こんにちは。語学オタクのめいげつです。

突然ですが、一つ言語って、世界の切り取り方の一つの形だと思うのです。言語が違えば切り取り方は違ってくるし、日本語には日本語の、英語には英語の描き出す世界があります。それは単語が表すものの範囲であったり、ものを表す単語こ違いといったところに表れます。

そして本日のテーマは合成語。それもフィンランド語の。合成語とは、新しいモノや概念を、すでにある単語と単語をくっけて表した単語のことをいいます。

日本語の「車+椅子」とか「通勤+ラッシュ」みたいな単語のことですね。僕はフィンランド語を勉強していて面白い合成語を何個か見つけたので紹介したいと思います。

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tietokone(情報+機械)

Free-Photos / Pixabay

tietokoneは「パソコン」。知識を意味するtieto(ティエト)と、機械を意味するkone(コネ)の合体語です。

たしかにパソコンは様々な情報を扱っている機械なのですが、普段そのことをあまり意識していなかったので、この単語を知ったときははっとしました。

英語ではcomputerですね。動詞compute「計算する」から派生した言葉で、それがそのまま日本語に借用されてます。まあ日本語ではコンピューターよりもパーソナルコンピューターを略してパソコンと呼ぶ方がほとんどでしょう。

余談ですが世界的なフィンランド企業に「コネ」という会社がありますね。「機械」というとてもシンプルな名前です。

sanakirja(単語+本)

単語の載っている本と言えば辞書。

単語+本=辞書という公式はスウェーデン語のordbok(ord「単語」+bok「本」 )やドイツ語のWörterbuch(Wörter「単語Wortの複数形」 + Buch「本」)などなど、英語以外のゲルマン語の単語にも共通すること。

英語のdictionary、フランス語のdictionnaireなどはラテン語由来なのこれには当てはまらないようです。

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palapeli(ピース+ゲーム)

ピースゲームとはパズルのこと。

英語ではpuzzle、日本語ではパズルと、不思議なことにピースもゲームも入っていません。

全く単純な話なのですが、「ピースゲーム」とは何となくこのゲームの本質をついているように感じます。

mikroaaltouuni(マイクロ+波+オーブン)

Structuro /Pixabay

マイクロ波を使う加熱機器といえばそう、電子レンジですね。

英語ではmicrowave oven。これをそっくりそのまま直訳した単語です(mikroは訳ですらないけど)。

日本語では「電子レンジ」なので、英語でもフィンランド語でも「~オーブン」と呼ばれているのが意外に思った記憶があります。僕にとってオーブンと電子レンジは完全に別物扱いだったので……まあ似てるか似てないかと言われると似てるけど。

ところで、「レンジ」という言葉の由来は何なのでしょう? これは英語でコンロを意味するrangeからとったもののようです。

たしかに食べ物を温めるという意味ではあっているように思えますね。まあオーブンの方がより適役だとは思いますが。

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joulukuu(クリスマス+月)

クリスマスのある月と言えば言わずもがな、12月。joulukuuはヨウルクーと読みます。ジョウルクーじゃないよ。

フィンランド語には、日本語の1月2月3月のような殺風景な名前ではなく、かといってJanuary February Marchのようなラテン語由来の借用語でもなく、むしろ睦月如月弥生のような独自の月の名前があります。

ここに全て載せるとと幅をとりすぎるので解説付きのブログ記事へのリンクを貼っておきます。興味があれば見てみてくださいね。

ちなみに英語のDecemberはラテン語で10を表す単語decemから派生したようで本来は「10月」の意味。現在の西暦の3月から始まっていたローマの暦ではちゃんと10だったようです(3月までの冬の時期はそもそも暦には入っていなかったとか!)。ソースはここ

vuodenaika(年+時間)

これは字面からは少し想像しづらいかもしれません。「年」プラス「時間」はなんと「季節」という意味。

正確には年「の」+時間ですが(vuodenはvuosi「年」の属格=所有格なため)。

そういえばロシア語にもвре́мя го́да(ヴリェーミャ・ゴーダ、「年の時間」)で「季節」を表す言い方があるので、何か関係があるのかもしれません(フィンランドはロシア帝国の一部だった時期があるのでもしかしたら……)。

