こんにちは。めいげつです。

同音異義語は、発音が同じでも意味が違ういくつかの単語をいいます。日本語には同音異義語が多くて、「貴社の記者が汽車で帰社する」という言葉遊びがあるくらい。

フィンランド語も日本語のように音素が少なく同音異義語が発生しやすいので、いくつかこういった言葉遊びが存在します。

今回はその中でも,、なんと意味が9通りに解釈できる「Kuusi palaa(クースィ パラー)」を解説します。

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Kuusi palaa.とは

「Kuusi palaa.」とは、フィンランド語の同音異義語を言葉遊びです。発音はいたってシンプルで、書いたとおりに読んで「クースィ パラー」。

フィンランド語はヨーロッパの言語にしては音素が少なくて、しかも音節の構造もシンプル、そして単語がよく変化するしで同音異義語が発生しやすい下地が整っています。

フィンランド語にも同音異義語を使った言葉遊びはいろいろあるのですが、この「Kuusi palaa.」なんとも極端で、なんと9通りに解釈できるのです。

その「Kuusi palaa.」の9通りの解釈がこちら。

  • 「木が燃えている」
  • 「木が帰ってくる」
  • 「6が燃えている」
  • 「6が帰ってくる」
  • 「6つのピース」
  • 「6人が燃えている」
  • 「6人が帰ってくる」
  • 「あなたの月が燃えている」
  • 「あなたの月が帰ってくる」

だいぶ訳の分からない不自然な文が並んでいますがそれはいいとして。

これだけ解釈が多いのは、それぞれkuusiが4つ、palaaが3つの意味を持つから。ただし単純な掛け算はできないため9通りになっていますが、それは後ほど解説します。

それではこのkuusiとpalaaが何者なのか、一つずつ見ていきましょう。

kuusiとpalaaのそれぞれの意味

kuusiの意味

6の目が出たサイコロの写真
Carola68 / Pixabay

「トウヒの木」

まず、「トウヒの木」という意味のkuusi。トウヒ(唐檜)マツ科の常緑樹で、フィンランドの森に多く自生します。

ちなみにフィンランド語でjoulukuusiというとクリスマスツリーのこと。フィンランドではよくトウヒの木がクリスマスツリーに使われるそう。

kuusiではなくkuusipuuとも言われます。こっちの方が意味がはっきりすますね。

数字の6

続いては数字の6。1から数えて行くと、yksi(1)、kaksi(2)、kolme(3)、neljä(4)、viisi(5)……ときてkuusiです。

6ユー=kuusi euroaという風に使われます。

6(人)

kuusiはフィンランド語で数字の6でした。これはそのまま「6人」という意味にもとることができます。英語でいうthe sixかな。

kuu + -si

最後に「あなたの月」という意味のkuusi。

月を所有する人が現実にいるのがどうかは置いといて、このkuusiはこれまでに説明したkuusiとは構造が異なります。

「トウヒの木」「6(人)」のkuusiがそれで単語として存在しているのに対して、こちらはkuu+siという構造。

まずフィンランド語で「月」はkuu(クー)といいます。その後ろにくっついているsiは、フィンランド語の2人称所有接尾辞と呼ばれるものです。

単語の後ろに-siをつけると、「あなたの(英語のyour)」という意味になる。ウラル語族やトルコ語などに特有の表現で、日本人には少し理解しづらいかも。もちろん「私の」「私たちの」「彼の」のバージョンがすべて揃っています。

「月」という意味の名詞kuuに2人称所有接尾辞をつけて、kuusiの完成です。

palaaの意味

炎の写真
spennucci / Pixabay

続いて、palaaの解説に移ります。

palaa「燃える」の3人称単数形

「燃える」という意味の動詞palaa(パラー)の3人称単数形。

主語が単数で、3人称(「私」か「あなた」意外)ならばこの形が使えます。というか、現実的に考えて3人称以外ではまず使いません。

palata「戻る」の3人称単数形

次は「戻る」という意味の動詞palata(パラタ)の3人称単数形。

主語が単数で、3人称(「私」か「あなた」意外)ならばこの形が使えます。

この-taで終わる動詞は、現在形を作る時にtを抜いてから人称語尾をつけるので、palaaになるわけです。

ちなみに主語が「私」ならpalaan、「あなた」ならpalaatになります。

ピースの分格

最後に「ピース」という意味の名詞palaの「単数分格」という形。こちらは名詞なので、前述の2つとは明らかに構造が違います。

分格というのは「全体ではなく一部分」を表す形なのですが、フィンランド語独特の格でかなりニュアンスが複雑。ざっくりいうと他動詞の目的語になっているときか、数字や特定の名詞に続く場合のみ使うことが出来ます。

(特定の名詞とは、osa「部分」やjoukko「グループ」など、割合とか集団を表す名詞です)

つまりpalaを数字のkuusiが修飾ている場合、palaが分格になってkuusi palaa「6つのピース」が成立するわけです。この6つのピースが一番会話で使いそうですね。

掛け算して12通りではなく、9通りの解釈になるわけ

というわけで、kuusiには4通り、palaaには3通りの意味があることが分かりました。

そしてここまでくれば、なぜ単純に4×3で12通りにならず、9通りの解釈しかできないのか分かってきたでしょう。

それは、「ピース」という意味のpalaaが原因。このpalaaは分格という変化形になっていて、数字や動詞、あるいは特定の名詞の後につくしかできません。

kuusiは、「数字の6」という意味がある以外はすべて普通の名詞なので、「ピース」という意味のpalaaはこの数字の6にしか、文法的にくっつくことができないんです。

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まとめ

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いかがでしたでしょうか。今回はフィンランド語の同音異義語を使った言葉遊び「Kuusi palaa」を解説しました。

もしフィンランド語を学んでみたくなったら、以下の記事でフィンランド語を学べるウェブサイトや教材を紹介を紹介しています。ぜひご覧ください。

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