ありがとうございます!
僕も数少ない日本人言語オタクの一人です!
ぜひ繋がりましょう!
めいげつ
こんにちは! なんとPolyglot Conferenceに参加していた方からコメントを頂けるとは……!
日本で開催されたとはいえ日本人はかなり少なかったですよね。日本人の言語オタクはまだまだ少数派なのでしょうか笑
仏西独露にインドネシア語とペルシャ語ですか、僕はまだヨーロッパ語中心ですが、もう少しヨーロッパ語に手を出したらアジアの言語(特にペルシャ語は気になっています)も学び始めようかと思っています……!
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