台風が近づいておりますね。

こんにちは。引きこもりがデフォルト状態なので普段天気予報に全く目を通さない明月です。

今回のテーマは日本語。「せっかく」という単語の意味について。筆者が日本語の授業でアシスタントをしていた時に、フィンランド人学生に質問されてうまく答えられなかった苦い思い出のある単語です。

筆者はヘルシンキ大学に在籍していた時に、週2~3くらいの頻度で大学の日本語クラスでアシスタントを無償でやっていていました。

それが現地学生と知り合えるし(日本語クラスはほぼ全員フィンランド人)、日本語についての洞察も深まるし(?)かなり有意義な時間を過ごせました。

アシスタントの主な業務内容は、

  • ロールプレイの時の練習相手
  • 学生からの質問に回答すること(似ている2つの単語の違いとか)
  • 講師からの質問(とあるテーマに関して「アシスタントのみなさんはどう思いますか?」みたいなの)
  • 学生のプレゼンへのコメント

など。基本的に筆者がいたのは中級から上級のクラスだったのですが、みなさん本当に日本語が上手(フィンランド人どうしなのに普通に日本語で会話してる!)でした。一番上のクラスともなりと日本に留学経験のある人が半分以上を占めていました。

では本題に参りましょう。

◆関連記事◇

<記事は広告の後にも続きます>

それ単体ではほぼ使わない「せっかく」

「せっかく」という言葉は、よく「せっかく……のに」や「せっかくの……」という使い方をしますね。「せっかく宿題やったのに今日学校や休みかよ」とか、「せっかくの休みだからどこか出かけよう」とか。

筆者がいままで意味を深く考えずに使っていた単語の一つです。この単語を説明したり英訳しようとすると途端に分からなくなります。

なぜこの単語を今回取り上げたかというと、日本語のクラスで興味深い会話があったのがきっかけ。

授業のテキストを3人のグループで音読していた時です。そのグループにいた学生さんが「『せっかく』ってどういう意味だっけ?」と言ったとき、隣にいた学生が「”varta vasten”(わざわざ、故意に)じゃね」と。「あ、なるほど。Hyvä suomennos(良いフィン語訳やわ)」

当時の筆者の頭の中には「せっかく……のに」という構文があって「せっかく」を一単語として扱ったことがなかったので、「・・・あれ? 『せっかく』ってそういう意味だっけ?」と思いました。

その後随分と忘れていたのですが、先日ふと思い出したので、インターネットの辞書で調べてみました。

せっ‐かく【折角】

[副]
1 いろいろの困難を排して事をするさま。無理をして。苦労して。わざわざ。「折角来てくれたんだから、ゆっくりしていきなさい」「折角のみやげを汽車の中に置き忘れた」

2 (「折角の」の形で、体言に続けて)滅多に得られない、恵まれた状況を大切に思う気持ちを表す。「折角の休日だから、どこにも出かけたくない」「折角の好機を逃がしてしまった」

3 全力を傾けて事をするさま。つとめて。せいぜい。手紙文などで用いる。「先生のお言葉を忘れずに、折角勉学に励む覚悟です」

折角(せっかく)の意味 – goo国語辞書

なるほど。ストンと理解できました。

今までは、「せっかく」=「わざわざ」というのがどうしても分からなかったのですが、こうしてみるとなるほどすっと頭に入っていきました。ただ単にいままで意味を言語化できていなかっただけかもしれません。

ですが、今時よく使われるのは1と2で、3の意味で使うことは今ではほとんどないのではないでしょうか。

「せっかく」はどう英語に訳せばいい?

英訳も調べてみました。使ったのは凡人社から出ている国際交流基金の『基礎日本語学習辞典 第二版』です。

¶せっかく日本に来たのですから、もう一年日本で勉強したいと思います。
¶As I have come all the way to Japan, I would like to study here one more year.

¶せっかくの努力がむだになりました。
All [our] efforts were 〚have been〛 in vain.

¶せっかくの旅行だから、みんな参加することにしましょう。
¶Let’s all be sure to go on the trip as it’s not something we can do every day.

¶せっかくの御招待ですが、あいにく幼児があって行けません。
It’s very kind of you to invite me, but unfortunately I have another appointment and won’t be able to go.

国際交流基金『基礎日本語学習辞典 第二版』. 凡人社より

ここでは、「せっかく」の意味が「all the way~」といった語句や「it’s not something we can do every day」と完全文に置き換えられています。やはりこの語幹を単語1つで表すのは英語では難しいのかもしれませんね。

以上、難しいようで実は簡単な「せっかく」を取り上げました。

筆者は語学が大好きですが、もちろんの自分の母語である日本語にも関心があります。

英語を含めた他の言語を勉強することはそもそも自分の母語がどんな言語かを知ることでもありますが、ヘルシンキ大学の日本語クラスに参加したことでいっそう、自分の母語に興味が湧くようになりました。

海外留学中の日本語アシスタントについても記事を書きましたので、興味がおありでしたらご覧ください。→海外の大学留学中に日本語ボランティアをすべき理由【英語の勉強もいいけど】

では、今回はこの辺で。

◆関連記事:日本語学習者が一番増えているのはどこ?

Header Image by 8966388 / Pixabay