こんにちは。めいげつです。

フィンランド語は格変化の多い言語。英語の前置詞にあたる部分を、名詞の形を変化させることで表します。

……しかしそのフィンランド語にも前置詞がある、なんて聞いたら驚くでしょうか?

ここでは、フィンランド語の前置詞についての大まかな知識と、フィンランド語の前置詞のリストをまとめておきます。

もうお気づきだと思いますが、記事の題名への答えは「本当です」。

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まず前置詞についてのおさらい

前置詞とは、名詞の前におかれて、その名詞と文の他の要素との関係をあらわす単語を指します。

日本人にとっては英語の前置詞が最も馴染み深いでしょう。日本人が英語学習で悪戦苦闘するポイントでもあります。

日本語に前置詞はありませんが、英語を含むヨーロッパ言語は前置詞を持つものが多いですね。

たとえば、

  • 英語:to、from、of、in、on、byなど
  • フランス語:à、de、dans、sur、commeなど
  • ロシア語:в、на、из、для、с、заなど

ここで言及した以外のヨーロッパ言語にも、たいてい前置詞があります。

フィンランド語には前置詞が「あります」

フィンランド語は格変化が多い言語で、一見前置詞なんて必要なさそうに思えます。

が、そんな大方の予想に反してフィンランド語にも前置詞があるのです。

なんなら後置詞だってあります。名前が示す通り名詞の後におかれる単語のことです。

フィンランド語の前置詞&後置詞には、「特定の格の名詞に結びつく」という特徴があります。

感覚としてはロシア語に近いですが、ロシア語よりもだいぶシンプルです!

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フィンランド語の前置詞と後置詞

前置詞

フィンランド語には後置詞の方が多いので、前置詞は少数派。よく使われるものでは自然と少なくなっています。

発音は、国際音声記号(IPA)とカタカナ表記を併用しています。

ilman「~なしで」

ilmanは「~なしで」という意味の前置詞。英語で言うwithoutです。

発音は/ilmɑn/でイルマン。ilmanの後ろの名詞は分格になります。

  • Juon kahvia ilman maitoa. 「私はコーヒーをミルクなしで飲みます」

ennen「~の前に」

ennenは「~の前に」という意味。物理的な位置ではなく時間的な意味での「前」です。

発音は/enːen/なのでエンネン。ilmanと同様、後ろに来る名詞は分格になります。

  • Maanantai on ennen tiistaita.「月曜日は火曜日の前だ」

後置詞

フィンランド語には前置詞よりも後置詞のほうがたくさんあります。

後置詞は基本的に属格の後ろに来ることが多いですが、ちょっと例外もあり。

kanssa「~」

kanssaは「~といっしょに」という意味。

発音は/kɑnsːɑ/なのでエンネン。前に来る名詞は属格になります。口語ではkansとかkaaになったりもします。

  • Juon kahvia yleensä maidon kanssa.「私は普段コーヒーを牛乳と一緒に(=牛乳入りで)飲む」

sitten「~前に」

sittenは「~前に」という意味。ennenと同様に時間的な「前」。

ただ、こちらは具体的な時間や年数などの後ろについて「1時間前」とか「3年前」という意味になります。

英語のagoに似ていますね。

発音は/sitːen/で。前に来る名詞は主格になります。

  • Aloin opiskella suomea kolme vuotta sitten.「3年前にフィンランド語を勉強し始めました」

kautta/halki「~を通って」

同時に2つ登場。kauttaとhalkiはどちらも「~を通って」という意味。英語のthrough。

ただkauttaの方がよく使われる印象。

発音はkauttaが/kɑutːɑ/カウッタ、halkiは/hɑlki/でハルキ。前に来る名詞は 属格になります。

  • Voit mennä rannalle metsän kautta.「森を通って浜辺に行けますよ」

takia/vuoksi「~だから、~のため」

またまた2つ登場。takiaとvuoksiは「~だから」や「~のため」という意味。英語のbecause ofやdue toに対応します。

発音はtakiaが/tɑkiɑ/でタキア、vuoksiが/vuoksi/でヴオクスィ。前に来る名詞は属格になります。

  • Sateen takia emme voineet mennä kävelylle.「雨のせいで今日私達は散歩に行けなかった」

前の分で理由を述べておき、Sen takia~と言うことで「そのせいで~」ということもできます。

  • Tänään satoi. Sen takia emme voineet mennä kävelylle.「今日は雨が降った。そのせいで私達は散歩に行けなかった」