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napapiiri(極+円)

ロヴァニエミのサンタクロース村にて。ここが北極圏の入り口

ナパピーリ。極は主に北極や南極という意味での「」で、napapiiriその「極」を中心とした円。日本語ではぴったり一致する言葉が見当たらないですね。

napapiiriは北極中心と南極中心の円どちらも指すのですが、フィンランドは北半球のずっと北にあるので、フィンランドでnapapiiriといえば北極圏、ということになります。

と聞いて、どこかで聞いた覚えがあると思いませんでしたか。そう、先日日本に再上陸したイタリアのファッションブランド「ナパピリ」も、(綴りはNapapijriですが)おそらくこのnapapiiriから来ていると思われます。

僕はアウトレットで偶然見つけたポロシャツが気に入った記憶があります。フィンランド語の名前を持ち、ノルウェーの国旗をあしらったイタリアのブランド……まさにインターナショナルです。

viinirypäle(ワイン+房)

ワインの房と言われるとボトルワインが密集しているような絵を思い浮かべてしまいます。

そんなまさか。いえいえ、viinirypäle(ヴィーニリュパレ)とはワインの主な原料、ブドウのことです。

日本語ではブドウ、英語ではgrapeとシンプルに一単語で済んでいるのに、わざわざワインと他の単語をくっつけなければならないのは一見面白いですが「わざわざ……」と思えてなりません。

これもワインが歴史的に作られてこなかった寒い地域の宿命でしょうか。

余談ですが、最近ではイギリスやデンマーク、スウェーデンなどでもワインが作られているそうです(以前紹介したフランスのラジオ番組Accents d’Europeでやっていました)。

温暖化の影響が違った形で表れています。フィンランドではどうかと言うと、タンペレのSundom Wineというところでワインが作られているようです。

ちなみによく似た単語でgreippiがありますが、こちらはグレープフルーツという意味です。紛らわしいったらありゃしませんね。

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lohikäärme(サケ+ヘビ)

ドラゴン(lohikäärme)のシルエット画像
OpenClipart-Vectors / Pixabay

ロヒカールメ。サケ蛇とは何か想像がつきますでしょうか。

答えはドラゴン。ファンタジー小説によく出てくるアイツです。羽が生えていたり火を噴いたりする巨大なアイツです。

ではなぜサケ蛇がドラゴンになるのか? フィンランド内国語センター(Kotus)の記事によると、lohikäärmeは古スウェーデン語のfloghdrakeからとったものなのだそう。

floghdrakeのfloghの部分は「飛ぶ」という単語と同系の単語なのですが、フィンランド語の発音規則に合わせてlouhi→lohiになり、「ヘビ」を意味するdrakeはそのままフィンランド語でも「ヘビ」という意味のkäärmeに訳されたのだとか。

なぜ前半は音だけ選び出して後半はフィンランド語訳という変なことをしたのでしょう。言語に忠実に「飛ぶヘビ」lentokäärmeにすればよかったのに……と思ってしまいます。謎の深い言葉です。

mielikuvitus(心+描写)

ミエリクヴィトゥス。なんだかラテン語みたいな格好良い響きではありませんか。

mieliは心(英語でいうmindのほう)、kuvitusは描写。心理描写かと思ってしまいますが、「想像」という意味です。少し変化させてmielikuvituksellinen(ミエリクヴィトゥクセッリネン)にすると「想像上の」とか「不思議な・ファンタジックな」という意味になります。単語が長いのはご愛敬。

ラテン語っぽいからといってmielikuvitumとかmielikuvitīみたいな活用はしないのでご注意を。

以上、今回はフィンランド語の合成語を取り上げてみました。とりあえず思い付いたのはこれくらいですが、今後も見つけ次第ぼちぼち追加していこうと思います。

tietokoneやsanakirjaなんかはとてもシンプルな単語ですが、意外と思い付かなかったところを突いてくるように感じます。他の言語でも探してみと面白いものが見つかるかも知れませんね。

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