外国に旅行をするなら現地の文化や歴史(と可能なら言語)を最低限でも勉強しておく、というのは大半の旅行者にとって当たり前のことだと思う。

もちろん旅行先の地域に関する知識がなくとも旅行それ自体は楽しめるものの、歴史や文化を知っておくことでさらに深く楽しむことができる。たとえば大学受験で世界史を学んだ人なら、ドイツのヴァルトブルク城やイタリアのカノッサで興奮を抱かずにはいられないと思う。実際に僕(世界史選択)も、ウフィツィ美術館やシェーンブルン宮殿を訪れて感動を覚えた。

しかしそれでも、ヨーロッパの文化のベースにありながらほとんどノータッチだった分野がある。それを補うために、今回は『100の傑作で読む新約聖書ものがたり: 名画と彫刻でたどる』(マルグリット・フォンタ著、遠藤ゆかり訳)を読んでみた。

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ヨーロッパ、特に教会やアートを深く理解したい!

ブラチスラヴァにある青の教会内部

筋金入りの出不精の僕だけど、今まで訪れた国は21ヶ国。そのうちの18ヶ国はヨーロッパの国々。主に北欧や東欧の国々を観てきた。仕事先の人や友人にもヨーロッパ好きを公言している。

そして来る2020年の2月末には、再度ヨーロッパに行くことを計画している。3週間ほどの旅程で、南ドイツからチェコ、ベルギーの約10都市を観て回る予定だ。

導入でも書いた通り、僕は海外旅行に発つ際はある程度現地の歴史や文化、そして言語を学んでから行く。ネット上にいくらでもある観光情報から、明石書店『エリアスタディーズ』シリーズに代表される文化や歴史などの包括的な入門書、そして暇があれば歴史のさらに細かい話を読んでみたり、旅行先の出身の人が書いた文学に手を出してみたりする。

2月末から予定しているドイツ~チェコ~ベルギー旅行に際しては、最近『ドイツの歴史を知るための50章』、ヘルマンヘッセやゲーテの本、ニュルンベルク裁判についての本を読み漁っている。

で、この旅行や今までヨーロッパの国々を訪れるなか、現地の教会とか美術館に頻繁に足を運んでいた。教会そのものがまず非常に精緻な芸術作品のようだし、さらに宗教ごとの教会の違いを見比べたりするのも面白い。美術館には過去に活躍した偉人たちの、宗教にかんするテーマや静物などを描いた傑作が並んでいて、彼らの画力の高さに驚嘆する。

ただ、こういった物をもっと深く楽しむには何かが足りなくて。そう、「キリスト教」に関する知識だ。宗教はその土地の文化に密接に結びついていると頭では理解していながら、どうも聖書とか神話の話はとっつきづらくて敬遠していた。

ヨーロッパでの絵画の発展とキリスト教は切っても切り離せないし、ましてや教会はキリスト教の宗教施設そのもの。次にヨーロッパに行くまでに大筋だけでもつかんでおきたい。

そこで手に取ったのがこの記事のテーマである本書、マルグリット・フォンタ著、遠藤ゆかり訳『100の傑作で読む新約聖書ものがたり: 名画と彫刻でたどる』。ヨーロッパ中世から近代までの絵画や彫刻の写真とともに、新約聖書の物語を大筋で把握できる本。

本書は見開きの構成になっていて、基本的に左側ページに新約聖書の場面の短い説明があり、右側のページいっぱいに対応する場面を描いた絵画が載っている。作中で使われている絵画には、カラヴァッジョやブリューゲルなどお馴染みの画家の作品もある(それ以外の名前はほとんど知らなかった)。

新約聖書を長さや敷居の高さで敬遠していた人には、ちょうどいいボリュームになっていると思う。各場面のあらすじを読んだ後すぐに絵画でその場面をイメージできるのも良い。

僕は新約聖書のお話について、マリアや使途数人といった重要人物の名前や、イエスが復活したこと、「何かオリーブ山が出てくる」ことくらいしか知らなかった。本書を読んで、ある程度体系化できたかな。

もちろん、この本だけで新約聖書の内容が完全に理解できたとは思わない。もっと理解を深めるには、それこそ新約聖書を読んだり、解説書や専門書にあたる必要があると思う。

ただ今まで「聖書を読みづらそうで敬遠してきた」僕のような人にとってはピッタリな本なのは間違いないかと。ヨーロッパ旅行を計画していて、現地の教会や美術館を観て回ろうと考えている人は、ぜひ目を通してみてほしいな。たぶん1時間半から2時間くらいでざっと読み通せるから。

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