luona/luo/luota「~のもとで/へ/から」

また3つ出てきましたが、これらは1つの単語の変化形です。

luonaで「~のもとで」、luoで「~のもとへ」luotaで「~のもとから」。

英語ではat 〇〇’s placeでしょう。フランス語だとchezが適当だと思います。

発音は/luonɑ/、/luo/、/luotɑ/でルオナ、ルオ、ルオタ。前に来る名詞は属格になります。

  • Minä vietän kesälomaa perheen luona.「私は夏休みを家族のもとで過ごす。」

lisäksi「~のほかに」

lisäksiは「~のほかに」という意味。英語で言うin addition toやbesidesに相当します。

発音は/lisæksi/でリサクスィ。前に来る名詞は属格になります。

  • Minun lisäksi talossa oli kolme ihmistä.「家の中には私のほかに3人の人がいた」

päästä/päässä「~離れて」

päästäとpäässäには「~離れて」という意味があります。

発音はpäästäが/pæːstæ/でパースタ、päässäが/pæːsːæ/でパーッサ。前に来る名詞は属格になります。

  • Täältä Finlandia-talo on neljän kilometrin päässä.「ここからフィンランディアホールは4キロ離れています」

päästä/kuluttua「~後に」

päästäとkuluttuaには「~後に」という意味があります。時間的な意味での「後」です。

発音はpäästä/pæːstæ/でパースタ、kuluttuaは/kulutːuɑ/でクルットゥア。前に来る名詞は属格になります。

  • Suomen kielen kurssi alkaa kolmen kymmenen minuutin päästä/kuluttua. 「フィンラン祖語の授業が30分後に始まる」

varten「~のために」

vartenは「~のために」という意味。

発音は/vɑrten/でヴァルテン。前に来る名詞は分格になります。

  • Opiskelen suomea todella ahkerasti koetta varten.「テストのためにフィンランド語をまじめに勉強している」

lähtien/alkaen「~から」

lähtienとalkaenはどちらも「~から」「~以来」という意味。出格をとる前置詞です。

何かが起こる時間的な起点を言うこともできますし、値段の後につけて「円から~」ということも言えます(通販サイトでよく見かけます)。

発音はlähtien/læxtien/でラハティエン、alkaenが/ɑlkɑen/でアルカエン。前に来る名詞は出格になります。

lähtienとalkaenはそれぞれlähteä「出発する」とalkaa「始まる」という動詞から来ているのでフィンランド語を少しかじった方には分かりやすいですね。

  • Suomi on itsenäinen maa vuodesta 1917 lähtien/alkaen.「フィンランドは1917年以来独立国である」

個の例文のvuodesta 1917 alkaenのようになった場合、年数は原形のまま発音します(年数は格変化させない)。

asti/saakka「~から」「~まで」

astiとsaakkaは「~から」と「~まで」を兼ね備えた不思議な後置詞。前に来る名詞の格によって意味が変わります。

入格が前に来れば「~まで」(英語のuntil)、出格が前に来れば「~から」という意味になります。

発音はastiとsaakkaがそれぞれ/ɑsti/と/sɑːkːɑ/でアスティとサーッカ。

  • Suomi on itsenäinen maa vuodesta 1917 asti/saakka.「フィンランドは1917年以来独立国である」
  • Tämä kahvila on auki kello kuuteen asti/saakka.「このカフェは6時まで開いている」

