こんにちは。めいげつです。

日本語には英語から入ってきた言葉がたくさんありますよね。なかにはもとの英語の意味からかけはなれた「カタカナ英語」が、英語学習の妨げになるとか何とかで批判されていたり。

ではその逆、日本語から英語に入った英語ってどれくらいあるのでしょう? 意外性のあるもの、僕が個人的に広まっていると感じた単語を中心に紹介します。

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レベル1:おなじみの単語編

お寿司(カリフォルニアロール)の写真
DrawsAndCooks / Pixabay

もはやおなじみ。tsunami、sushi、karaoke、manga

この辺りはもうお馴染みですね。特にいうこともないので1つにまとめてしまいました。

tsunamiは、欧米のニュースメディアでも頻繁に耳にする単語。おそらく海外で最も広く一般に使われている日本語と言っても良いかもしれません。

発音はもちろん/tsuːˈnɑːmi/でツナァーミと英語らしく発音されますが、人によってはtを発音せずに「スナァーミ」と言う人もいます。

英語にはtidal waveという似た意味の単語があるものの、こちらは太陽や月の引力によって引き起こされる潮の動きを指すため、厳密には別の減少になります。

寿司は言わずと知れた日本食の代表。いまや世界中のあらゆる国でお寿司を出す日本食レストランが見つかります。

日本について特に詳しくは知らない人でも、スシくらいならば知っている人は多いでしょう。

僕の勝手な印象では、ヨーロッパではスシバイキング、北米では回転寿司が多いような気がします。

カラオケだって、海外でも色々なところでみかけますね。マンガも、もはや言及する必要がないくらい馴染んでいると思います。

ちなみに漫画家のことをmangakaと言うこともできます。manga artistだけではないんですね。

tofu

a soft white food made from soya beans

“tofu” MAcmillan Dictionary

豆腐も、今や欧米を中心に人気の日本のヘルシー食材。欧州のスーパーでも普通に売っているくらい浸透していますね。

大豆から作られているので、ベジタリアンやヴィーガンの方々でも食べられます。

まあ豆腐は厳密には日本だけのものではありませんが(「豆腐」だってもとは中国語)、スーパーで売られているものにはtofuという日本語由来の名前がついていることが多い印象です。

hikikomori

(in Japan) an adolescent who abnormally avoids any social contact

“Hikikomori” Macmillan Dictionary

日本独自の社会現象としてよく取り上げられる引きこもり(他の国にもいそうですがね)。日本社会の問題点を浮き彫りにするような単語。

正直、英語になった日本語とはいっても手放しには喜べない単語です。

厚生労働省は、「引きこもり」を以下のように定義しています。

「様々な要因の結果として、社会的参加(義務教育を含む就学、非常勤職を含む就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6ヶ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と関わらない形での外出をしていてもよい)を指す現象概念である」

厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業『ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン』6ページより抜粋

日本では1990年代ごろから主に若い人々の間で増加し、社会問題化しました。しかし今は中高年の引きこもりが増加しています。引きこもりの人がいる家庭は、最低でも41万世帯にのぼるとされています。

フランスのメディアFrance 24(フランス・ヴァン・キャトル)でも、日本の引きこもりに関する特集が組まれていました(動画は英語です)。

sake

an alcoholic drink from Japan made from rice

“sake” – MACMILLAN DICTIONARY

sakeは、お酒一般のことではなく、日本酒(清酒)のこと。英語を含め、少なくとも欧米の言語ではサケといえば日本酒を指します。

スペルは同じでも意味の違うsake(セイク)と区別するため、sakéとアクセント符号をつけた表記も見かけます。

発音は/ˈsɑːkeɪ/サーケィ、あるいは/ˈsɑːki/でサーキィという感じになります。

日本酒は欧米でもかなり広まっていて、スーパーや酒屋で簡単に手に入れることができます。

上のに引用した辞書の定義だと米焼酎や泡盛と区別がつきませんが、基本的には日本酒を差すようです。

mottainai

Mottainai is a term of Japanese origin that has been used by environmentalists. The term in Japanese conveys a sense of regret over waste(中略)Japanese environmentalists have used the term to encourage people to “reduce, reuse and recycle”

