こんにちは。めいげつです。
フィンランドと言えば、首都ヘルシンキのほか、トゥルクやタンペレ、ポルヴォー、ロヴァニエミといった都市が観光客に人気。
ただそれ以外にもフィンランドには魅力的な都市はいくつもあります。今回はフィンランドの「特別な場所」であるオーランド諸島のマリエハムン(とその周辺をちょっと)を紹介します。
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マリエハムンってどんな町?
そもそもオーランド諸島とは
オーランド諸島(Åland Islands)はフィンランドとスウェーデンのちょうど間にある、6700もの大小さまざまな島々からなる群島。人口はおよそ2万9000人で、面積は長野県よりほんの少し小さいくらいです。
いちおうフィンランドの領土なのですが、高度な自治権を与えられており、公用語はスウェーデン語のみ。よって、住民のほとんどはスウェーデン語を話します。
フィンランド語ではアハヴェナンマー(Ahvenanmaa)といいます。スウェーデン語ではそのままオーランド(Åland)、英語でもスウェーデン語の名前が使われます(Åland Islands)。
オーランド諸島は高い自治権を持っていますが、通貨はフィンランド本土と同じユーロが使われています。
オーランド諸島はその地理的な位置から、古くからバルト海の海上貿易の中継地点として重要な意味を持っていた場所。有史以前にはアザラシの油といった物品が主な輸出品だったようです。
13世紀にスウェーデン王国の領土となり、19世紀の初めにはフィンランド本土ともどもロシア帝国の支配下にありました。
1917年のロシア革命に続いてフィンランドが独立を宣言すると、オーランド諸島の帰属をめぐってスウェーデンとフィンランドが対立します。
やがて帰属問題は国際連盟に委託され、オーランド諸島がフィンランドに帰属することが決定。この決定に関わったのが、『武士道』を英語でとしたことで有名な新渡戸稲造といわれています。
オーランド諸島の主たる港町マリエハムン
オーランド諸島の主都マリエハムン(Mariehamn)は、設立は1861年と比較的新しい都市です。オーランド諸島の人口のおよそ半分より少し少ない、1万1500人の人々がここマリエハムンに住んでいます。
それだけの人口に対し、マリエハムンは年間150万人が訪れるいわばリゾート。
マリエハムンは公用語のスウェーデン語での名前で、フィンランド語ではマーリアンハミナ(Maarianhamina)と呼ばれます。
マリエハムンは、オーランド諸島で一番大きいオーランド本島(Fasta Åland)の南端、南に突き出た半島にあります。東西と南を海に囲まれ、多くの船が行き来する港町でもあります。
フィンランド方面からオーランド諸島に上陸する方はほぼ間違いなくここが玄関口となるでしょう。
街の雰囲気は、よくあるフィンランドの地方都市といった感じの、のどかな空気が流れています。歴史を感じさせるような建物は多くありません。
通りは綺麗で、かわいい木造建築の住宅が並ぶエリアもあります。人々でごった返すような場所もなく、非常にのどかな場所です。
のどかなマリエハムンを街歩き
それでは、このオーランド諸島ののどかな主都マリエハムンのようすを、写真といっしょにご紹介します。
マリエハムンの中心地には東西に長い散歩道のようなものがあって、街路樹が並んでいます。
この散歩道の西の端にはオーランド海洋博物館、東の端にはオーランド文化歴史博物館と市役所があります。
市街地の雰囲気はこんな感じ。モダンな建物が並んでいる、一般的なフィンランドの地方都市と言った感じ。
オーランド諸島はスウェーデン語のみが公用語になっているため、道のあちこちにある看板もすべてスウェーデン語で書かれています。
フィンランド国内にありながら、フィンランド語表記がありません(数年前までは他にもそういう自治体があったものの、今ではオーランド諸島のみ)。
「オーランド通り(Ålandsvägen)」と書かれた表示。フィンランド本土の他の都市ならフィンランド語も併記され、
- Ålandsvägen
- Ahvenanmaankatu
となっているはずのところ、ここでは1言語表記。フィンランドには他にスウェーデン語単言語の地域が存在しないことを考えると、とても不思議な気分になります。
オーランド市役所。市議会も入っています。このすぐ近くに、オーランド文化歴史博物館(Ålands kulturhistoriska museum)が入っています。
オーランド文化歴史博物館ではオーランド諸島の歴史について、石器時代から現代まで、歴史的な展示物を見ながら知ることができます。
また美術館も併設されています。さほど大きい美術館ではないですがチケット1枚買えば自由に行き来できますので、ついでに見ておくといいと思います。
あの『ムーミン』のトーヴェ・ヤンソンの『Källskärstavlan』という絵も、大きな額縁で展示されていたりしますんで。
こちらが『Källskärstavlan』。ヨーラン・オーケルハイム伯爵というスウェーデンの人にヤンソンが描いて贈った絵だそう。
