外国語をやっていると面白いなと思うことの一つが、その言語で世界の国々がどう呼ばれているかを見ること。

フィンランド語では(おそらく英語や日本語でもそうなのですが)、自分の知っている国や町の名前が全く異なる名前で呼ばれていることが結構あります。今回紹介するのは、慣れ親しんだ日本語名とも英語名ともかけ離れた、フィンランド語での、フィンランド国外の地名です。

タイトルにもなっているAlankomaat(アランコマート)、Ruotsi(ルオッツィ)、Viro(ヴィロ)。みなさんどの国だかわかりますか? ……ヒントはフィンランドに近い国です。

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国の名前編

フィンランド語読み(カタカナ)英語日本語
Alankomaat/Hollantiアランコマート/ホッランティThe Netherlands/Hollandオランダ
RanskaランスカFranceフランス
RuotsiルオッツィSwedenスウェーデン
SaksaサクサGermanyドイツ
SuomiスオミFinlandフィンランド
TanskaタンスカDenmarkデンマーク
UnkariウンカリHungaryハンガリー
Valko-VenäjäヴァルコヴェナヤBelarusベラルーシ
ViroヴィロEstoniaエストニア
VenäjäヴェナヤRussiaロシア
YhdysvallatウュフデュスヴァッラトThe United States (of America)アメリカ(合衆国)

集めてみたらこんなもの。僕もフィンランド語を始める前なら、フィンランド語名を見ても全くさっぱりわからなかったでしょう。

YhdysvallatやValko-Venäjäなどは英語のUnited Statesや「白ロシア」のフィンランド語バージョンで、まあ全然違うってのも納得でしょう。ちなみにYhdysvallatはAmerikka(アメリッカ)でも代用可です。

フィンランドをSuomiというのはフィンランドや北欧好きの人にはよく知られた話かもしれません。

Saksaはザクセンから来ているのでしょうか。ならばなぜプロシアやバイエルンなど他の地方名ではなくザクセンをとったのでしょう。RanskaはFrance(かそれと同じ語源の名前)のFが抜け落ちたものという話を聞いたことがあります。

Alankomaat、Ruotsi、Viro、Venäjäなんて英語名日本語名どころか現地語(Nederland、Sverige、Eesti、Россия(rossiya))の名前にかすりもしていません。

こういう現象は、やはり地理的に近い国に多いようです。逆にアジアやアフリカの国々では英語の名前とおおむね一致するようでした。

Nederlandは「低い土地」を意味するそうですが、Alankomaatの「Alanko」の部分はなんとなくフィンランド語でも「低い」を表す「ala-」に通じているように思えます。

(ala-はalakerta「下の階」、alaikäinen「未成年」などにも使われています)

町の名前編

フィンランド語読み方(カタカナ)英語日本語
HampuriハンプリHamburgハンブルク(ドイツ)
JaamaヤーマKingiseppキンギセップ(ロシア)
KirkkoniemiキルッコニエミKirkenesキルケネス(ノルウェー)
KööpenhaminaコーペンハミナCopenhagenコペンハーゲン
LuulajaルーラヤLuleåルーレオ(スウェーデン)
PetroskoiペトロスコイPetrozavodskペトロザヴォーツク(ロシア)
PietariピエタリSaint Petersburgサンクトペテルブルク(ロシア)
PihkovaピヒコヴァPskovプスコフ(ロシア)
PiitimeピーティメPiteåピーテオ(スウェーデン)
RiikaリーカRigaリガ(ラトビア)
RyssämarkkaリュッサマルッカKistrandヒーストラン(ノルウェー)
TukholmaトゥクホルマStockholmストックホルム(スウェーデン)
UumajaウーマヤUmeåウーメオ(スウェーデン)
VuoreijaヴオレイヤVardøヴァードー(ノルウェー)

Googleマップを眺めてみて見つけられたものをリストアップしてみました。ヨーロッパの国の首都の名前は現地語や英語の名前とは少し形が違いますが、いちおう綴りや発音から類推できるものが多いです。

なぜリガ(Riika)を入れたかというと、Riikaは語形変化をするとkが消滅してしまい、例えば「リガで」ならRiiassaになってしまうから。ニュースで突然Riiassaと言われたら「リーアってなんだっけ」となってしまいそうです。

首都以外の町なら現地語の名前が使われることがほとんどでしょうが、フィンランド国外でもフィンランドに近い地域では、小さな町でも現地語名のほかにフィンランド語名があったり(↑のJaamaとか)、そもそも現地語でも名前がフィンランド語っぽい町も多くみられます(スウェーデンのユッカスヤルヴィ(Jukkasjärvi)やロシアのカレヴァラ(Калевала)など)。

おそらくもっと調べたらもっと出てくるかもしれないので、見つけ次第リストに追加します。

もしこの記事を読んでくださっている方でこの町フィンランド語名あったよ、このフィンランド語の名前全然分かんないよ、というのがあったらぜひご一報ください!

日本語でも似たような外国の地名はあるのかなーと考えてみたのですが、ぱっと思いついたのは台湾の高雄(たかお、中国語だとカオション?)と中国のアモイ(厦門、中国語ではシアメン)くらい。

調べたらもっと出てきそうですが、記事のテーマから逸脱するためこの辺で終わりにします。

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