Mottainai – Wikipedia

日本人ならおそらくかなり頻繁に使っているであろう言葉、「もったいない」。もとは仏教用語から派生した言葉で、「つかえるものが十分に活用されない状態を惜しいと思うさま(*1)」という意味です。

2004年に平和賞受賞したケニアの環境保護活動家、故ワンガリ・マータイ(Wangari Maathai)氏が、3Rすべてを含むことばとしてキャンペーンをしたので有名になりました。

ただこの「Mottainai」、英語話者の間で広く膾炙しているかというと、僕は疑問を感じざるを得ません。おそらく環境問題によほど関心のある人なら別かもしれませんが。

  • *1 『明鏡国語辞典』大修館書店より

kamikaze

a kamikaze action is dangerous and likely to kill or harm the person doing it

“kamikaze” – MACMILLAN DICTIONARY

またもネガティブな単語が出ました。「神風」です。

太平洋戦争で日本軍とたたかった米兵たちは、俗にいう「神風特攻隊」の戦法に度肝を抜かしたかと思います。

その衝撃はこの言葉が英語に借用されるに足るものだったようで、現在ではもっぱら「自爆テロ」の意味で使われます。

英語でも使われないことはないですが、どちらかというとフランス語メディアでの方が頻繁に使われているように思えます。

余談ですが、フランス語では語末のeを発音しないので「カミカーズ」と発音されます。

レベル2:ちょっと違う……?編

囲碁(go)の写真
OrcaTec / Pixabay

go

a Japanese game for two people, played with black and white stones on a board with lines that cross each other

“go” – MACMILLAN DICTIONARy

go……? 行く……?

いえいえ、goとは「囲碁」のこと。白と黒の碁石を使ったシンプルで奥深い、戦略的なボードゲーム。

囲碁の発祥は恐らく中国ですが、日本語の名前が定着したのは興味深いことです。シンプルながら非常に奥深いゲームで欧米でも人気があります。

「碁を打つ」のように「碁」は日本語でも使われますが、単独で使う場合には「囲碁」のほうをより多く使いますね。

futon

a type of firm mattress, used as a bed or sofa. Futons were originally used in Japan.

“futon” – MACMILLAN DICTIONARY

日本語の「布団」も実は英語になっています。

ただ、上の辞書の定義を少し見てみてください。sofaとありますよね?

実は英語で言うフトンは日本語の布団とは別物。Googleで画像検索してみると分かりますが、futonとはソファーベッドのようなもの

確かに布でできたモノの上で人が寝るという意味では布団らしいとも言えなくもないですが。

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レベル3:あれ、これも日本語?編

人力車(Rickshaw)の写真
DerWeg / Pixabay

tycoon

a rich and powerful person who is involved in business or industry

“tycoon” – MACMILLAN DICTIONARY

tycoon(タイクーン)は、英語で『実力者』や『大物』を表す英単語。

一見普通の英単語に見えますが実はこのtycoon、日本語の「大君」が由来。

言われてみれば確かに響きが似ていますが、スペルも発音も英語化されていて、初見では日本語由来とは分かりにくいですね。

個人的にはポケモンの「タワータイクーン」で初めて知ってそれっきり聞いたことないけど、まさか日本語由来だったとは……

rickshaw

a small vehicle with two wheels used for carrying passengers and pulled by someone riding a bicycle or walking. It is mainly used in parts of Asia.