Källskärsはその伯爵の家だか別荘だかのある小島で、オーランド諸島のコーカル(Kökar)という町にあります。
マリエハムンの南部は通常の住宅街になっています。そこまで人通りは多くありません。
マリエハムンの中心にある聖ジョージ教会。1927年秋に完成した福音ルーテル派の教会です。
中では天井から船が吊るされていて、ここでもマリエハムンが港町だということを実感します。
並木道の西の端にやってきました。こちらがオーランド海洋博物館(Ålands sjöfartsmuseum)の入っている建物。
その名の通り、オーランド諸島の海洋貿易の歴史についての展示が見られる博物館です。
建物は外から見ると小さく見えますが、いざ入って観ると意外と広く展示物もたくさんあって見ごたえ抜群。売店にも海に関係するお土産があって楽しいです。
博物館の裏手(海岸側)には、1903年に造られた(100年以上前!)帆船ポンメルン号(Pommern)が停泊しており、博物館の展示の一部として公開されています。
ポンメルン号は、かつて小麦の貿易船としてオーストラリアとヨーロッパを行き来していました。
見終わった後は、併設のシーフードレストラン・Restaurang Nauticalで食事もとれます。
オーランド海洋博物館の脇から奥へずっと歩いていけば、バードフースベルイェット(Badhusberget)という高台があります。東にはマリエハムンの街並みが広がり、西には海岸線を一望できます。
「バルト海の中心」を感じるマリエハムンの海運地区
マリエハムン市街地の西海岸には、海運地区(Sjökvarteret)という地区があります。ここでは停泊している帆船や造船所など、港町マリエハムンらしい景色が広がります。
カフェやレストランを始め、博物館やハンドクラフトのお店なんかもあります。
7月にはオーランド海の日というイベントが5日間開かれるそう。9月には収穫祭、12月にはクリスマスマーケットも開かれます。
南フィンランドの古都ポルヴォーにもあるような、赤く塗った木造の建物が並びます。
水辺の木造建築には赤い色がなにいか合理的なのでしょうか? それとも単純に見栄えがいいからでしょうか。
ボートが置いてあります。造船所か、船の修繕を行う場所でしょうか。
帆船を彷彿とさせる船が泊まっていました。
オーランド諸島はスウェーデンとフィンランドの間に浮ぶ群島。それを地図で見てみると、バルト海の交易で重要な位置にあるのが分かります。
まあ「バルト海の中心」は言い過ぎかもしれませんが笑
しかし、中世以来の大国スウェーデンと、フィンランドひいてはその先のロシアに繋がる海路の中継地点にあったことは確かです。
今も、ストックホルム~トゥルクやヘルシンキを繋ぐフェリーが停泊する場所ですし。
海運地区の防波堤に立つのは、マリエハムンのシンボル的存在航海士の礼拝堂(Sjöfararkapellet)。2008年に完成された木製の、簡素な礼拝堂です。
オーランド諸島のきれいな青い海と合わせると、なんだかロマンチックな雰囲気を感じられますね。
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マリエハムンの外へエクスカージョン(中世の城とか廃墟とか)
マリエハムンはとても小さい町なので、半日程度あれば街歩きできます。博物館をじっくり見て回るのも、1日あれば十分でしょう。
もし時間に余裕があるのなら、マリエハムンの外に足を伸ばしてみても良いかも。
マリエハムンの外にある観光地の一つは、中世のお城カステルホルム城(Kaltelholms slott)。マリエハムンから北東に30キロの場所にあるスンド(Sund)という町にあります。
14世紀末に建設が始まり、中世のスウェーデン国王も訪れたという要塞兼お城です。
カステルホルム城はフィンランドにある数少ないお城の一つで、14世紀に建てられました。すぐ隣にはヤン・カールスゴーデン野外博物館(Jan Karlsgården open air museum)もあります。
もう一つは、ボマルスンド要塞跡(Bomarsunds fästning)。カステルホルム城よりも西にある廃墟で、ハイキングコースになっています。
ボマルスンドはオーランド諸島がフィンランド本土とともにロシア帝国の領になった後に建てられましたが、クリミア戦争の時に破壊されました。
別の記事では、その他にもオーランド諸島の観光地をいくつか紹介しています。ボマルスンド要塞についても単独の記事を書いています。
マリエハムンの食べ物は美味しい
某ベルルスコーニ氏が言うように食事の評判がすこぶる悪いフィンランドですが、オーランド諸島の食事は美味しいものが多いように思います。
オーランド産の海産物などはその最たるもの。特にマグロやサケが美味しい。マグロはグリルしたステーキが美味しいし、サケは定番のスモークサーモンがいいですね。
あとはオーランド諸島名物のパンケーキも中々のもの。けっこう重たいけれど。
……こう書くと僕も「フィンランドの料理はまずい」と思っているように見えますが、そんなとこないですよ……!