mennessä「~までに」

mennessäは「~までに」という意味。「~より前に」と置き換えることもできますね。英語で言うbyにあたります。

発音は/menːesːæ/でメンネッサ。前に来る名詞は入格になります。

  • Tule kello viiteen mennessä.「5時までに来てください」

sijaan「~の代わりに」

sijaanは「~の代わりに」という意味。英語のinstead ofに対応する後置詞です

発音は/sijɑːn/でスィヤーン。前に来る名詞は属格になります。

sen sijaan「その代わりに」という表現が良く使われます。

  • Voisit tehdä jotain nukkumisen sijaan.「寝る以外にやることあるでしょ」

alla/alle/alta「~の下に」

alla、alle、altaはそれぞれ「~の下に」「~の下へ」「~の下から」という意味。一つの単語の変化形のようなものです(原形と呼べるものはありませんが)。

他の後置詞の例に漏れず(一部漏れている例もありますが)、このallaらも属格を取ります。あっらら。

発音は↑の順番で/ɑlːɑ/アッラ、/ɑlːe/アッレ、/lt/アルタ。前に来る名詞は格になります。

  • Lompakkoni löytyi maton alta.「財布はマットの下から見つかった」

edessä/edestä/eteen「~の前に/から/へ」

edessä、edestä、eteenはそれぞれ「~の前に」「~の前から」「~の前へ」という意味の後置詞。こちらもalla、alle、altaと同じように1つの単語の変化形のようなもの。

これらも属格をとる後置詞です。

順番がちょっと変わっていますが、変化形の都合です。

発音は/edesːæ/エデッサ、/edestæ/エデスタ、/eteːn/エテーン。前に来る名詞は格になります。

  • Helsingin uusimman kahvilan edessä on todella pitkä jono.「ヘルシンキで一番新しいカフェの前には長蛇の列がある」

あまり使われないですが、edellä、edeltä、edelleと外部格を使ったものもあります。

päällä/päälle/päältä「~の上に/へ/から」

päällä、päälle、päältäは「~の上に」「~の上へ」「~の上から」という意味。英語で言うoverやaboveではなく、onのほうです。

発音はそれぞれ/pæːlːæ/(パーッラ)/pæːlːe/(パーッレ)/pæːltæ/(パールタ)で。前に来る名詞は属格になります。

  • Kissa hyppäsi pianon päälle.「猫はピアノの上に飛び乗った」

hyväksi「~のために」

hyväksiは「~のために」という意味。

同じく「~のために」という意味のvartenとはニュアンスが異なり、こちらは「~に良いように」といったニュアンスがあります。英語で言うとfor someone’s good。