“rickshaw” – MACMILLAN DICTIONARY

rickshawとは、アジアでよく使われる人力車のこと。

このrickshawも、パッと見ただけでは日本語らしさは全く分かりません。

『人力車』を縮めて『リキシャ』といいますが、それが英語になり、スペルも発音も英語仕様になったみたいです。

honcho

the person in charge of an organization or project

“honcho” – MACMILLAN DICTIONARY

ホンチョウって何? 本庁?

honchoという単語は、組織やグループを率いる「リーダー」や「ボス」という意味。head honchoという合成語でも使われることがあるよう。

僕の最初は「本庁」の事かと思いました。が、発音を聞いてみれば納得。

honchoの発音はIPAの発音記だと/ˈhɑn.tʃoʊ/。ギリシャ文字のアルファのような「ɑ」は、下の奥で発音するアですね。なので発音はハンチョウ。

つまりhonchoの由来は「班長」。もともと日本や朝鮮に駐在していたアメリカ兵が使っていた単語のようです。

skosh

え? これが日本語由来? どこが……?

これも発音してみれば分かってきます。

a skosh

a little, a bit, a few

Even though corn prices have softened a skosh recently, no one is predicting a price collapse any time soon.

“skosh” – MACMILLAN DICTIONARy

はい。「少し」です。日本語の「少し」アルファベット表記するとsukoshiですが、実際の発音は(少なくとも標準語では)skosh(i)になるはず。

Macmillan Dictionaryによれば、lotとかbitのように名詞名詞として使われるようです。

Can I have a skosh of milk?とか、I speak English a skosh.とか。通じるかは分からないけど、言っているだけで何だか楽しくなってきます。

shogunate

The administration of a shogun.

shogunate – wiktionary

shogunateとは幕府の事。これ意外と知らない日本人多いんじゃないでしょうか。

上で紹介した4つの単語とはキャラが異なり、日本語の単語+英語の接尾辞という不思議な構造をもつ単語です。

トップの地位を指す単語+接尾辞-ateで、「〇〇が支配する国」といった意味になります。CaliphateやEmirate、Khanateなどがいい例ですね。

ちょっとした例外:日本語に入って英語に戻っていった英語

はうるのうごくしろのぶたいになった、フランスのコルマール(Colmar)の風景
gabeltuerk / Pixabay

anime

a style of Japanese animated film or TV programme

“anime” – MACMILLAN DICTIONARY

日本のアニメはもはや世界規模の人気。僕は英語にanimeとうい単語があると知って驚いたものです。しかもめっぽう通じるし。

みなさんご存知の通り、アニメは「アニメーション」を省略した言葉ですね。そしてその「アニメーション」は、英語のanimationから来ています。

つまり、もともと英語の言葉が日本語に入って、それが変化したものが英語に逆輸入されたという訳です。

cosplay、cosplayer

short for ‘costume play’: an activity in which people dress up as characters from books or films, often acting out role plays. People who do this are called ‘cosplayers’, and the activity is called ‘cosplaying’

“cosplay” – MACMILLAN DICTIONARY

興味深いことに、日本語から英語への逆輸入されたもう一つ単語も、サブカル関連です。

コスプレはもともと英語由来。ただし、costumeとplayをくっつけた和製英語ですが。

日本のサブカルやコスプレ人気が広まっていったことで、コスプレという言葉も受け入れられていったのでしょう。

英語の単語をくっつけて、さらに省略して、それが新しい単語として英語に戻っていく……言葉の世界では不思議なことが起こるものですね。

ちなみにcosplayerという単語もちゃんと使われています。

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まとめ

以上、日本語から英語に入った単語を紹介しました。

ここで紹介した単語はあくまで一部。(特に日本食関連の言葉を)もっと探せば、まだまだ出てくると思います。

僕らは英語から入ってきた言葉を何の違和感もなく使っています(一部例外アリ)が、英語話者が日本語から入ってきた単語を使っていると思うと少し面白いですね。

参考にしたウェブサイト、引用先

  • Macmillan Dictionary https://www.macmillandictionary.com/
  • Wiktionary英語版 https://en.wiktionary.org/wiki/Wiktionary:Main_Page
  • Online Etymology Dictionary https://www.etymonline.com

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