現に、別の記事で美味しいフィンランド料理をまとめていますので。ぜひご覧ください。フィンランドには美味しい食べ物がいっぱい。
市街地で食事する
マリエハムン市街地にはレストランがいくつかあるので、街歩きや買い物、観光ついでに立ち寄ってみましょう。
代表的なレストランは、オーランド海洋博物館と併設のRestaurang Nautical(レストラン・ノーティカル)。オーランド諸島産の海鮮料理が楽しめます。
特にオーランド料理にこだわらない場合は、Sitkoff GalleriaというショッピングセンターにあるSittkoffska Gården(シットコフスカ・ゴーデン)や、Dino’s Bar & Grill(ディノス バー&グリル)もおすすめ。
ArkipelagやPark Alandiaといったホテルにも、レストランやバーがあります。直接そのホテルに泊まっていなくても利用できます。
また町には定番・フィンランドのハンバーガーチェーンHesburger(僕はあまり好きじゃないんだけど)もありますし、寿司レストランなんかも2軒あります。
ちなみにマリエハムンのレストランではどこでも、オーランド諸島の醸造所Stallhagenのクラフトビールが楽しめますよ! 僕のおすすめはハニービールとUSレッドエールです。ご賞味あれ。
マリエハムンの外で
もちろんマリエハムンの外でも食事を楽しめます。
ボマルスンドの要塞やカステルホルム城に行ったときは、城から徒歩圏内にSmakbyn(スマークビューン)が便利です。
もう一つ。ボマルスンドの要塞やカステルホルム城のあるスンド市とマリエハムン市のちょうど間にGodbyという町があります。そこにあるのが、マイクロブルワリー・Stallhagen(スタルハーゲン)。オーランド諸島唯一のクラフトビール醸造所です。
GodbyのはずれにあるPub Stallhagenでは自家製のクラフトビールと、日替わりのメニューが楽しめます。
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マリエハムンへのアクセス
オーランド諸島に行く場合は、フィンランドかスウェーデンから、フェリーまたは飛行機を使います。
海路では、ヴァイキングライン(Viking Line)やタリンク・シリヤライン(Talllink & Silja Line)が利用できます。
ヘルシンキから行く場合、ヘルシンキ発ストックホルム行きのフェリーがマリエハムンに寄港した時に下船することになります。
航行時間は10時間30分~11時間30分ほど。タリンクとヴァイキングそちらも基本的にすべてナイトクルーズです。到着は早朝になるのでご注意を。
ストックホルム発の場合はタリンク・シリヤラインなら早朝の便があり、6時間30分~7時間強の航海を経て昼過ぎに到着します。夜の便もありますが、こちらはマリエハムンには行かないので注意!
ヴァイキングラインはもう少し便が多くて、朝・夕方・ナイトクルーズの3便。利便性はこちらのほうが良いですが、その分価格は少々割高です。
空路ではフィンランド航空とオーランド航空が就航しています。ヘルシンキ・ヴァンター空港から直行便だと1時間から1時間半かかるようですが、トゥルクでの乗り継ぎが必要な場合が多いようです。
マリエハムン観光の際に便利なサイト
最後に、マリエハムンやオーランド諸島旅行の計画を立てる際に便利なサイトを紹介します。
- Visit Åland – オーランド諸島観光情報サイト(英語)
- Viking Line(英語)
- タリンクシリヤライン(日本語)
- Ålandstrafiken. Bus timetables. – オーランド諸島を周るバス会社Ålandstrafikenの時刻表(英語)
- Agodaでホテルを探す
- Hotels.comでホテルを探す
- エクスペディア
- 「フィンランド観光」の記事をもっと見る
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