こんにちは。めいげつです。

英語を勉強しているorしていたみなさんは、英語での作文課題をやったことがあるでしょう。大学で英語のエッセイを書いた人は、「最低〇〇〇語書きなさい」という条件があったはずです。日本語では「〇〇字」と字数を基準とした条件が課せられます。

その語数をベースにした条件は英語以外でも同じこと。僕がヘルシンキ大学で学んでいたフィンランド語でも、「最低〇〇語以上書かなければならない」作文課題が出されました。

しかし僕から言わせてもらえれば、英語で作文をするときにこの「最低〇〇〇語」のラインを超えるのは簡単、もしくは比較的簡単です。一方フィンランド語ではかなり難儀します。この理由を英語とフィンランド語の原語構造の違いから書いていこうと思います。

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フィンランド語の作文課題

机の上に積まれた洋書の写真
Rousseau / Pixabay

まずは前提として僕自身の話をば。

僕は大学2年秋学期~3年春学期にかけて、フィンランドのヘルシンキ大学で交換留学生として勉強していました。そこで北欧文化や言語学などを学ぶかたわら、フィンランド語の授業にも出席していました。

そのフィンランド語の授業は交換留学生向けのやさしいクラスではなく、正規学生向けの文法の授業でした。レベルは一番上だったので、テキストも難しいし、周りのレベルも結構高かったのでかなりひいひい言っていました。

そこで出題されたのが作文問題。もちろん作文課題自体は何回かやりましたし、何ならフィンランド語のプレゼンだってやりました。ただ今回のは授業時間をフルで使って、さらに字数制限があったのが違いました。

その時の課題の条件はこんな感じです。

テーマ「もうすぐ成人する息子が大麻を吸っている」という内容の文章について、自分の意見を書く
語数最低200語

200語はかなり少なく思えますが、いかんせんフィンランド語だったので大変でした。英語ならササッと書けるんだけど。

しかし作文課題というのはかなり大変ですよね。短時間で自分の意見を考えて論理的にまとめあげなきゃいけないし。特にある程度のレベルに達していない外国語で書く場合、知っている語彙も限られているわけです。

そこで僕が使った戦法が文字数を水増しする作戦でした。しかしここで僕を大いに悩ませたのが「フィンランド語って語数を稼ぎ辛い」問題でした。

フィンランド語で書くと語数を稼ぎ辛い原因は、フィンランド語の言語構造にあります。次の項目で掘り下げていきます。

英語とフィンランド語の言語構造の違い

のりでくっつけている写真
stevepb / Pixabay

英語という言語は孤立的、フィンランド語は膠着的と呼ばれる

  • 孤立語(isolating language)……単語がほとんど語形変化せず、語順が大きな役割を占める言語
  • 膠着語(agglutinative language)……単語に接辞をくっつけることで意味や文法的な役割を付け加える言語。語順は自由

接辞とは、意味を持っているものの単語のように単独では使用できないものことです。活用語尾なんかがいい例でしょう。

言語の分類にはほかにも屈折語とか抱合語と呼ばれるものがありますが、今回は割愛。

孤立語には単語の変化が乏しいので、前置詞などの「接置詞」を使うことが多く、必要な単語が多くなりがち。

実はフィンランド語にも前置詞や後置詞があるんですが、英語ほど頻繁には使いません。

「私たちは政治について話している」と言うのに、フィンランド語では2~3語で済むのに対し、英語では4~5語必要になります。

  • Me keskustelemme/Keskustelemme politiikasta.
  • We are/We’re talking about politics.

あとよく例に挙げられるのは、autoissammekinkohan?ですね。「私たちの車の中でもなのかな?(In our cars too…?)」という意味なんですが、これも一語です。これを分解すると、

  • auto……車:car
  • -i……複数
  • -ssa……~の中で:in
  • -mme……私たちの:our
  • -kin……~も:also、too
  • -ko……疑問文をつくる語尾
  • -han……疑問文に付け加えると心の中で疑問に思っているニュアンスになる語尾。ここではwe wonder~みたいな感じ

これらが一つに合わさってautoissammekinkohanという「一語」を作り上げているわけです。

ちなみにこういった接辞をくっつける順番というのは決まっていて、これ以外の順番だと非文法になります。

それにフィンランド語には冠詞がありません。英語では最頻出語の一つに数えられるaやtheを使わないため、フィンランド語の文章ではさらに必要な語数が減ります。

ここで書いたことを一言で言えば、フィンランド語では英語よりも一語の情報量が多いということになります。いくら活用語尾や格変化語尾、ないしその他の接辞を追加しても「一語」として扱わなきゃならないのだから、同じ200語でも情報量(文字数もだけど)が違ってくるのです。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。今回はフィンランド語では語数を稼ぎ辛いから作文が大変だよという話をしました。

今回は英語とフィンランド語の比較をしましたが、おそらく他の西欧の言語(特にフランス語やドイツ語)にもかなりの程度で当てはまると思います。

また、膠着語と言われるハンガリー語やエストニア語、トルコ語でも、作文の語数のラインを超えるのは大変なんじゃないかな。