ピルスナービールが生まれたビール大国チェコの首都、プラハ。

ここにはチェコの国民から愛される兵士シュヴェイクをテーマにしたパブ、ホスティネツ・ウ・カリハ(Hostinec U Kalicha)があります。作者ハシェクが足繁く通い、『シュヴェイク』の作中にも登場するお店です。

先日プラハに数時間だけ滞在した時に、筆者はこのお店を訪ねました。チェコの国民的作家が愛したパブをご紹介します。

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シュヴェイクと作者ハシェクが通ったお店

場所とアクセス

ウ・カリハは、ノヴェー・ムニェスト地区(Nové Město)にあるビアホール。地区の中ではわりと南の方で、ヌスレ地区(Nusle)との境目近くにあります。

『シュヴェイク』作中ではヌスレ地区が「場末」と書かれていましたが、正直そこまで場末感は感じませんでした。整然としてヨーロッパの建物が並び、道も広いプラハのよくある地区、といった雰囲気です。

「ウ・カリハ」へは旧市街から歩いても行けますが、やはり交通機関を使うのが便利です。プラハメトロC線のI. P. Pavlova(イー・ペー・パヴロヴァ)駅へ行き、そこから地上に出て徒歩5分程度で到着します。

ウ・カリハの入り口

さてこちらが「ウ・カリハ」の入り口。「ウ・シュヴェイカ(U Švejka)」という看板が出ていますがお店の名前はあくまで「ウ・カリハ」です。

ところで、ウ・フレクー(U Fleků)やウ・ピンカスー(U Pinkasů)、ウ・ズラテーホ・ティグラ(U Zlatého Tigra=黄金の像)など、チェコのビアホールの名前の頭には頻繁にこの「ウ(U)」がつきます。

これは「~のところ(家)」といった意味で、フランス語のchez(シェ)にあたります。

シュヴェイクとシュヴェイクへの愛で溢れた店内

ウ・カリハの玄関にあるシュヴェイクの絵

入り口を入ると、両手にビールジョッキを持ったシュヴェイクの絵と、無数の落書きが出迎えてくれます。

玄関のあたりは少し薄暗くて、少々入りづらい雰囲気がありました。慣れていない人だと、ちょっと躊躇してしまうかも。

ウ・カリハの玄関口
ウ・カリハのシュヴェイクの絵

こちらは『シュヴェイク』の挿絵を描いた画家、ヨゼフ・ラダ (Josef Lada)によるものでしょう。

奥にビアホールが見えます。

ウ・カリハの店内にある人形

ビアホールの入り口の脇には、シュヴェイクの人形がだららんと力なく座っていました(手振れが酷くてすみません)。

ウ・カリハの店内

テーブルなどはとても年季があるふうで、意外と高級感のある雰囲気です。少なくともハシェクの存命中からあったのですから、100年くらいは歴史があるのでしょう。

しかし壁に書かれた無数の落書き(?)でだいぶガラが悪く見えてしまいますね(ビアホールの中は全く安全です)。世界中からファンが訪れるようで、色々な言語で書かれています。

『シュヴェイク』での描写を読んでカウンターに腰掛けてマスターと相対するバーのイメージを持っていましたが、どうやらテーブル席のみでカウンター席はない様子。

チェコ料理と名物ピルスナーウルケルを

ウ・カリハのピルスナー・ウルケル

チェコに来たらやっぱりはずせない、ピルスナー・ウルケル。久しぶりにチェコに来て、久しぶりにドラフトを飲みました。

470mlで78コルナ=377円なのでチェコのビアホールにしてはかなり高いものの、量を考えれば日本の居酒屋より全然安いですね。

分厚い泡の層と、その下の黄金色のビール。ウルケルを頼むとどかんと置かれるこの丸っこいジョッキ。この感じ久しぶりだ。やっぱりチェコのドラフトピルスナーは美味いです。

ウ・カリハのオニオンスープ

オニオンスープ(95コルナ=456円)を注文。毒々しそうな見た目ですが味はかなり素朴で美味しい。ただもの凄く熱いので注意。僕は舌をやけどしかけました。

ウ・カリハのパンとオニオンスープとビール

スープを頼むとライ麦パンも持ってきてくれます。スープについているわけではなく、ちゃんと後で20コルナ=96円請求されます。

ウ・カリハのフライドチーズ

フライドチーズを注文しました。チーズ自体は美味しいのですが、これを全部食べると胃にかなりずっしりときます。軽めのお昼にするはずが、けっこうお腹いっぱいになりました。

これだけ食べて413コルナ(1,995円)。チェコのビアホールにしては割高ですが、まあ有名キャラクターをテーマにした観光地ならばこんなものでしょう。

ちなみにウ・カリハではシュヴェイク関連のお土産も買うことが出来ます。お土産は玄関の近くのショーケースに陳列されていて、店員さんに言うとショーケースを開けてくれます。

ウ・カリハで買ったお土産のシュヴェイクのマグネット

僕は友人にボールペン等の実用的なものを頼まれていましたが、人気があるようですでに売り切れ。かわりにマグネットを購入しました。シュヴェイクがビールとチェコ国旗を持っています。150コルナ=730円。

筆者が訪れたのランチの時間帯だったため、空席が目立つくらいで全く待つことなく入れました。夜はライブミュージックがあり混雑するため、予約が必須とのこと。

ここウ・カリハでは、チェコの伝統的な料理と美味しいピルスナー・ウルケルが頂けます。必ずしもシュヴェイクのファンでなくとも、チェコの国民的作家が好んだお店でチェコの食文化を楽しめますよ。

ホスティネツ・ウ・カリハ(Hostinec U Kalicha)
住所:Na Bojišti 12-14, Praha 2, Czech Republic
ウェブサイト:http://ukalicha.cz