発音は/hyvæksi/でフュヴァクスィ。前に来る名詞は属格になります。

  • Työskentelen ahkerasti lasten hyväksi.「子どもたちのためにまじめに働く」

vasten「~に対して」

vastenは「~に対して」という意味。英語で言うagainstで、

発音は/vɑsten/でヴァステン。前に来る名詞は分格になります。

  • Lapio nojasi seinää vasten.「シャベルが壁に(対して)もたれかかっていた」

sisällä/sisältä/sisään「~の中に/から/へ」

sisällä、sisältä、sisäänは「~の中に」「~の中から」「~の中へ」という意味。

発音は/sisælːæ/シサッラ、/sisæltæ/でシサルタ、/sisæːn/でシサーン。前に来る名詞は属格になります。

  • Laatikon sisällä ei ole mitään.「箱の中には何もない」

※内部格と外部格が混ざっていますが、これは僕が個人的によく見るものを優先して選んだためです。

takana/taa/taakse「~の後ろに/から/へ」

takana、taa、taakseは「~の後ろに」「~の後ろから」「~の後ろへ」という意味。

発音は/tɑkɑnɑ/(タカナ)、/tːɑ/(ター)、/tɑːkse/(タークセ)。前に来る名詞は属格になります(テキストに色付けるの疲れてきた)。

  • Minun huone on tämän oven takana.「私の部屋はこのドアの向こうにあります」

välillä「~の間に」

välilläは「~の間に」という意味。

発音は/vælilːæ/でヴァリッラ。前に来る名詞は属格になります。

  • Suomi sijaitsee Venäjän ja Ruotsin välillä.「フィンランドはロシアとスウェーデンの間に位置している」

ちなみにvälilläには副詞として単独で使うこともでき、その場合「時々」という意味になります。

ympäri「~の周りで」

ympäriは「~の周りで」という意味。

発音は/ympæri/でウュンパリ。前に来る名詞は属格になります。

  • Kävelin tuomiokirkon ympäri.「私は大聖堂の周りを歩いた」

yli「~を越えて」

yliは「~越えて」とか「~の上を通って」という意味。

発音は/yli/でウュリ。前に来る名詞は属格

  • Lentokone lensi Venäjän yli Suomeen.「飛行機がロシアの上を通ってフィンランドへ飛んだ」

ちなみにyliを「yli+数字」と前置詞のように使うと、「~より多くの」とうい意味になります。後置詞よりもこちらのほうが良く使われますね。、

  • Yli 5 miljoonaa ihmistä asuu Suomessa「500万人より多くの人がフィンランドに住んでいる」

mukaan 「~によると」

mukaanは使い方が色々ありますが、後置詞だと「~によると」という意味になります。ニュースなどでよく使われる単語です。

発音は/mukɑːn/でムカーン。前に来る名詞は属格になります。

  • Ilmatieteenlaitoksen mukaan huomenna sataa lunta.「気象研究所によると明日は雪が降る模様です」

どちらとしても使えるもの

フィンランド語には、「前置詞としても、後置詞としても使える」不思議な単語があります。

lähellä/lähelle/läheltä「~の近くで」

lähellä、lähelle、läheltäは「~の近くで」「~の近くへ」「~の近くから」という意味。特にlähelläはよく使いますね。

発音はそれぞれ/læhelː/(ラヘッラ)/læhelːe/(ラヘッレ)/læheltæ/(ラヘルタ)となります。(後置詞として使う場合)前に来る名詞は属格、(前置詞として使う場合)後ろに来る名詞は分格になります。

  • K-kauppa on lähellä minun asuntoa/K-kauppa on minun asunnon lähellä.(Kマーケットは私の家の近くにある)

ちなみにKマーケットはフィンランドでポピュラーなスーパーです。

keskellä/keskelle/keskeltä「~の真ん中で」

上で挙げたlähellä/lähelle/läheltäと同じタイプ。

それぞれ「~の真ん中で」「~の真ん中へ」「~の真ん中から」という意味です。英語で言うin the middle of ~ですね。

発音は/keskel/(ケスケッラ)/keskele/(ケスケッレ)/keskelt/(ケスケルタ)。(後置詞として使う場合)前に来る名詞は属格、(前置詞として使う場合)後ろに来る名詞は分格になります。

  • Meidän kesämökki on metsän keskellä/keskellä metsää.「私たちのサマーコテージは森の真ん中にある」

英語では前置詞を使うけど、フィンランド語では格変化を使う表現

これだけ前置詞と後置詞があるフィンランド語。ただ、英語では前置詞を使う表現でも、フィンランド語では格変化を使うものがあります。

さすがに全部は書ききれない(細かくい見分けるとすごい数になる)ので、一部だけ紹介します。

前置詞(英語)意味フィンランド語では
as~として様格(-na)
about~について出格(-sta)
for~のため入格(-Vn)
from~から出格(-sta)
in~で内格(-ssa)
in+言語名~語で変格(-ksi)
of~の属格(-n)
off~から離格(-lta)
on~の上に接格(-lla)
by+動詞~することで不定詞の接格(-malla)
to/into~の中へ入格(-Vn)
to/onto~の上へ向格(-lle)
with~を使って接格(-lla)
without+動詞~をせずに不定詞の欠格(-matta)

以上、フィンランド語の前置詞と後置詞でした。

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